旧パラを検証する156
第十三号 5
新版 失礼御免ヘタの横槍 前田三桂・・・いままで「ヘタの横槍」については全部転記していましたが、今回及び次号のヘタの横槍は以下に書くように、本来の横槍と違うし、今のソフトで解析すると、余りに的外れな内容なので、一部引用とします。
夕刊大阪朝日に掲載された、萩原八段と五十嵐八段のA級・B級対抗戦について、将棋評論誌上で、観戦記者天目子氏が、下図の局面で実戦は69香と打ち、58馬、同金、69歩成以下、五十嵐八段が勝ちましたが、76金とすれば、以下、69銀、88玉、58馬、同金、79銀、98玉、78銀成、88香で後手五十嵐八段が指し切りだと指摘しました。

この指摘を黒幕として松田七段、富沢七段、市川六段に確認し、同意してもらい、「此の発表手順を見ては五十嵐八段も参ったであろう」という記事を書きました。ここまでが、第13号に掲載された内容で、次の14号で五十嵐八段が将棋時代に上記の手順中78銀成を、58銀生とし、以下51歩成、67銀成、の時88角打が最強の受けで、(次図)

ここで77成銀、同角、78金、96歩、(88香なら同銀成、同角、同金、同玉、69歩成、78金、79角、同金、同と、同玉、67金で受けなし)に69角打が妙手で五十嵐八段勝ち、77成銀に79角の場合は88金、同角、同成銀、同玉、69歩成、78金、79角以下同様に勝ち、という反論を載せたという記事を転載しています。
五十嵐八段が将棋評論で反論を載せずに、将棋時代に載せたのは、将棋時代が五十嵐八段の出身地の北海道発行の雑誌だったからだという分析を三桂氏はしています。
で、三桂氏は横槍は余程自信が無い場合は遠慮すべきと説教する内容でした。
私が思うに、毎月完結の内容を2号に渡って詰み抜けというそもそものテーマから外れ、更に記事の引用だけの内容では、主旨に反していると思います。
その上で、ソフトで分析してみると、先ず、天目子指摘の手順中、88香で指し切りとありましたが、以下普通に69歩成とされると後手の手勝ちのようです。
次に五十嵐八段の手順中、次図以下77成銀、同角、78金、88香の変化中、69歩成に98玉とし、79角に77銀で先手勝ちのようです。同様に、77成銀、79角の手順でも88金とするのは、同角、同成銀、同玉、69歩成、98玉、79角、77銀で先手勝ちのようです。
ソフトによると、正しくは次図で77成銀、同角は78金、88香、56角で後手勝ちのようです。難しいのは、77成銀で79角で、その時は76成銀で後手優勢のようです。
整理すると、76金としても後手勝ちではあるが、五十嵐八段の手順では先手逆転勝で、天目子氏が指し切りとした88香の局面で69歩成とするのが一番紛れのない勝ち方というものでした。次図の88角打の局面でも後手勝ちですが、77成銀、79角、76成銀、78銀と粘られると、スッキリ勝つのは難しいようです。
三桂氏にしてみれば、自分のように横槍は慎重に行うべき、ということが言いたいのでしょうが、詰む詰まないの横槍と、正しい手の選択とでは次元が違うと思います。何故、この内容を2号もかけて詰パラでやったのか理解に苦しみます。

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