『チェイサー』、公開当時から観たかったけど、ようやくDVDで観れました。
公開前は韓国版『殺人の追憶』+『黒い家』なんていう評判も聴いてたけど、本当に『殺人の追憶』レベルで完全激渋仕様の韓国エンタメでした。『殺人の追憶』と同じく
実際に04年に起こった事件を元に(イラクの人質事件にも影響を受けているらしい)して浮つきのないプロット自体も見せ方の演出も渋い。でいて、韓国映画マナー(チンピラの顔が分かりやすく渋い、警官の初登場シーンが間抜けとか)もキッチリ押さえてる、正に韓国映画らしい映画。最高。だけど、本当に映画を最高にしているのはやっぱり韓国俳優の凄まじい演技力と渋さだなと。ハリウッドでのリメイクも決まってみたいだけど、この映画はハリウッドで撮っても渋くならない、韓国俳優が渋すぎるから。
この映画が長編デビュー作になるナ・ホンジン監督は学生時代に起こったこの事件を映画化したいと、事件現場に同行出来るほど警察署に通いつめて、当初はドキュメンタリーで企画していたようだけど、「ドキュメンタリーではこの事件の真相には迫れない」とフィクションにしたらしい。そこまで、事件にのめり込みつつも韓国映画の渋さの由縁を理解して主演俳優二人を指して「この映画が完成したのは彼らの演技力のおかげです」と言えるという、自分のメッセージを伝えることとエンタメ映画として成立させるバランス感覚が素晴らしいと思う。この監督は韓国映画界には珍しく映画の専門教育を受けてない(マンガ家を目指していたらしい)らしい、後タランティーノが好きだったりとそこだけ観ると寒い映画とりそうなイメージが浮かんじゃうけど、それでもここまで渋い映画を撮れてしまう韓国映画界はやはり奥が深い…。
韓国映画最近観てなかったけど、ちゃんとチェックしないとなと。『シークレット・サンシャイン』も観たいし、『光州5・18』も観直したい。あの映画は映画館で観たけど、あの日は最高にヤバくて自分の中の「渋い」の概念が頂点に達した。
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今週末はナチュレゲとかJUSTICE PARKにZ会、EARTHDOM企画等々…行けたら良いっすね。