ドラ絵門ネタは前回で打ち切りにするつもりだったんだけど、どーもあちこちでまだ反響が続いてるのを見ていると、メディアの扱いについて気になるところが次々出てきて、知らん顔もしてられなくなってきちゃったよ。
とくに4月14日(金)夜には、人気番組の「金スマ」が特集を組んでて、彼女の今までをテーマにしていた。どーやら彼女は3年ほど前にこの番組に出演しているんだけど、またこの番組のネタに使うことを前提に、ずーっとTBSが追いかけていたようだ。だってあちこちで「こないだ金スマに出たときから」ってセリフが出てくるんだもん。だけど次に使う時っていつよ?。起きていられないようになっても追いかけられてるんだから、少し考えれば、こりゃ自分が死んだあとに使うんだろーなんてすぐに分かるじゃん。実際、死んで10日ほどでこれだけの特集を組む用意周到さに驚いたしね。
これからソーゾーちゃうけど、彼女はメディアとは無関係な個人として動いていたのではなく、メディア内部の人間として、互いに利用し、利用されるという関係であったんじゃないのかねー。
事実、彼女は
とあるメディア制作会社の所属タレントで、その会社のHPには「極めたキャラのスペシャリストをプロモート」するってあったし、葬儀後にはHPのトップに、会社としてのご挨拶がでかでかと載ってたぞ。
なんたって、そこが作っている映画が、難病少女のお涙ちょーだいドラマでちょっと話題になった「1リットルの涙」ときたもんだ。会社の路線としては病気をどーゆー風に扱おうとしているのかも、ソーゾーできますな。
ま、別に彼女がメデイアに求められるものをケンメーに演じていたとしても、最凶的には責めようとは思いませんよ。メディアのなかでメシを食うってことはそーゆーことだろーしね。
しかし、特定の病気観や患者観を発信し、それが患者ではない一般の人のガンに対するイメージを固定化することになっていることは問題だ。
例えば「ガンになれてよかったとまではいわないけど、ガンも悪くない」という番組のなかでの発言。実はこれと同じよーな言葉は、あちこちでいろんな患者が繰り返し繰り返し使っているんだけど、これに違和感を持つ患者も、最凶を含めてすごく多いんだな。去年のはじめぐらいにも、あちこちの乳がんのサイト上でけっこー話題になって、一部では発言者たたきもおきたくらい。
そーいやガンになったおかげでメディアに取り上げられたり、患者会で活躍できたりして、自己実現しちゃった?と、ハタから見える人って少なくない。しかも「ガンも悪くない」発言を不用意にするヤツに限って、その手の人間だったりするから笑っちゃうんだけどね。ついうっかりホンネが出ちゃったってとこでしょーか。
しかしドラ絵門のように社会に影響を与えることを意図し、またできる人間が、患者の心理を深く考えてんだかどーだかしらないけど、「ガンも悪くない」というのは配慮がなさ過ぎ。そのあと「おかげでそれを仕事にすることができましたからね」とか言って笑ってごまかしちゃえば、あくまで個人の生き方の問題であって、ガン患者観についてとやかく言っているワケでないと言い訳ができるし、ガンを逆手に取るしたたかさすら演出できたのにねー。やっぱ甘いな。
でもそんな彼女のキャラクターはおいといても、死後、メディアによって作られた番組のなかで見られるビミョーな美化に、メディアがやろうとしてることが垣間見えちゃう。たとえば西洋医学に疑問を持っていたことは紹介しても、民間療法にハマりまくっていたことには口をぬぐって知らん顔なんてところは、もろロコツな情報操作じゃん。メディアとしては「反西洋医学=ナチュラル」というイメージに、カルトとギリギリのうさんくささがまとわりつくのは困るんだろーけどね。実際彼女がハマってたなかには、カルトそのものとしか思えないもあるのに。
しかし一番ヤバかったのは、彼女がナチュラルだったことをさらに強調したいためか、抗がん剤の変更を拒否したら、かえって腫瘍マーカーが下がったよーにとられるようなイメージを作ってた部分。単なる偶然かもしれないのに、これをマネして症状を悪くしたらどーすんだ?。主治医があちこち顔を出していたわりにはツメが甘過ぎないか。
全体的に見て、メディアが伝えようと意図しているのは、「絵門さんはホントにナチュラルにガンと向き合って、一生懸命生きました。皆さんもガンになってもこーゆー風に生きましょー。そーすりゃガンも悪くないと思えますよ」と言ってるよーにしか見えないんですけど。夫の「大丈夫」という言葉をやたら持ち上げてたのも、患者に対して使うヤツが増えそーな予感にゾッとしたし。
なぜってガンは症状だって、それぞれの患者の受け止めた方だって千差万別。それを一つのイメージに固定されて、まわりの人間に「あなたもだいじょぶよ。絵門さんだってあんな風に生きたじゃない」なんていわれたら、これほどガン患者をキズつける扱いはないぞー。
もし「絵門さんのような生き方のできないガン患者は間違ってる」とゆーよーな社会的プレッシャーが生まれたとしたら、メディアはどー責任とるつもりなのか、ちょろちょろここにノゾキに来てるかもしれないメディア関係者!しっかり心しておけよ。
たしかに彼女のキャラクターとしては、あちこちでよく言われるように「無邪気な」人間なのかもね。しかしメディアのなかで無邪気であるということは、単にいいよーに利用されるってことじゃないの?。それともその無邪気さもまた演技だったのか。今となってはソーゾーするしかないけどさ。
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