2016/6/22

ジェイムズ・ブッカーの映画  ニューオーリンズ

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新鋭映画監督、リリー・ケバーによって制作されたジェイムズ・ブッカーのドキュメンタリー映画「Bayou Maharajah」。2013年にSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)でお披露目となって以来、米国各地で上映会などが企画されていたようですが、日本での公開はもとより、米国においても大々的なロードショーはなく、DVD化もされていませんでした。

しかし、2016年になって米国のiTunes Storeでダウンロードによるレンタルと販売が開始され、僕もようやく見ることができましたので、内容を紹介してみたいと思います。近々DVDリリースも予定されているようですが、そちらはまだ具体的な日付は発表されていません。注)

ずば抜けた才能を持ちながら、本当の意味でそれを開花させることなく、1983年に43歳の若さで亡くなったニューオーリンズのピアニスト/オルガニスト、ジェイムズ・ブッカー。この映画はその一風変わった、謎に満ちた実像に、関係者へのインタヴュー映像などを通じて迫ります。幼少期にブッカーにピアノを教えてもらったというハリー・コニックJr.は、"Sunny Side of the Street"を実演をしながら、いかにブッカーの弾き方が正気の沙汰でないほど難しいものであるかを解説し、またレディエーターズのベーシスト、レジー・スキャンランは、ブッカーとのギグを思い出しながら「彼は、演奏の最中に客の男性といちゃついていて(彼はゲイでした)、全くピアノの方には気が入っていないように見えるのに、プレイは驚くほど素晴らしかった」と語るなど、興味深いエピソードを披露しています。

彼が片目を失った経緯については、未だに謎とされており、「俺はこう聞いた」といういろんな人たちからの証言がまた、一層謎を深める結果となっています。「リンゴ・スターと喧嘩して目ん玉をくり抜かれた、彼の眼帯に星印が付いているのはそれが理由だという噂だ」というのはまことしやかけど、多分真実ではないんでしょうね。

インタヴューされている人はいずれもブッカーと親交の深かった人たちであるだけに、どの話しも彼の人物像がリアルに浮かび上がってくるようで、非常に引き込まれました。映画の中でインタヴューされている人たちについては以下に記載しましたが、エンドロールにクレジットされているリストには、これ以外の名前もたくさんあり、映画から漏れたインタヴューも多いのだろうと思います。DVD化されたあかつきには、そこら辺もボーナス映像でみたいですね。

ブッカーの演奏を記録した動画は決して多くないはずですが、ここでは1978年のヨーロッパ公演の映像や、ピアノソロの映像などが登場します。それに加え、インタヴュー映像や、数々の写真、当時のニューオーリンズの様子を記録した映像なども駆使し、彼が生きた時代のニューオーリンズの雰囲気をよく伝えています。

そして、ラストに登場するのは、彼のお葬式のシーン。1939年生まれなので、年齢的には今生きていたとしても全然おかしくないのですが、酒と麻薬に溺れ、晩年は肉体的にも精神的にも不安定な状況にあったというブッカー。あまりにも非凡な天才ゆえに、短命は宿命だったのかも知れません。しかし、その伝説的な存在がこうやって映像で提示されることは非常に嬉しいことです。残念ながら、日本語字幕の付いた版は今のところありませんが、ニューオーリンズ・ピアノが好きな人は是非見てもらいたい映画です。

米国版iTunesストアリンク
https://itunes.apple.com/us/movie/bayou-maharajah/id1094954398
※米国版iTunesストアから購入する場合は、日本版iTunesストアとは別のアカウントが必要です。設定方法についてはインターネット上に色々出ているので、検索してください。

「Bayou Maharajah」
A Mairzy Doats Production
Director: Lily Keber
Writers: Lily Keber, Aimée Toledano, Tim Watson
99 minutes

インタヴューで登場する人たち(登場順、肩書きは映画の中のもの)
Ron Cuccia - Jazz Poet
John Parsons - Maple Leaf Owner
Johnny Vidacovich - Drummer
Allen Toussaint - Songwriter / Producer
Charles Neville - Saxophonist
Harry Connick, Jr. - Pianist / Actor
Reggie Scanlan - Bassist
Elaine Parker-Adams - Classmate
Tom Stagg - New Orleans Music Historian
Dave Bartholomew - Producer / Band Leader
Curtis Graves - Politician / Bandmate
Irma Thomas - Soul Queen of New Orleans
John Boudreaux - Drummer
Bunny Matthews - Music Writer / Artist
Douglas Brinkley - Historian
Dr. John - The Night Tripper
Dave Johnson - Bassist
Joe Boyd - Music Producer
Harry Connick, Sr. - District Attorney, 1974 - 2003
Jim Scheurich - Drummer, Photographer
Hugh Laurie - Actor / Musician
Chris Rannenberg - Pianist
Robert Sacré - Music Professor(フランス語)
Helga Pfund - Blues Circle Member #175 (ドイツ語)
Andre Fonteyne - Music Writer(フランス語)
Lee Madere - Economist
Vernel Bagneris - Playwright / Musician
Russell Rocke - Toulouse Theater Owner
James Singleton - Bassist
Scott Billington - A&R / VP Rounder Records

以下、「Bayou Maharajah」よりクリックすると元のサイズで表示します

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注)DVDは2016年9月30日、英The Cadiz Recording Co.よりリリースとなりました。(CADIZDVD146)

55分におよぶインタビュー・ボーナス映像が収録されており、またパッケージはハードカバー本形式で24ページのカラーブックレットとなっています。本編映画はiTunes版と同じの内容のようです。映画本編には、英語の字幕を出すことが可能です。但し、ボーナス映像には字幕はありません。
http://www.cadizmusic.com/2007/?location=/web/Catalogue/CADIZDVD146
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