「20世紀SF〈4〉1970年代―接続された女」
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア、ジーン・ウルフ、ジョアンナ・ラス、アーシュラ・K. ル・グィン、ジョン・ヴァーリィ、マイクル・ビショップ、クリストファー・プリースト、バリントン・J・ベイリー、R・A・ラファティ、フリッツ・ライバー、ジョージ・R・R・マーティン(著)中村 融 山岸 真(編)
で、とりあえず読み終わったこちらの方を。
ヴェトナム戦争を越え、ニューウェーブが失われた1970年代は、作者をご覧の通り女性作家の才能が花開いた時代と言えるでしょう。あと、フェミニズムな思考実験とちょっと一癖ある作家たち。
タイトルにも掲げられた「接続された女」は文体から舞台までサイバーパンクなスタイルを先駆けた今読んでも色褪せない作品、って言うかSF史上屈指の傑作らしいですよ。「デス博士の島その他の物語」はあのドクター・モローのオマージュで幻想的な物語。そして「アイランド博士の死」を読んだかどうか思い出す…
…まあ、いいか。
「変革のとき」は男女が別れて存在する社会を描く、今ではかなりお馴染みな手法の話。「アカシア種子(ry」とか「洞察鏡奇譚」は思考がオーヴァードライヴしていくぶっ飛んだ話でSFだなあって思わされ、内省的な主題を持った「逆行の夏」「情けを分かつ者たちの館」は70年代らしさが如実に。広い意味で時間テーマの「限りない夏」と「あの飛行船をつかまえろ」は読後感が正反対で、「七たび戒めん、人を殺めるなかれと」はやっぱり結末が良く分からない。
1970年代は宇宙的な規模のホラ話が減って、身の回りネタが凄く多くなってるのは時代性?みんなが遠くの事には興味がなくなっていたのかしら。ちょっと1960年代を読まないと流れが掴めないかもしれないけれど、あまり好きな年代ではない気がしてきた。

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