「花に三春の約あり」
西村寿行
明鏡流杖術の名手・逢魔紀魅は、死の床にある母・麻紀子から父の消息を知らされた。暗殺船〈レグルス号〉――東西両陣営に最も危険視されたクルーザー武装団のキャプテン・アキバが父だというのだ。同じ頃、暗殺船は某国政権転覆を請け負い、インド洋上にあった。そのアキバに、紀魅失踪の報がもたらされた……。
と言う「峠に棲む鬼」の続篇です。ですが、前作で死線を潜り抜けて結婚まで至った捜査官との関係はどうなったんだよ!とか結局あの後逃げ切れたのか?みたいなこの設定。とりあえず前作との関連はあれども別ルートと考えたほうがよさそうです、精神衛生上。そんなわけで、もう一つの杖術の達人である秋葉達人と間にもうけた娘が主人公です、一応。国際的な謀略に巻き込まれてしまった前作から、物語は更にスケールアップして世界を股にかける謀略が展開されていきます。が、やっぱり謎の敵との闘い陵辱脱出は健在で、出てくる女性登場人(ry みたいな。しかし、前作よりも杖術の凄まじさが強調されており、ああ強かったんだこの武術、みたいな感慨が浮かびます。一国の命運を握る展開のこの炸裂感は、竹島将の「ファントム戦士」シリーズあたりを思い出します。主人公勢力が充分な力を有しているため、悲壮感や絶望感は減っており、痛快な娯楽作品としての側面を強めています。
業の少ないタイプの西村作品として割と痛快さが残る一冊でした。だが、まだ続くと言う…(´Д`;)

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