旧パラを検証する65
第七号2
大道棋成功談 形幅 清(北海道)・・・類例の無い大道棋に対する実戦後略報告。一部だけ抜粋する。
-----------------------------------------------------
(前略)
「ハイ正解です。それ迄」
と駒を崩してD図(図面省略)を並べ、「お客さん、あすこの煙草屋で煙草買ってください」と百二十円呉れた。ピース二個の商品代である。
(後略)
-----------------------------------------------------
大道棋が解けた場合、煙草や棋書をその場で交換するのかと思ったら、お金を煙草代として呉れるというのは、賭博ですよね。煙草代と言って渡すところがミソなんでしょうが、言い訳にしかならないですねえ。
板谷八段との角落戦−尾崎初段奮戦す− 観戦記 鈍棋生・・・アマ名人戦愛知県代表で紳棋会の尾崎和人初段と板谷四郎八段との角落。上手勝ち。今の代表の方がやっぱり全然強いですね。上手が緩めているのに、手合違いで負かされています。
-----------------------------------------------------
面白い詰将棋(1) 覆面作家
詰将棋にも趣向をこらし一定のリズムを持たせたら面白いと思います。
そこで飛車を使用した図式を各書より集めてみました。

第一図、塚田名人作「詰将棋百番」の第六十番。
第二図、小笠原明夫氏作「将棋世界」戦前版
以上二局は飛車を横に運用する代表作品でしょう。
第一図は型に重点を置き軽くまとめられたのは塚田前名人の気風を物語っているではありませんか、、、。
第二図は前局の裏を行く15歩に始まり種々の変化ある面白き作品。
前者が谷川のせせらぎとすれば、後者は都会に流れ来た大川といった感じがするでしょう。
第三図、作者不明古作物と思います。
第四図、故有馬康晴氏作「詰将棋吹き寄せ」第二十九番。
三図、四図と飛車を縦に運用する作品を掲げました。
三図は一図と同じように淡々としていますが、チョット神経を使いますネ。
第四図、趣向型の大家故有馬氏の作品で解決を15馬に置き、飛車の運用妙味津々として尽きません。
第五図は以上の各題に刺激されて私が創作したものです。右の各題にくらべ見おとりしますが、左隅の綾に苦心しました。
附記、第五図は第二図を見る以前に創作したのですが、棋友に検討依頼した処第二図があるといわれ驚きました。第二図の方が第五図より優れていることは万人のみとめる処でしょう。
第六図、飛車が横に活躍する軽快作品が塚田前名人作である。
二枚の飛車で玉を横に追い以下右隅の綾は面白い構想である。
------------------------------------------------------------
旧パラの元原稿は以下、解答が載せられていて終っているが、考察を加えたいと思う。
第一図
16飛、25玉、26飛、35玉、36飛、45玉、46飛、55玉、56飛、65玉、66飛打、75玉、76飛、85玉、86飛、75玉、76歩、65玉、66歩まで19手詰
これは、結構有名な作品で、塚田先生の作品集で何回か取り上げられている作品である。パズルとして良く出来ていて、余詰を58角一枚で済ませている点も巧い。
第二図
A15歩、24玉、25飛、34玉、35飛、44玉、45飛、54玉、55飛、64玉、65飛、74玉、
96角、84玉、85飛、74玉、75飛打、64玉、65飛、54玉、55飛、44玉、45飛、34玉、
35飛、24玉、25飛、34玉、B35飛左、44玉、45飛、54玉、55飛、44玉、C45歩、34玉、35歩迄37手詰
早詰Aより15飛、24玉、25飛、34玉、35飛、44玉、45飛、54玉、55飛、64玉、65飛、74玉、96角、84玉、85飛、74玉、75飛打、64玉、65飛、54玉、55飛、44玉、45飛、34玉、35飛、24玉、25飛、34玉、35歩、44玉、45歩、54玉、55飛、64玉、65歩まで35手詰
早詰Bより35歩、44玉、45歩、54玉、55飛、64玉、65歩まで35手詰
余詰Cより45飛右、34玉、35飛、24玉、25飛、34玉、35歩、44玉、45歩迄43手詰
第一図を元に15歩以下を想起したのでしょうが、これだけの配置をしたのに、初手から15飛で早詰では意味が無いですね。
第三図
24飛、15玉、16歩、同玉、26飛引、17玉、27飛上、18玉、28飛、17玉、27飛引、16玉、17歩、15玉、25飛、14玉、24飛、15玉、25飛上迄19手
