当ブログが「是々非々」をモットーとしているのは上段に掲げている通りであり、その意味は「良い面を礼賛するだけで悪い部分から目を背けてはならない、悪い面を非難するだけで良い面を潰してはならない」という原則である。
ゆえに、「良い面が無い」と評価したもの以外については当ブログは一方的批判の対象にはしないわけでもある。対立する主張であれ、論拠がしっかり存在して仮定にも虚構性が無ければ、それは(意見の対立とは別に)評価しなければならない。
すなわち、一公人に対してその総合的な価値観そのものを指摘し攻撃する、というのは当ブログにはそぐわない。モットーに反しかねないからである。
だが、今回はその危険をあえて冒し、タイトル通りの「個人攻撃」に類するかもしれない批判を行ってみようと思う。
対象は、
細田博之衆議院議員(現・国会対策委員長)。
細田博之氏、皆様はどちらかと言うと「前・内閣官房長官」としての方が馴染み深い事だろう。
前々任の福田康夫・元内閣官房長官から代わった時には、失礼ながら「冷笑家から虚弱系に変わったなあ」などとその印象だけを見ていたものである。
私が細田氏について明確なマイナスの評価を初めて持ったのは、昨年の5月下旬頃の「森岡正宏政務官発言」、いわゆる「A級戦犯はもはや罪人ではない」等の意見に対して「種々誤り等が含まれており、論評する必要はない」とした時である。
当時はちょうど私が過去の資料等をインターネット経由で再確認していた時期であり、当然に「戦犯の国内における赦免等」の国会決議(昭和27〜30年)についてもある程度把握していたため、「どこが誤りなんだ!?」と憤ったものである。
もちろん、この「国会決議」はあくまで国内的な「赦免」「刑死→公務死・戦死への変更」であり、実際の印象上の「名誉回復」とはやや異なるものであるのは確かであるが、しかし森岡氏の発言に少なくとも事実関係にて誤った部分は存在しない。当時の戦争法廷の規律に添ってすら、東京裁判が「事後法による、偽証罪すら無い一方的な復讐的欠格裁判」だったのは国際法等の専門家なども多く認める一般的結論である。
それをあたかも「A級戦犯はもはや罪人でない、というのは誤りだ」と言わんばかりのにべも無い言葉で、過去の日本国会の議決の意義すら貶める発言をした細田氏には、その後もずいぶん長く不愉快な感情を持ち続けたものである。(いかんせん官房長官なので露出が多い)
さて、そんな細田氏も前回の内閣改造で官房長官から下り、後任が安部晋三氏になったことで、「まあ特に他には目立った功罪も無かったし忘れてやろう」程度に思っていた。
ところが、私の目下重大関心事の双璧である「皇統断絶問題」「不況問題」について、細田氏が立て続けに見逃せぬ発言をしたという。
1.急激な財政収支の均衡化へ、消費税増税を当然と表明
「プライマリーバランス(国と地方を合わせた基礎的財政収支)をあと7、8年でゼロにするには、『毎年1%ずつ3年間上げて、8%ぐらいまでは我慢しよう』と提案すべきだ」
「(歳出削減額を)1〜2兆円にすること自体が大変だ」
(1/14、松江市での講演)
2.女帝・女系継承容認の改訂典範案について、
政府主導(民意封じ込め・皇室無視)を表明
「(皇室典範改正案について)政治的な感覚で議論をして、混迷することはあまり望ましいことではない。政府がきちっと説明して、(政府・与党の)合意の下に出来るだけ早く実現すべきだ」
(1/14、同上)
事実であれば、到底容認できない見解である。
経済(というか消費税)について。
現状の不況からの回復は、「国民が受けられる恩恵を減らしてでも国家財政を節約して立て直す」という体勢……すなわち「国民の経済努力」によってかろうじて行われてきた。政府が無駄遣いを減らしただけで起きた「回復」ではないのだ。
にも関わらず、ここで国民に対して「負担増やします」とした場合、国民が納得するはずはない。いや、心情面のみならず方向性的にもおかしいのだ。
