2015/7/22

来日公演を前に予習:ヘンリー・グレイ  ブルース

クリックすると元のサイズで表示します
Henry Gray at Ponderosa Stomp, April, 2004
(c) Photo by Masahiro Sumori.

いよいよ、ヘンリー・グレイが日本にやって来ます。1998年以来の17年ぶり2度目の来日公演となります。日程は7/26(日)がフジロックフェスティバル、7/28(火)が東京に場所を移してブルーノート東京で2セットをこなす予定です。

1925年生まれの90歳ですから、先日亡くなったB.B.キングと同い年。高齢ではありますがまだまだ現役でプレイし続けており、毎年出演しているニューオーリンズのジャズフェスにも今年も登場しています。初のレコーディングは1952年まで遡るので、そこから数えてもキャリアは60年以上。シカゴ・ブルースの黎明期、最盛期を知る今となっては数少ない存在です。

1925年1月19日、ヘンリーはニューオーリンズ近郊の都市、ルイジアナ州ケナーに生まれました。生後間もなくバトンルージュ郊外のアルセンの農場に移住し、幼少期はそこで過ごしました。彼は一人っ子で、家族の生活は貧しかったそうです。8歳の頃近所の人の手ほどきによりピアノを弾き始めましたが、当時は家にはピアノはなく、両親はブルースを弾くことを許さなかったそうです。

第二次世界大戦中に軍隊に参加したグレイは終戦後の1946年に除隊し、シカゴへ移住します。シカゴの地で出会った名ピアニスト、ビッグ・メイシオの存在が彼のプレイに大きな影響を与えることとなりました。メイシオは左手のプレイが特に強力なプレイヤーでしたが、脳卒中によりその左手が使えなくなってしまったため、ヘンリーは彼の代わりに弾くこともあったそうです。

メイシオは1953年に亡くなってしまいますが、ヘンリーは、モリス・ピジョー、ダスティ・ブラウンをはじめ、ジミー・リード、オーティス・ラッシュ、マディ・ウォーターズ、ロバート・ロックウッドJr.など多くのミュージシャンと共演を重ね、シカゴのシーンでの地位を確立していきました。1952年8月には、ジミー・ロジャーズのレコーディング・セッションに参加。このときの"Last Time"など4曲がヘンリーのレコーディング・デビューとなりました。

ヘンリーのシカゴ時代にもっとも重要なのはハウリン・ウルフのバンドでの活躍です。1956年に彼のバンドに加入したヘンリーは、12年もの長きに渡り在席し、ウルフの黄金期を支えました。レコーディングでも”I Ain’t Superstitious”などのウルフの作品で彼の演奏を聴くことができます。

1968年にウルフのバンドを脱退した彼は、親の住むルイジアナ州バトンルージュに戻り、家業を手伝いながら演奏活動を続けました。散発的にレコーディングを残していますが、彼がソロ・アーティストとして注目を集めるようになったのは1988年の「Lucky Man」というアルバムでしょう。以後、数は多くないものの、いくつかのソロ・アルバムをリリースしている他、1998年にはテラークからリリースされた「A Tribute To Howlin' Wolf」というウルフのトリビュートCDにも参加しています。1999年のライヴ盤「Live - Blues Won't Let Me Take My Rest」には、ギターにサニー・ランドレスが参加したりしています。

前回の来日は、東京国際フォーラムで開催された「モントルー・ジャズ・フェスティバル in Japan」への出演のためのものでした。ここの出し物のひとつにシカゴ・ブルース・オールスターズというブルース枠があり、ヘンリーとともにヒューバート・サムリンやアブ・ロックなどウルフにゆかりのミュージシャンが集ったのでした。ヘンリーはウルフのバンドで知られているとは言っても、現在もバトンルージュを拠点とするルイジアナの人です。オーティス・スパンら他のシカゴ勢とは随分おもむきの違う、一種独特な味を出していると思います。それがルイジアナのせいなのか、彼の個性なのか、多分両方でしょうね。

今回もウルフのセットで来日する彼。ウルフの影から解放されることはなさそうですが、どんなセットで来ようと彼ならではの演奏を聴かせてくれるものと期待しています。データがないので判りませんが、フジロックに彼が出演したら、もしかして同フェス出演者最高齢記録なのでは?なんて想像してしまいます。昨年、ラヴェル・ホワイトが体調不良でドタキャンしてしまいましたが、ヘンリーには元気に来日してほしいと思います。

来日公演に合わせるように新しいCDも出ました。とは言っても新録ではないんですが、ハーモニカ・プレイヤーのボブ・コリトーが1996年から19年にわたり録り溜めていた秘蔵音源をまとめたもので、ヘンリーの魅力が伝わるなかなかいい内容です。是非、予習用に手に取ってみてくださいね。

クリックすると元のサイズで表示します
Henry Gray & Bob Corritore - Vol. 1: Blues Won't Let Me Take My Rest
(Delta Groove Music)
1. Let's Get High (feat. Willie "Big Eyes" Smith)
2. Blues Won't Let Me Take My Rest (feat. Bob Margolin)
3. I'm in Love Again
4. Ramblin' on My Mind (feat. Robert Lockwood, Jr.)
5. Worried Life Blues (feat. Nappy Brown)
6. They Raided the Joint (feat. Dave Riley)
7. Ride with Your Daddy Tonight
8. Trouble Blues
9. I'm Gonna Miss You
10. That Ain't Right (feat. John Brim)
11. Can't Afford to Do It
12. Boogie Woogie Ball (feat. Taildgragger)
13. Honey Don't Let Me Go
14. She Don't Move Me No More

----

公演の詳細などは
http://black.ap.teacup.com/sumori/1605.html

ヘンリー・グレイについてもっと詳しく知りたい方はBlueSlimを
http://blueslim.m78.com/henrygray.html
0



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