旧パラを検証する164
第十三号 13
今回は大学の作品の紹介をします。
大学 担当 土屋 健

正解
54歩、同玉、55馬、53玉、64馬、44玉、35飛成、43玉、55桂、52玉、62歩成、同玉、75馬、イ64歩、同香、ロ51玉、31龍、ハ41桂、52歩、同玉、63香成、61玉、41龍、同角、53桂、51玉、41桂成、同玉、52角、32玉、43桂成、21玉、31馬、同玉、41角成、同玉、52成香、31玉、42成香、21玉、32成香迄41手
変化(イ)
72玉、63桂成、81玉、82歩成、同玉、73成桂、91玉、甲31龍、41歩、95香、乙92歩、同香成、同玉、22龍、42桂、同龍、同歩、74馬、81玉、82歩、91玉、83桂、92玉、71桂成、93玉、83馬迄39手
(ロ)
72玉、63桂成、81玉、82歩成、同玉、73成桂、同玉、33龍、72玉、63龍、81玉、84香、82歩、同香成、同玉、93馬、91玉、92歩、81玉、61龍迄35手駒余り
(ハ)
41歩、52歩、同玉、63香成、戊61玉、41龍、同角、62歩、71玉、93馬、81玉、82馬迄29手
内山精一氏 中盤の好手75馬以下の手順は序盤の単調さを補うて余りあり。13手目74馬
の順に迷わされ易く、本月中最も難解。
竹中敏雄氏 74馬でで二晩の無駄に考えさせられた。遂に74馬では不詰と断定、75馬に取り掛かったら案外スラスラ出来た。二晩の苦心も非常にためになった。
解 説
最初の選題なので苦心した。一番は一見取付き易い作との方針で本題に決定したのだが、74馬が本手順に見える為不詰との解答が意外に多かった。13手目75馬が変化の複雑性を伴い且つ74馬の誘手があった為風変りな唯一の妙手となった。即近代型の詰将棋である。最初は処女の如く物柔らかだが、中途に至りカチンと一発、ダド・マリノ選手のレフト・フックも顔負けの物凄い肘鉄砲で、思わずウンと唸らざるを得ない程の外柔内剛の力作。尚13手目74馬なら71玉、63桂生、81玉、82歩成、同玉、85龍、72玉、83龍、62玉、73龍、53玉、64龍、43玉、65馬、52玉と逃げられ以下如何に苦心しても詰が見当らぬ。亦64歩の中合に気付かなかった方も二三あった。
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上記の変化は原書の通りに転記しましたが、イの変化中、甲で93香、92歩、同香成、同玉、74馬、91玉、92歩、81玉、85龍、71玉、62香成迄31手が正しい。
さもないとイの変化中乙92桂合とし以下、同香成、同玉、22龍、42桂、83成桂、同玉、23龍、73銀、74角、82玉、73龍、同玉、63香成、82玉、94桂、71玉、72銀迄41手変同になってしまいます。
軽い序の後15手目75馬が狙いの一手。74馬だと71玉の時93馬と行けない訳です。そしてこの時の受け方もポイントで単に51玉だと31龍、41合、42馬で詰むので64歩の捨合が必要になります。この部分を抜けて、ハ41桂合を確定した後は角を奪って52角と据え、その後角・馬を捌き捨てて詰みとなります。75馬、64歩合に力点が置かれていますが、以降は軽い捌きで解後感は良いと思います。
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41金、22玉、32飛成(イ)、13玉、24金、同玉、57角(ロ)、35歩、同角、34玉、43龍、同玉、53角成、34玉、35馬、43玉、42飛、同銀、44馬、52玉、42金、61玉、62銀、72玉、54馬(ハ)、同と、73と、81玉、84香、83銀、82歩、91玉、92歩、同銀、81歩成、同銀、同香成、同玉、72銀、91玉、92歩、同玉、83銀成、91玉、82成銀迄45手
変化(イ)
32飛成、同玉、31飛、22玉、33飛成、同玉、42角、22玉、31角成、33玉、42馬、22玉、33銀、12玉、22金、13玉、23金、同玉、32馬、13玉、22馬迄
(ロ)1
57角、46桂、同角、同と、25飛、同玉、23龍、24合、17桂迄
(ロ)2
57角、35角、26飛、25香、35角、同歩、25飛、34玉、35飛、24玉、26香、13玉、23龍迄
(ハ)
54馬、82玉、73銀成、92玉、93歩、同玉、94香、同玉、72馬、84玉、74と、93玉、83馬迄
堤 浩二氏 最初の五手迄は紛れが多くて難しい。五七角を七手目にするか五手目にするかの選択さえつけば、その後は簡単である。終盤のまとめ方にもう一苦心欲しいが好作品である。
廬閑子氏 四二飛から四四馬は小気味よき好手。
解 説
所謂実戦型と称する作であるが、常識的な手が案外多く亦簡単に詰みそうだが、作者の狙いは逆であり知識人らしい体臭が濃く、智的な点に於て近代型と謂えるだろう。初手四一金から二四金捨より五七角は実に感嘆せざるを得ない。本題の陥穽は意外な処に口を開いて居た。二五手目五四馬の処先に七三と或は七三銀成と行きたいが、次の八一玉に五四馬なら、同とと取って呉れると本手順同様四十五手詰となるが、九二玉と逃げられて不詰となる。七三銀成なら本手順三十二手目七一玉で不詰である。自他相許す実力者で間違われた方が二三あった。某など七三とを先にした為(作意は四十五手詰と思いますが五四馬の時九二玉で不詰です。妙手を含む佳作ですが惜しい事です)御言葉通り誠に惜しいのは作品に非ず実に解答者であったのである。中途の千日手模様を打開する四二飛も好手であり、収束は大道棋の香歩三の図であるが無難に取り入れてある。
実戦型とは謂え比較的妙手が多く、古代型の信者に取っても満足して頂ける事と思う。
裏業に富んだ好作品である。
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41金の好手から入り、次のイの変化も気が利いています。57角で簡単に詰みそうですが、35歩の捨て合で意外な位手数が伸びます。16手目43玉の局面で手が途切れたかに見えますが、42飛が打開の好手。以下25手目、73銀成や73とを決めずに54馬とするのが決め手で、以下は香歩問題と同じ収束で詰み上がります。
実戦型の粘っこい中編で中々の好作だと思います。

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