2019/8/19

リル・バック・シネガルをしのんで  ブルース

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話題にする機を逸してしまいましたが、取り上げないわけにはいきません。

ルイジアナ州のギタリスト、リル・バック・シネガルが6月10日、ラファイエットの自宅にて亡くなりました。75歳でした。家を訪ねた息子が倒れている彼を発見したそうです。

死因は明らかになっていませんが、心臓発作の可能性が高いそうです。近年は体調を崩していたとの情報もありますが、例年出演しているニューオーリンズのジャズフェスで今年も複数のステージをこなすなど、活動は続けていた模様です。

ソロ作はアルバム単位では2枚しかなく知名度が高い人ではありませんが、ルイジアナでは1960年代から活躍する引っ張りだこのセッション・プレイヤーでした。有名どころではポール・サイモンの1986年のアルバム「Graceland」にロッキン・デュプシーのバンド・メンバーとして参加しています。

強烈な個性の持ち主ではなかったものの、ツボを押さえた気持ちのよいブルース・ギターを弾く人でした。日本でも2018年に劇場公開となった映画「アイ・アム・ザ・ブルース」(2015年)でフィーチャーされていたのが記憶に新しいです。あの映画は彼の魅力を伝えていると思います。

リル・バック・シネガルは、1941年1月14日、6人兄弟の長男としてルイジアナ州ラファイエットに生まれました。本名はPaul Alton Senegal。小柄だったので、幼少期からLil Buckというニックネームで呼ばれるようになりました。(buckとはbuckwheat=そばの意)彼の芸名はSenegalではなくSinegalとなっていますが、これはパスポートを作った際に間違われてしまったのを本人が訂正することなく、そのまま使うようになったのが由来とか。なんとも適当というか、ゆるーい話ですね。

11歳のとき、叔父からもらったギターを弾き始め、その数年後にはジャイヴ・ファイヴというバンドでプレイするようになりました。10代の後半には自分のバンド、リル・バック&ヒズ・トップ・キャッツを結成。このバンドは、コーラスやホーン・セクションも含む大所帯だったようで、地元ラファイエットでは結構な人気を博していました。リル・バックは1960年代後半までこのバンドで活動し、La Louisianneレーベルから2枚のシングルもリリースしています。



1972年、彼はザディコの第一人者、クリフトン・シェニエと出会い、彼のバンドに加入。以後シェニエが体調を崩して活動ができなくなるまで13年もの長きに渡り、彼のバンドに在籍しています。それ以後もロッキン・デュプシー、バックウィート・ザディコとも活動したことから、ザディコ界のギタリストというイメージが根付くようになりました。

特にシェニエとの活動では世界各地をツアーしてまわったようで、後のインタビューで彼は「世界中を旅した。まだ訪れたことがないのは中国と日本くらいだ」と語っています。日本にも来てほしかったですね。

1999年には、アラン・トゥーサンのレーベルNyno(ナイノ)から初のフル・アルバム「Buck Starts Here」をリリース。これは、トゥーサンがプロデュースしプレイヤーとしても参加、楽曲も提供するなど、全面的なトゥーサンのサポートのもとで作られた作品でした。レコーディングもトゥーサンのシーセイント・スタジオで行われています。2002年には2枚目の作品「Bad Situation」をラッキー・キャット・レーベルからリリースしていますが、アルバムとしてはこれ以降は出していません。

近年はジャズフェスへの出演に加え、同じニューオーリンズで恒例のポンデロサ・ストンプでもハウスバンドのメンバーとして様々なアーティストのバックを付けてきました。僕もバーバラ・リンやヘンリー・グレイのステージ、彼自身のブルース・バンドなどニューオーリンズで彼の演奏を何度か見たことがありますが、よく働く職人肌のギタリストとしてその姿を思い出します。

僕が最後にリル・バックを見たのは2016年のジャズフェスでしたが、そのときは変わらず元気そうで、まだまだ活躍してくれると思っていたので、非常に残念です。

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Barbara Lynn with Lil Buck Sinegal
New Orleans Jazz & Heritage Festival
Apr. 26, 2008


彼のソロ作も素晴らしいです。日頃あまり話題に出ることは多くない人ですが、この機会に彼の音楽に触れてみてください。

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Buck Starts Here (Nyno 9612-2), 1999年
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1. Run Down Cadillac
2. Winding Roads & Pine Trees
3. If You Want Me To Leave
4. Line Dancer
5. Don't Tell Me About Down
6. Sleepwalk
7. Standing In The Rain
8. Buckin' For Your Love
9. Show Me Good
10. Every Man Needs A Home
11. Blues Into Zydeco
12. You Gotta Do Everything I Say
13. This Road
14. Double X
15. Buck's Time Out

Bad Situation (Luck Cat LC-1003), 2002年
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1. Bad Situation
2. Bye Bye Baby
3. The Blues Is Killing Me
4. Why I Sing The Blues
5. I'll Play The Blues For You
6. Cold, Cold Feeling
7. Pork Chop & Red Beans
8. Further On Up The Road
9. Highway Blues
10. Shakin' The Zydeco
11. Well, I Done Got Over It
12. Junior
13. Mr. Landlord
14. Woman
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