いわずと知れた古作物ですが、本当に良く出来ていると、つくづく思います。
第四図
87銀、同香成、86飛打、95玉、85飛引、94玉、93と、同香、84飛、95玉、85飛上、96玉、97歩、同成香、86飛、95玉、85飛引、94玉、83飛成、同銀、同飛成、同角、85銀、95玉、59馬、68歩、同馬、同香成、96歩、同成香、84銀、94玉、83銀不成、95玉、84角迄35手
ちょっと大掛かりですが、有馬氏らしい軽趣向で、そこそこ楽しめます。
第五図
A15歩、24玉、B25飛、34玉、35飛、44玉、45飛、54玉、C55飛、64玉、65飛、74玉、D75飛打、84玉、85飛、93玉、95飛、94歩、同飛、同玉、95歩、93玉、94歩、84玉、96桂、94玉、95歩、93玉、85桂、92玉、84桂、81玉、73桂不成、同金、82香、71玉、81香成、同玉、61飛成、71金、E72金、同金引、同桂成、92玉、82金、同金、同成桂、同玉、72金、92玉、81龍、93玉、82龍、84玉、73龍、93玉、94歩、92玉、93歩成迄59手
早詰A15飛、24玉、25飛、34玉、35飛、44玉、45飛、54玉、55飛打、64玉、65飛、74玉、63飛成、84玉、94金、同玉、95飛、84玉、85歩まで19手詰
早詰B16桂、34玉、35飛、44玉、45飛、54玉、55飛打、64玉、65飛、74玉、63飛成、84玉、94金、同玉、95飛、84玉、85歩まで19手詰
早詰C55飛打、64玉、65飛、74玉、63飛成、84玉、94金、同玉、95飛、84玉、85歩、
まで19手詰
早詰D75飛、64玉、65飛打、54玉、55飛、44玉、45飛、34玉、35飛、44玉、45歩、54玉、46桂、同馬、55歩、同馬、同飛、64玉、56桂、74玉、75飛、84玉、85飛、93玉、82角、92玉、95飛、81玉、91飛成、72玉、64桂打、同金、同桂、63玉、55桂、64玉、65金まで49手詰
早詰D63飛成、同玉、55桂打、52玉、44桂、同歩、32飛、42香、43金、41玉、42金まで23手詰
早詰E92金迄
これも第二図と同じで、15飛で潰れていては、意味が無いです。また早詰Eの一手詰もあり、図が誤っているのでしょうか?
第六図
68飛、59玉、58飛、49玉、A38銀、39玉、99飛、28玉、29飛、17玉、B18歩、同玉、19歩、17玉、57飛、C16玉、56飛、D15玉、55飛、25歩、同飛寄、16玉、26飛上、17玉、18歩、同玉、28飛、19玉、29飛、18玉、28飛引、17玉、18歩、16玉、26飛、15玉、25飛、16玉、26飛上、
迂回手順(余詰?)Aで48飛、59玉、58飛左、69玉、68飛、59玉、58飛右、49玉、38銀、39玉、69飛、28玉、29飛、17玉、27飛、18玉、19歩、同玉、29飛、18玉、19歩、17玉、57飛、27歩、同飛寄、16玉、26飛、15玉、25飛、16玉、26飛上、17玉、18歩、同玉、28飛、19玉、29飛、18玉、28飛引、17玉、18歩、16玉、26飛、15玉、25飛、16玉、26飛上まで51手詰
迂回手順(余詰?)Bで27飛、18玉、19歩、同玉、29飛、18玉、19歩、17玉、57飛、27歩、同飛寄、16玉、26飛、15玉、25飛、16玉、26飛上、17玉、18歩、同玉、28飛、19玉、29飛、18玉、28飛引、17玉、18歩、16玉、26飛、15玉、25飛、16玉、26飛上まで43手詰
変同C27歩、同飛寄、16玉、26飛、15玉、25飛、16玉、26飛上、17玉、18歩、同玉、28飛、19玉、29飛、18玉、28飛引、17玉、18歩、16玉、26飛、15玉、25飛、16玉、26飛上まで39手詰
変同D26歩、同飛寄、15玉、25飛、16玉、26飛上、17玉、18歩、同玉、28飛、19玉、29飛、18玉、28飛引、17玉、18歩、16玉、26飛、15玉、25飛、16玉、26飛上まで39手詰
本作、従前は簡素図式の傑作とされてきましたが、塚田名人選集の改訂版の二上先生による後書きで、本作の完成作品扱いについて疑問を呈されておられました。今回調べてみたところ、余詰的な迂回手順が二つと作意に還元する変同が二つ見つかりました、時代的には迂回手順や変同は妙手説が混交している時期でもあり、問題なかったのでしょうが、
現代だとこの作品は作意の特定が難しい作品で、そもそも完全扱いされないかもしれません。過去の名作も矢張りちゃんと検証しないといけない例だと思います。

2