2020/11/28

ザ・バンドの映画  ロック

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僕はザ・バンドが大好きです。

彼らに興味を持つきっかけとなったのは、多分1983年の初来日公演だったと思います。当時高校生だった僕は、まだ彼らのことをよく知りもしなかったのに、渋谷公会堂までライヴを見に行きました。

あのときのツアーはロビー・ロバートソン抜きの4人でした。なぜ中心人物たるロビーだけいないのか、当時の僕には不思議に思えてなりませんでした。彼と他のメンバー、特にリヴォン・ヘルムとの確執について知ったのは随分あとのことでした。

映画「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった(原題:Once Were Brothers: Robbie Robertson and the Band)」が劇場公開中です。これは原題からもわかる通り、100%ロビーの視点から見たザ・バンドの物語です。“Once Were Brothers”は2019年のロビーのアルバム「Sinematic」に収録された楽曲。かつて兄弟のように親密だったバンドメートと別れてしまった苦々しい思いを綴っており、映画の中でも流れます。

映像はラスト・ワルツやディランとのライヴ映像などそこそこ見ごたえはありますが珍しいものは殆どなく、映画はロビーと元妻ドミニックの証言が柱となっています。

ロビーは、一所懸命バンドを続けるための努力をしていたにも関わらず、他のメンバーは麻薬におぼれ、曲も書かなくなり、ロビーは全てを一人で抱えざるを得ない状況になっていったというのがロビーの主張です。

そして、バンド解散後に物事がうまくいかなくなったリヴォンは被害妄想に陥り、ロビーが悪者だと思いこむようになったというのです。

ロビーが嘘を付いているとは思いません。彼の言うことは彼の立場で言えば真実なのでしょう。僕はどちらかというと、ロビーよりはリヴォンに同情的でしたが、この映画を見ると、ロビーの言うこともそれなりに説得力があるように感じました。しかし、この映画はロビーの言い訳大会という面が強すぎるなと思わざるを得ません。

もうリヴォンはこの世にはいません。この映画を見たら、彼やリチャード・マニュエル、リック・ダンコは何と言うでしょうか。ちょっとずるいなと思ってしまったのは僕だけでしょうか。ロビーの言うことの方が正しいのであれば、なぜ残りのメンバーは誰もロビーの側に付かなかったのか、その点はあいまいなままです。

この映画には他にもエリック・クラプトンやロニー・ホーキンズらミュージシャンたちのコメントもたくさん出てきます。でも、彼らのコメントの使われ方が、ロビー側のストーリーを補足する形で使われているようで、その点も気になりました。

ザ・バンドが不幸にも分断され、和解することもないまま3人のメンバーが他界してしまったのは、誰の言葉を信じるかに関わらず事実です。そんな苦々しい歴史を生々しく綴ったこの映画。ファンならばとりあえずは見ておくべきだと思います。


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2019年/カナダ・アメリカ/英語/カラー・モノクロ/アメリカンビスタ/5.1ch/101分
原題:Once Were Brothers: Robbie Robertson and the Band
配給:彩プロ
日本公開:2020年10月23日より
監督: ダニエル・ロアー
製作総指揮:マーティン・スコセッシ、ロン・ハワード
出演:ザ・バンド<ロビー・ロバートソン、リック・ダンコ、リヴォン・ヘルム、ガース・ハドソン、リチャード・マニュエル>
マーティン・スコセッシ
ボブ・ディラン
ブルース・スプリングスティーン
エリック・クラプトン
ロニー・ホーキンス
ヴァン・モリソン
ピーター・ガブリエル
タジ・マハール
ジョージ・ハリソン
オフィシャルサイト:https://theband.ayapro.ne.jp/

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