東シナ海ガス田問題で、またも中国が日本の想定の斜め上を行く仰天発言を行ない、日本政府を困惑させている。
日中境界線上にある白樺を始めとするガス田での一方的単独ガス採掘は一向に止めようともせず抗議も無視する状況で、中国は何とさらに「尖閣諸島と日韓共同大陸棚まで共同開発の対象とするよう提案」したというのである。
共有物は独占して共有相手をむしろ排除、その上に「他人の持ち物をも一挙に共有」してしまおうというこの強烈な支配欲。まあ、中国をよく識る者なら今さら何をかいわんや……であろうか。
さすがに「
朝日新聞を除く」各新聞メディアは一斉に、李肇星外相が表明したこの中国提案を非難。
東シナ海ではすでに中国軍が威嚇行動を開始してさえいる段階であるから当然であるが、領土問題は日本にとり重要であるため(北方領土や竹島など枚挙に暇がないのが日本の現状)、少し述べてみたいと思う。
まず、中国は1971年から急に「尖閣諸島(沖縄−台湾間にある群島)は中国固有の領土」と言い出した。その前年までに海洋調査が進み、石油資源などの存在が確認されたためである。
しかし、その論拠は極めてお粗末なものであり(「昔の地図に書いてある」とか「古文書に存在が記されていて古来から認識していた」とか、およそ国際法的に論外)、かたや日本側の領有は1895年の各国への照会及び占有宣言表明より国際的に認知(当時の中国=清にも)される形で、権利を認められている。
(参考:Wikipedia「
尖閣諸島領有権問題」)
竹島同様、国際司法裁判所に出れば日本の主張が確実に認められることは疑いない(その証拠に、中国も韓国も絶対に国際司法裁判所に訴えない)。
陸地で例えてみれば、仮に上海に資源があったとして「上海に埋まってる資源を共同で開発しよう、と日本が中国に申し出た」のと同レベルの話である。中国がそれを受け入れるわけがない(どんな国とて、どんな領土係争地域の話であれ)のと同様に、日本もこんな提案を飲むはずがなく、拒否は当然である。
ところが、中国は日本の拒否に対して「『自分の領土だ』という前提で中国側の提案を拒否するのは、筋が通らない」として非難を行なっている。
つまり、「尖閣諸島は日本の領土と決まっていないのだから文句を言うな」ということである。石油発見前は何も言っていなかった(=尖閣諸島を日本領として暗黙に認めていた)のを自ら失念しているわけだが、それにしても欲深いこと甚だしい。
なお、台湾もまた一部に尖閣諸島の領有を主張している向きがあるが、これも無理がある。尖閣諸島は、台湾が1892年の下関条約で日本に正式に割譲されたのとは「別に」領有権の確認・占有宣言及びその承認が行なわれたからである。
台湾自身も(先住民時代を含めて)尖閣諸島を「領有」はしておらず、よって「台湾に対して」も、また「台湾が中国の一部である」という立場に立って「中国に対して」も、やはり「尖閣諸島は日本の領土」なのである。
(なお、台湾が「中華人民共和国」に実効支配された期間はゼロであるため、普通に考えて「台湾は中国の一部」ではない。台湾住民の、百歩譲っても「中華民国」の領土である)
東シナ海の中間線資源だけではまったく満足せず、日本の正式な法に則った領土ですら「お前のものとは限らない、むしろ自分のものだ」と言って食指を伸ばし憚らぬ中国。そこには二昔前の「帝国主義」「覇権主義」しか感じることはできない。よくも朝日新聞はこんな国を相手に「友好を深めるべきだ」と主張できるものである。
戦前の日本よりも、いや帝国主義時代の欧米列強よりもすら数段強烈に勢力拡大を図っている国に対して高いシンパシィを感じている、ということになるのだろうか。
朝日新聞は「日本の軍国主義」は極めてお嫌いだが、「隣国の軍国主義」は大層お気に入りのようだ。ぜひ本社の隣国への移設をお勧めしたい。
話がやや逸れた。
さて、中国は日本の拒絶を批判するだけでは飽き足らず、関連して(ほとんど言いがかりだが)靖国参拝にまでその矛先を向け、小泉首相だけでなく安倍官房長官や麻生外務大臣をまたも名指しで批判している。
安倍官房長官の李外相批判や、麻生外相の台湾関連発言(「台湾は国だ」等)にも噛み付いているようだが、正直「お前が言うな」ではある。
そもそも現在進行形で侵略・民族浄化を推進している分際で何を言おうが笑い話にしかならないのだが、日本のマスゴミはそれらをなぜか一切報道してくれないので「中国の言い分にも一理ある」と誤解する人々が少なくない。ここは今後一層のマスゴミどもの根絶・メディアリテラシー向上を、日本社会そのものに期待していきたいところである。
ともあれ、尖閣諸島にしろ竹島にしろ「そんなに文句があるなら国際裁判所で受けて立つ」と日本側は一貫しているのだから、中韓のこういった非難はもともと当たらないのである。出てこずに言葉だけ並べ散らして文句をがなるのは常に中国であり、韓国なのだ。
日本国民は騙されてはならないし、国際的にもここで屈したら道理が引っ込むことになる。日本自ら不法の片棒を担ぐことは断じて阻止しなければならない。
小泉政権きっての媚中派・二階経済産業大臣ですら、今回の中国提案には苦渋の表情を色濃くしている。心中は「せっかく取り入ってきたのにそりゃないよ宗主国様」とでもいった風情であろうか。
とはいえ、中国は歴史上常に「取り入る者は懐柔し、その者からは搾れるだけ搾り取る」のが常道である。歴史を知らない人間のみが、わざわざ中国に取り入って一時の利益を享受し、後で掌を返され仰天するだけのことである。
そもそもガス田や尖閣諸島の問題は明白な「中国の、日本に対する主権侵害」であり、心理的・精神的な問題でしかない靖国参拝問題などとは係争案件としてのケタが段違いである。「靖国で小泉がけしからんから領土問題でこっちが何を言っても当然だ」とは、むしろ己の馬鹿さ加減を明らかにしているだけのことではある。
(問題は、靖国問題をさも「重大な外交問題」のように印象操作するマスゴミの存在であるが……)
解決方法はただ一つ。
日本の早期試掘開始あるのみ。
東シナ海の共同開発を拒んでいるのは中国なのだから、日本も同じように「自国側で」開発をするのが何の問題か?
また、尖閣諸島についてはまず領土問題の(国際裁判所などでの公正な)解決なくしては水掛け論の繰り返しである。竹島同様、一刻も早い係争解決が待たれる。
政局のチキンレースには滅法強いが、外交ではどうにもここ一発を強く押し込まない(チキンレースを仕掛けない)弱さが目立つ小泉政権。
(「靖国参拝」は本来、外交案件ではないので除外する)
国益を守るためのチキンレースであれば、国民は全面的に支持するのであるが……ここは厳に、その弱気を叱咤するのが国民としての努めであるだろう。
媚びへつらい、決して文句を言わぬのを友好とは言わない。
朝日新聞や媚中派の「友好」とは、「
朝貢」の誤用である。
騙されぬようにしたい。

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