小西逸生さんがお亡くなりになった。偉大な作家の一人でしたが、NET上での反応が余り無い。思うに小西氏の代表作は昭和時代のものが多く、今の人は知らないのだと思う。
塚田賞を受賞した作品を初めとして、名作も多いがここでは、詰パラ昭和51年6月号の「私のベスト10」の10番目に小西氏が選んだ、小西氏が自作でのベストと思っていた作品を紹介します。
初出は詰将棋パラダイス昭和47年9月号の200号の表紙を飾った作品です。
14桂、同と、32金、13玉、14飛、同玉、47馬、25桂、同馬、13玉、14馬、同玉、15歩、13玉、25桂迄15手詰
以下に私のベスト10の記事を再録してみます。
「二百号の表紙をわが物にしよう!・・・と、本局を投じたのが四年前。本誌は二百五十号を迎えようとしているが、その表紙を飾るのは果たしてどなたであろうか。
表紙は看板、而も記念号の看板であれば、又格別の気分であった。内容的にも、大体及第点をつけて頂いたし、自作中では後期に於ける記念碑的存在として印象に強く残っている作品である。
特に、8手目13玉の変化に31角成とするところが気に入っている。
▽本局以来、目ぼしい作品もないが、やはり詰棋は忘れられず、コツコツ合間を見ては「暗算創作」を試みている昨今である。」
小西氏ほどの大作家のこの言葉は本当に泣かせる。そして昔のパラの表紙はいかに権威があったかも、この文から推測できるであろう。
作品的にも25桂の捨合いを31角成の変化が見事にカモフラージュしていて、ため息が出るほどの作品である。
今、小西氏ほどの思いで詰将棋を創作している方は何人いるだろうか?安易なトータルコーディネイトした作品に逃げていないであろうか?職人の作家が又一人居なくなり、寂しい限りである。

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