旧パラを検証する37
第四号7
詰将棋学校を紹介します。4号くらいになると、徐々に面白い作品が増えてきたような気がします。今回は何作か紹介します。
先ず小学校の岡村芳雄氏作から
24桂、同銀、41銀、33玉、55角、44歩、32飛、43玉、53と、同玉、52飛成迄11手
この筋の55角の限定打は現代でも良く見ますが、この作品が原点でしょうか?
中学校の鈴木實氏作

32と寄、12玉、22と、13玉、23と、同玉、33と上、12玉、23銀、13玉、22銀不成、12玉、24桂、同馬、13歩、同馬、21銀不成、同玉、32と左、12玉、24桂、同馬、22と寄、13玉、25桂、同馬、23と引迄27手
小駒の細かい捌きで、小品ですが私的には好みの作品です。
落合健次氏「良くまとめてあるが手筋が古い類似作品を見たことがある」
という評があるので、当時でも既に古い筋だったようですが、
沢里英雄氏「小波の寄せては返す様な味の作品で中々面白い。」
玉井定右エ門氏「と金と桂の芸が細かい上作」
とあるように好評だったようです。
次は大御所の里見義周氏作

57龍、同と、37馬、同と、64銀不成、同飛、65馬、44玉、43馬、35玉、36金、同玉、25馬、27玉、16馬、36玉、25馬、27玉、36銀、同と、16馬、37玉、38馬、26玉、16馬、35玉、25馬、44玉、43馬、55玉、66銀、同飛、54馬迄33手
実はこの作品は将棋月報昭10年6月号の次図(将棋朗作選二十九番)の改作図です。

この当時は改作図でも新作扱いだったのでしょうか?よく解らないのですが、パラの発表図より原図の方が良いと思うのですが、いかがでしょうか?
作品的には楽しく理論的な馬追いで、今ではよくある筋ですが、原図は昭和10年で、この筋の元祖とも言える作品で、記憶に残る作品です。

1