武道館公演からもう十日も経ってしまった…。あまりにも衝撃的な一週間だったもので現実世界を受け入れるのに時間がかかってしまった。それでは俺視点の武道館公演、というよりGN'R来日公演を振り返ってをお届けしよう。
この日はムック演奏終了後、最速の35分でGN'Rは登場した。少し不思議だったのが、開演の合図になっている不気味なSE(ロン・サールもギターソロ コーナーでやってるやつね)があるのだが、それがフライングしてスタートしていたのだ。BGMにクラシックロックが流れていたのだが、よーく耳を澄ますと…
『あれ、オープニングのSE鳴ってない?』なんて言ってる内に客電が落ちてスタートしたのだ。アリーナ席で気付いたのは自分だけかもしれないが。
そして今日でアクセルと会えるのも最後なんだなと思い、一曲一曲しっかりと聴いてきました。もちろん始まりは「WELCOME TO THE JUNGLE」、何度聴いてもアドレナリン全開になる最高のロックソングだ。
ここで一つ思った、この曲ってとてつもなく人気がある上にGN'Rを象徴する曲でもあると思う。自分もGN'Rの曲の中でなんだかんだ迷ったあげく、やっぱり一番好きかな。それを頭に持ってきても2時間〜3時間のライウ゛を一瞬たりとも観衆の目を離さずに最後まで突っ切れる楽曲が並ぶのって改めて驚異的だなと感じた。
今回のツアーでは全曲演奏は実現しなかったけど「APPETITE FOR DESTRUCTION」というアルバムが本当に完成度が高く捨て曲が一切ない奇跡に近い作品なんだなと思い知らされた。
世の中に名盤と呼ばれるアルバムが腐る程ある中で、何万回聴いてもドラッグのように止められない作品が自分達の周りに何枚あるだろうか?
そして、そんな超強力な攻撃的作品「APPETITE FOR DESTRUCTION」を歌いこなせるのは、いや、歌う事を唯一許された人物こそ、アクセル・ローズなんだ。周りにいた素晴らしいメンバー達が一人残らず彼のもとから立ち去っても、奇行やわがままにどんなに振り回されようと、多くの人達が彼の歌う姿を望み、歓喜し、憤怒し、感涙するのだから。
現在も活躍し続けるロックスター達が産業的になり、事業に飲み込まれ自分達の本来の音楽性すら見失ってしまっている。
そんな中彼は当時から変わらないありのままの姿でステージに立ち、観客が求むロックスターで在り続け、気に入らなければ立ち去るのだ。
ただ生き残る為だけに音楽をやっている連中より、自分の歌を曲を大切にしているからこそ、こういう形をとっているんじゃないかなと思う。どんな状態でも魅力あるヴォーカリストであり続けるアクセル・ローズ、彼の歌声を聴く機会に恵まれて本当に良かった。
『この世から燃えつきることなく、徐々に色褪せていって欲しい。』
