旧パラを検証する167
第十四号 2

☆長編賞候補
@奥薗幸雄氏 近代将棋七月号
37金、35玉、55龍、24玉、35龍、14玉、58角(第1図)、47飛生、15歩、23玉、67角、同飛生、34角、32玉、A43角生、23玉、34角生、32玉、12角生(第2図)、33金打、43金、41玉、53桂生、51玉、63桂、同飛生、52金、同玉、63と、43玉、45飛、44歩、同飛、同金、同龍、同玉、45金、43玉、34金、32玉、33歩、同金、同金、同玉、34金、42玉、41桂成、同玉、52と、32玉、33歩、22玉、23金迄53手
A43角成、23玉、14金、12玉、13金、同玉、14歩、12玉、13銀、同金、同歩成、同玉、24金、22玉、23歩、12玉、15龍迄31手。早詰み。

5手目35龍の龍捨ての後58角が好手。意味は同角と取らせて34龍です。ここでの受け方が難しいところで、単に47香合では、15歩、23玉、67角、56歩、同角、同飛、34角、33玉、43角成、23玉、24歩、同銀、同龍、同玉、25金、23玉、24歩と合駒を使って詰まされてしまいます。そこで、合駒を稼がれないように、47飛の移動合をすることになります。以下、今の変化と同じように進みますが、24歩とせずに、21に逃げられないように34角〜12角と振り替えます。ここでは後の変化のため、33金打の強防が必要になります。次に43金以下63桂生の時、同龍だと52歩以下龍を奪って詰みます。ここに至って63桂を同飛生として取れるように、8手目の47飛は47飛生とし、以下も67同飛生、63同飛生とすべきだったのです。63同飛生以下52金として、右辺に追います。そして50手目32玉の局面で、33歩と打つために12は生角である必要があり。その為に、15手目43角生とし、以下も34角生、12角生とする必要があったのでした。

玉方飛生3回+攻方角生3回の見事な双方不成で潜伏期間も長く、素晴らしい作品です。
歴史に残る作品でしたが、Aで43角成で早詰みでは根本的な処で潰れて居たようです。惜しい傑作です。

A宮越宗太郎氏 将棋世界三月号
41銀成、同玉、46龍、31玉、35龍、41玉、44龍、31玉、33龍、41玉、52歩成、同香、同香成、同玉、54香(第1図)、41玉、43龍、31玉、34龍、41玉、45龍、31玉、36龍、41玉、47龍、31玉、38龍、同と、64馬、41玉、74馬、31玉、75馬、41玉、85馬、31玉、86馬、同香、33飛成、41玉、43龍、31玉、34龍、41玉、45龍、31玉、36龍(第2図)、同成桂、53角成、41玉、63馬、31玉、64馬、41
玉、74馬、31玉、75馬、42歩、同馬、同玉、33桂成、41玉、42歩、31玉、22歩成、同銀、同成桂、同玉、23歩、31玉、22銀、42玉、33金、41玉、31銀成、同玉、22歩成、41玉、32と、
龍ノコで近付くのは第1図54香と打つためです。53歩が邪魔駒でこれを消去します。細かいところですが、54香は限定打で後に64馬と出来るように、55香ではダメなのです。

53歩を消去した後は38龍、同ととして64馬と飛び出し、今度は馬ノコです。馬ノコの意味は97歩を取りに行き、86馬、同香として飛車筋を通します。

飛車筋を通すのは龍ノコをするためで、その龍ノコは36龍、同成桂として角筋を通すためです。角筋を通すのは、53角成以下馬ノコをして、前回の馬ノコで動かした86香を狙います。そして86香を取られる前に合駒をして収束に入ります。
龍ノコ2回+馬ノコ2回が互いに絡み合う構成は面白く、時代を考えると可成りの好作だと思います。
B北村研一氏 パラダイス九月号
旧パラを検証する63を参照のこと。
C二上達也氏 近代将棋十月号

69飛、同玉、87馬、59玉、69馬、同玉、87角生、59玉、48銀、49玉、58龍、同玉、59金、67玉、68歩、77玉、78歩、86玉、32角生、96玉、87角生、95玉、96歩、86玉、21角生、96玉、87角生、95玉、96歩、86玉、43角成、96玉、88桂、86玉、87歩、95玉、84銀生、同金、96歩、94玉、61馬、イ83銀、84と、同玉、76桂打、同金、同桂、75玉、65金、同玉、56金、同玉、83馬、45玉、56馬、36玉、A37銀、同玉、38銀、36玉、37香、25玉、34馬、15玉、16金、14玉、25金、13玉、24金、22玉、23金、21玉、43馬、11玉、33馬、21玉、22馬迄77手
イ72歩合、同馬、83銀合、84と、同玉、76桂打、同金、同桂、75玉、65金、同玉、56金、54玉以下不詰
A37香、27玉、45馬、17玉、18金、16玉、17銀、25玉、26銀、同玉、27金、25玉、34馬、14玉、16香、15歩、同香、同玉、16金、14玉、25金、13玉、24金、22玉、23馬、11玉、12歩、21玉、32香成迄85手の余詰
将棋魔法陣第61番にも選ばれた作品。
3手目87馬と据えたままだと、68歩が打歩詰になるので、 69馬と捨てて87角生と生角にするのが最初のポイント。その後18手目86玉として32角生〜21角生と働かせて、以下収束に入ります。力作です。

ところが第1図で72歩合〜83銀合が妙坊で不詰。後の改訂版である、野口ブックス版の将棋魔法陣でも修正されませんでしたが、2015年のマイナビ版の将棋魔法陣で添川公司氏が修正図を作成されました。修正図は作意を生かす為に41桂がありませんが、作品としては41桂がある方が良いので、今回はこちらの図を紹介しておきます。修正図は75手目21馬以下79手詰となります。

今回は長篇候補作を紹介しました。

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