2013/11/12

映画「Muscle Shoals」  R&B/ソウル

クリックすると元のサイズで表示します

サザンソウルの聖地、マッスルショールズの映画がアメリカで完成し、公開されました。

アラバマ州北部の地域、マッスルショールズの音楽の都としての発展は、リック・ホールが1950年代末に共同でフェイム・スタジオを設立したことに始まります。ホールはプロデューサーとして音楽制作に関わり、フェイム・レーベル等から作品を世に送り出しました。その後、彼はアトランティックのジェリー・ウェクスラーと組み、アトランティックのアーティストもこのフェイム・スタジオでレコーディングすることになったのです。チェス、キャピトルも同じくフェイム・スタジオと手を組んでいます。

クリックすると元のサイズで表示します
フェイム・スタジオとリック・ホール(映画より)

1960年代から70年代前半にかけて、ウィルソン・ピケット、アレサ・フランクリン、エタ・ジェイムズ、クラレンス・カーター、ジミー・ヒューズなどなど、数多くのアーティストがフェイム・スタジオを訪れ、名作を刻みました。

そこで活躍していたロジャー・ホーキンズ、デイヴィッド・フッドらのマッスルショールズ・リズム・セクション(ザ・スワンパーズ)は、ジェリー・ウェクスラーのサポートを得て60年代後半に独立し、マッスルショールズ・サウンド・スタジオを設立。こちらは、ローリング・ストーンズ、ボブ・ディランら、ロック系のアーティストにも使われ、マッスルショールズの音楽界に新たな1ページを加えています。

クリックすると元のサイズで表示します
ピーナット・モンゴメリーとノーバート・パットナム(映画より)

クリックすると元のサイズで表示します
スワンパーズのドラマー、ロジャー・ホーキンズ(映画より)

映画は、このマッスルショールズの歴史を関係者のインタビューと貴重なヴィンテージ映像から浮き彫りにします。前半はリック・ホールとフェイム・スタジオに焦点を当て、後半は主にマッスルショールズ・サウンド・スタジオに話が移ります。

リック・ホールが主役的な扱いを受けるのは当然だと思いますが、印象的だったのは、彼が非常に多く語っていること。しかも、幼少期に極貧の生活を送っていた話などプライベートなことや、ジェリー・ウェクスラーとの関係が悪化した当時の心境など、陰の部分も含めて率直なコメントが聞かれるのはとても貴重だと思います。

クリックすると元のサイズで表示します
リック・ホール(映画より)

映画後半は、ロック・ファンにもアピールする内容で、マッスルショールズ・サウンド・スタジオでのストーンズのレコーディング風景、レナード・スキナードのエピソードがハイライト。フェイム・スタジオでのデュエイン・オールマンの話も出てきます。

映画はあくまでも物語りであり、音楽を聴かせることを主眼としたものではありません。しかし、スプーナー・オールダムがアレサのセッションを振り返りながらエレピを弾くシーンやリック・ホールがキャンディ・ステイトンのレコーディングを行っているシーンなど、演奏シーンにも見どころはあります。意外だったアリシア・キーズの歌(ボブ・ディランの"Pressing On")も本当に素晴らしい。この映画のハイライトでしょう。

クリックすると元のサイズで表示します
キャンディ・ステイトン(映画より)

映画の内容は、本当にマッスルショールズだけに絞り込まれており、それだけに、この地から発信された音楽がいかに大きな広がりを見せたのかを再認識させてくれます。

音楽以外に特筆すべきは景色を映した映像が非常に美しいこと。それもスタジオ周辺の街ではなく、マッスルショールズを取り巻くテネシー川、森林、畑、青空など、大自然の映像は吸い込まれる様な魅力に溢れています。こんな環境だからこそのサウンドだったわけですね。あー、一度行ってみたい。

ひとつ残念だったのは、フェイム・ギャングの扱いが非常に小さかったこと。スワンパーズの面々がジェリー・ウェクスラーに引き抜かれて、フェイムを出て行った際のことを振り返り、リック・ホールは「ジェリーがヒットを生めるミュージシャンは彼らだけだと思っていたとしたら間違いだ。私は、どのミュージシャンを使ってもヒット生み出せるのだから」とコメント。フェイム・ギャングのメンバーが集められる展開となるのですが、そこからあまり話が続かないまま、スワンパーズの話に行ってしまうのはちょっと淋しい気がしました。あくまでもこの映画の主役はリック・ホールとスワンパーズの2本柱。フェイム・ギャングをどう扱うかは難しかったのでしょうね。

現在、この映画は全米の劇場で公開中。同時に米国のiTunesストアでもレンタル配信されています。日本での公開は未定のようですが、是非公開してほしいものです。ローリング・ストーンズのミックとキースがインタビューで登場していることもあり、ソウル・ファンだけでなく、そこそこ動員できると思うのですが、どうでしょうか?

僕は、米国のiTunesストアからレンタルして見ました。もちろん、字幕はないですが、いち早く見たい方はそういう手もあります。でも、やはり正式な公開を期待したいところですね。

公式サイト http://www.magpictures.com/muscleshoals/
映画のトレーラー https://www.youtube.com/watch?v=FNGtfpim0OM
サウンドトラックCD http://tower.jp/item/3304024/Muscle-Shoals
iTunesストア(米) https://itunes.apple.com/us/movie/muscle-shoals/id695293380

『Muscle Shoals』(2013)
監督:Greg 'Freddy' Camalier
プロデューサー:Stephen Badger、Greg 'Freddy' Camalier
時間:111分
配給元:Magnolia Pictures
出演:Rick Hall、Jerry Wexler
   Roger Hawkins、Roger Hawkins、David Hood、Jimmy Johnson、Barry Beckett (The Swampers)
   Clayton Ivey、Jesse Boyce、Harvey Thompson (Fame Gang)
   Peanut Montgomery、Norbert Putnam (Fame's First Rhythm Section)
   Spooner Oldham、Dan Penn
   Aretha Franklin、Wilson Pickett、Etta James
   Clarence Carter、Candi Staton、Percy Sledge
   Gregg Allman、Jaimoe (The Allman Brothers Band)
   Steve Winwood、Bono
   Mick Jagger、Keith Richards
   Donna Jean-Godchaux (ex-Grateful Dead)
   Jimmy Cliff、Alicia Keys、Ed King (ex-Lynyrd Skynyrd)、John Paul White (The Civil Wars)
   Sam Phillips、Jerry Phillips
※インタビュー映像が登場する人達という意味での出演者です。ウィルソン・ピケットなど故人は既存の映像を使っているものと思われます。

---

【4/21/2014追記】
この映画の日本での公開が決定しました。
邦題:『黄金のメロディ〜マッスル・ショールズ〜』
提供:メダリオンメディア
配給・宣伝:アンプラグド
2014年7月より新宿シネマカリテ他全国でロードショー

4



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