2009/3/11

長安黙示録 第5話  ニョロ現代

-第5話- 「辰」



周虎の首筋に汗が垂れている。
ダウニーを使っているので臭くはない。
やはり柔軟剤はネセサリーである。


先程、黒服達を吹き飛ばしたが
この程度で疲れる周虎ではなかった。
汗の理由は別にあった。


自分の周りにいた黒服達とは
違うオーラを纏った者が目の前にいる。


周虎の剣風によって宙を舞った雑魚共は
花火のように咲いて散ったが
一人、微動だにしなかったのだ。


「ほぅ。貴様中々・・・」
その黒服は顔を覆面で隠していたが
周虎の前に近寄ると
ハラリと覆面をはずし、素顔を見せた。


「少し太ったんじゃないのか?周虎」
周虎は言葉を失った。
驚きを隠せない。鼓動が高まる。


「お前は・・・郭威なのか?」
「あぁそうだ。久しぶりだな」




時は遡る。


「もうすぐこの戦争も終わりだな」
「あぁもうすぐ家に帰れるな」
郭威と周虎は土豪の中で
敵陣を睨みながら語り合っていた。


二人は龍・虎と呼ばれ
部隊の中でも別格の戦闘力を持ち
各々が隊長として活躍していた。


「帰ったら俺・・彼女と結婚するんだ」
そう言って郭威は照れながら笑った。
胸ポケットから取り出した彼女の写真も
泥と汗で汚れていた。


「俺も帰ったら溜まったジャンプ読まなきゃ」
「周虎・・おまえって奴は あはは」
笑い声は、鳴り止まぬ銃声に消えていった。


周虎の持つ無線から声が聞こえる。
「総帥より伝令 総帥より伝令」
「虎隊及び辰隊は防衛ラインを死守すること」
「敵軍の進行を何としても食い止めろ」
「以上」


二人は無言で頷き、土豪を飛び出した。
隊長を任されている二人は
考えていることも同じであった。
攻撃は最大の防御であると。


龍虎の咆哮が夢民谷に響く。
敵軍の弾幕を気にもせず
二人の影が敵軍を切り裂いていった。


1年続いた戦争も
その数日後、終結を迎えたが
辰隊の隊長だった郭威の生死は
不明のまま時が過ぎていった。




それから数年後の今日
お互いの安否も分からぬままだったが
偶然にも長安の街で再会したのである。


「生きていたんだな・・・」
周虎の目が潤んでいる。
親友でありライバルだった郭威と
また再会出来たことを心から喜んだ。


「お前程の男が死ぬわけがないと
 ずっと信じていたんだが
 本当に良かった。良かった・・・」


周虎の笑顔を見て郭威も笑った。
笑うのはいつ以来だろうか・・・


郭威は、静かに抜刀した。
すらりとした刀身は翠色に光り
まさに龍鱗のようである。


周虎の笑顔が曇る。
「おい・・何の真似だ?」
親友だった男が自分に向けた刃にも
5桁の数字が刻まれている。


大業物「辰」を構える郭威が
静かに、そしてゆっくりと言った。
「主が変われば、敵となることもある
 いざ・・・尋常に」


「やらねばならぬのか お前と・・」
周虎は手にした「虎」を構えた。
研ぎ澄まされた殺気が二人を包み
周辺の空気は張り詰めた。


降り止まぬ雨は銃声にも似ている
そう。あの時のように。


龍虎の咆哮が長安に轟く。
二人の心が揺れているように
噴水の水面も揺れていた。


-第5話- 完


「ニョロ現代」3月11日号掲載
著者:谷野伯爵
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2009/3/15  17:10

投稿者:イヴォンヌ

>翠さん
ほーんとうちの奥様と趣味が合うようで
何よりでございます。
漫画中毒の具合は負けますがねw

>かきくけこさん
登場人物選びも中々楽しいですよw
話が拡散しすぎて終結できるか不安ですが
なんとかまとめますー(;´Д`)

2009/3/13  21:12

投稿者:かきくけこ

今回もスリルあるねー!!
登場人物の名前を知ってるので、頭の中であの人だ^^って想像しながら読んでいけるので楽しいよ(*^。^*)
さて、続きはどうなるんだろ(^.^)

2009/3/12  1:24

投稿者:翠

夢民谷が戦場になったことあるですかっ( ̄□ ̄;)

かなり衝撃の内容デス…
たまったジャンプを読みたい気持ちも、
ダウニー使っておいしいニホヒに包まれたい気持ちも
よーくわかります。
両方オラにもネセサリーでやんす(´ー`)+

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