昨夜は東京に宿泊。今朝は早く起きて、編曲開始。寸暇を惜しんで、編曲をしています。どこだろうが、やれる時にやらないと! それから、少し勉強。宿泊したホテルのチェックアウトが遅くて助かった。
昼過ぎに上野へ。「
上野発の夜行列車降りた時から〜♪」で有名な上野駅。
上野と言えば、
アメヤ横町(アメ横)。
そして、
上野公園が有名。緑豊かなこの敷地に上野動物園があり、美術館や博物館があり、東京文化会館があります。
不忍池。
旧東京音楽学校奏楽堂。瀧廉太郎や山田耕筰、信時潔をはじめとする数々の音楽家が学生の頃に演奏した場所です。
上野公園の隣りには芸術の最高学府と言える
東京藝術大学があります。下は音楽学部の校門。
上野は、庶民的な部分と緑の豊かさ、香り高い文化が混在した、面白い町です。
今日は東京芸術大学でいよいよ明後日本番を迎える
「第4回古楽レクチャーコンサート イタリアの宴」の合わせを行いました。中村貴志、東京芸大に初潜入しました。東京芸大なんて上の上、縁はないと思っていました。校舎の中を案内されて進むと、声楽専攻のエリアを通りました。名だたる先生の名前が並んでいました。畏れ多い…。
「第4回レクチャーコンサート」の主催者で案内人でフラウト・トラヴェルソ奏者の
長島有紀さんにお会いするのは久しぶり。
2008年11月30日の本番で初めて共演した際に意気投合し、いつかまた共演したいと願っていました。今回やっとそれが実現しました。
フラウト・トラヴェルソとは横笛のこと。フルートなのですが、現在のフルートよりも原始的です。そして、木製。暖かな音がします。今回の通奏低音楽器はヴァージナル。チェンバロの小型のものと言っていいでしょう。
長島さんが自らの楽器とバロック音楽の普及を目指して「古楽レクチャーコンサート」を開催されて今回で4回目。積極的に取り組んでいます。今回はイタリアのバロック音楽をテーマにしています。イタリアはバロックの発祥地ですから、バロック音楽を愛する者には真っ向勝負の企画です。長島さんは、演奏だけでなく、イタリアという国の全般を勉強され、なおかつ終演後のパーティーのためにお菓子を作られ、大奮闘。熱きパッションを注いでいます。
僕はまずヴァージナルの伴奏で5曲歌います。ヴァージナルを弾くのは東京芸大の3年生で、愛知県出身の加藤由梨さん。さて、この5曲は声楽家を志す者であれば初期の段階で必ず勉強するイタリア語の歌です。われわれ声楽家は「イタリア古典歌曲」と呼んでいます。これらは19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて活躍したイタリア人の作曲家で音楽学者で古典研究家のA.パリゾッティが17世紀および18世紀に埋もれてしまったイタリア語の小唄やアリアをピアノ伴奏による歌曲に編曲したもの。今回は古楽のコンサートということで、原典に忠実な楽譜、あるいはそれに近い楽譜を使用します。パリゾッティ版とは結構違います。それにしても、この5曲のうち4曲は高校時代あるいは大学時代に学んだ曲ですので、学生時代のを思い出します。しかも、合わせの場所は芸大のレッスン室。その当時よりも成長したでしょうが、あの頃のレッスンの模様がよみがえってきて、変に緊張しました(苦笑)。
そして、長島さん、加藤さん、僕のトリオで、G.P.テレマンの72の教会ソロ・カンタータ『音楽の礼拝』から1曲と、G.F.ヘンデルの超有名なオペラ・アリアを2曲演奏します。テレマンのほうはかなり時間をかけて造り込みました。面白い演奏になるんじゃないでしょうか。ヘンデルのオペラ・アリアを歌ってみて、彼がスーパースターになれた理由がわかります。わかりやすく、かつ美しい。ヘンデルのこの2曲のオペラ・アリアもパリゾッティ編曲による「イタリア古典歌曲に入っています。コンサートの冒頭でバロックとは関係ない、しかし最もイタリアらしい歌をトリオで演奏します(編曲は中村貴志)。お客様の反応が楽しみ。
長島さんの熱き思いがこもったこのコンサートを心から楽しみにしています!
右から加藤さん、長島さん、僕。この3人がイタリアの心を届けます。