23日の午後8時過ぎ、実家で飼われていたメス犬、ホームズがこの世を去った。享年14歳と6ヶ月。中型犬としては老齢だった。死因は老衰。命あるものはいつかは死ななければならない。ホームズは天寿を全うしたことと思う。
実は8月にホームズの余命が少ないことは知らされていた。7月14日に実家に帰った時(
「中村貴志、実家へ帰る」参照)、僕は彼女の異変に気がついていた。正月に会った時よりも衰えて見え、鳴き声がかすれていたのが気になった。その後、母が病院へ連れて行ったところ、老衰で臓器がかなり弱っていて、余命数ヶ月と宣告されたのだった。
以下のことをブログに書こうか迷った。僕とホームズとの関係や思い出を美化しているようだし、あまりにも不思議で、一般常識からかけ離れているから。でも、僕にとってそれは事実だから、記そうと思う。
皆さんは「魂のつながり」みたいなものを感じられたことはあるだろうか。または信じていらっしゃるだろうか。僕はこの10日間ばかり、「魂のつながり」、またその存在を強く感じた。
9月の中頃のある夜、名古屋の家で寝ようとしたら、犬の匂いがした。それはまさしくホームズの匂い。不思議だった。そして、僕の体調が悪くなった。残暑が厳しかったから、遅い夏バテだろうと思っていた。数日後、母から電話があった。それまでいつもとほとんど変わらずにいたホームズがご飯を食べなくなって、ほとんど寝たきりになったとのこと。実はそうなった日がホームズの匂いがして、僕の体調が悪くなった日なのだ。僕は、ホームズの魂がやってきて、僕にお別れを言いたかったのだと思った。だから、ホームズが死ぬ前に、僕も一目会いたかった。
体調が優れず、大事な本番を控えていたが、20日の夕方、実家に向かった。実家に近づくにつれ、犬の吠える声が聞こえる。ホームズの声だ! ひっきりなしに鳴いている。僕はまだ敷地の中に入ってもいないのに。それよりも、もはや弱って、吠えることもできないはずなのだ。家族もビックリしていた。ホームズが急に吠えだしたと思ったら、僕が来たから。僕が来ることを知っていたのだろうか。僕はしばらくの間、ホームズと並んで横になって、お別れをした。
本当に不思議な体験をした。しかし、僕とホームズは飼い主とペットという関係を超えて、特別だったように思う。僕たち家族はホームズとその兄弟姉妹がこの世に誕生した瞬間から知っているのだ。まさに生命誕生の神秘を見たし、その喜びを知った。しかし、生後10日で、僕たちの過失で母犬を死なせてしまった。生命のはかなさを知った。すごく悲しかった。でも、悲しんでばかりいられない。6匹の子犬を育て上げなければならないのだ。ここまで精一杯育て上げてくれた母犬のためにも。僕が6匹の子犬を人工母乳で育てた。最初は全く飲まないから、不眠不休で少しずつ慣れさせた。やがて、飲むようになり、すくすくと成長していった。成長していく姿を見るのは本当にうれしかった。6匹の子犬の中でホームズが僕にいちばん懐いた。僕のあとをちょろちょろついて回り、僕の部屋にもよくいたし、よく一緒に寝た。散歩にもよく行った。1日に何回も。2003年の2月に両親と一緒に実家に引っ越すまでは、ずっと一緒にいたという感じがする。
ホームズには生命の偉大さを見せてもらった。もうこの世には存在しないけれど、僕の心の中に僕が死ぬまでその面影はずっとある。
ホームズ(7月15日に撮影)