「もう国家は(支出減で)痛みを十分伴った改革をした。次は国民の痛みの番だ」と考えているのなら、筋違いも甚だしい。国家が無駄遣いを減らしている間、それにより「市場通貨量の減少(絶対量)」と「福祉の水準低下(対象者増加による相対量)」によって国民も「痛み」を共有してきたのである。
だから、今国民に「負担増」を強いるなら、国家も引き続き「負担増」せねばならない。
例えば、もうそろそろ議員年金を国民年金に一元化してしまえばどうか。そうすれば、引退後にも政治的影響力を行使しようなどという欲も湧くまい。悪しき派閥政治・院政のような悪政の更なる解消に繋がり、良い事であろう。
皇室典範改訂問題について。
かつて細田氏は、官房長官時代に「(女性天皇容認の典範改正検討を始めたという一部の)報道のような事実はない」(平成16年12月)と公式に「典範改訂検討の動き」を否定していたが、同年27日にはかの「有識者会議」が発足。災害対策でもあるまいし、たったか1ヶ月弱でこんなものが発足するはずもない。
その上、同会見では「現段階で(議論の時期が)熟しているとは思っていない。世論をよく見ていかなければならない」とも述べていた。にも関わらず、今回の改訂案については「政府がきちっと説明して、(政府・与党の)合意の下に出来るだけ早く実現すべきだ」と言う。たった1年、たった30時間の「有識者会議」だけで、国会での議論さえなく「時期が熟した」とでも言うのだろうか。
さらにその「有識者会議」の構成メンバーには「元・官房副長官」である古川貞二郎氏が入っており、またメンバーの中心たる数人は最低でも8年以上前(平成9年〜)から極秘に女性天皇や女系継承のシミュレートを進める検討会を開いていたという(毎日新聞・平成17/11/25報道)。
仮にも国会議員である。
皇室の方々が相次いで「拙速な女系容認への危機感」を表明しているのを知らぬはずはない。
にも関わらず「政府がきちっと説明して」「出来るだけ早く実現すべきだ」と言う。これはすなわち皇室軽視、そして皇室を支持する国民をも軽視する発言と言えよう。
さらにすさまじい情報もある。
三輪の何某様のブログ「
三輪のレッドアラート」より、以下のような未確認情報が紹介されていた。
「細田博之議員、「典範改正は陛下の御意思」と吹聴」
(「
日本大好き、好きです早稲田日記」より)
事実だとしたら、まさにこの細田という男は「陛下の御意志」を捏造・流布する大罪人である。
皇室の方々は次々に、「陛下は女系容認などとは絶対におっしゃらない」とお述べになっている。また、陛下でなく皇族の方々ご自身の意見ではあるが「女系継承などの容認はあまりに拙速、反対である」と意思表示なされているのである。どちらがより「陛下の御意志」に近しいか、言うまでもないだろう。
内閣官房は、私の見立てでは「皇室廃止活動」の中心拠点のひとつである。断じて看過できる動きではない。
「噂」については、決して全面的に信用するものではない。続報、確定報を待たねばならないだろう。
だが、少なくとも細田氏には結果的に「愚言」「虚言」の過去がある。ここまでの「積極的不敬者」であるとまでは信じたくないが、もし事実であればなんという不敬か。……いや、もしかすると彼もまた踊らされし傀儡に過ぎず、「誰かに吹き込まれて」ニセの「御意志」を信じ込んでいるという事か。
「皇室からの発言」を無視できる程の「信頼性」を、そのニセモノの「御意志」に置いているという事だろうか。
少なくとも、誰かがニセの「御意志」を流布しているのだけは確かなのだ。そして、それは絶対に皇室を思う皇族の方々からではあり得ない。
改めて、細田氏の評価を急降下させつつある私であるが、事は単に評価のみの話に留まらぬ。まさに日本そのものの今後をも左右する事態でもある。
続報が待たれる。

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