昨日、中京大学文化市民会館プルニエホールで行われた
第47回愛知県合唱コンクールで、
僕がトレーナーを務めている
”名古屋大学グリーンハーモニー” と
混声合唱団 ”Vox MEA” が
そろって金賞を受賞、
第60回中部合唱コンクールへの出場が決まりました。
”名大グリーン”と
”Vox MEA”と僕、
この3者は互いに関係が深く、
それゆえに金賞受賞はとてもうれしいです。
”名古屋大学グリーンハーモニー”は
大学部門・Bグループ(33名以上)に出場、
その愛知県代表として選ばれました。
課題曲 Valde honorandus est
(作曲:パレストリーナ)
自由曲 組曲「クレーの絵本 第1集」から
階段の上の子供
あやつり人形劇場
(作詩:谷川俊太郎 作曲:三善晃)
指揮 西川秀人
とは言っても、
実は出場団体が
”名大グリーン”だけだったので、
実質は中部コンクールへの出場が決まっていたのですが、
金賞なのか、銀賞なのか、
それによって大きく違ってきます。
金賞を受賞できて良かった!
銀賞で愛知県代表なんて、格好悪いもんね。
”名大グリーン”のヴォイストレーナーを
お引き受けしたのが2000年なので、
もう7年が経ちます。
結構長いですね。
お引き受けした当初の”名大グリーン”は熱かった!
熱過ぎる!と思うくらい熱かった!!
それに比べると、
今はちょっとクールかな。
(オッサンぽい?)
その
”名大グリーン”の熱き一時代を作ったメンバーが
中心となってひとつの混声合唱団を作りました。
それが
”Vox MEA”なのです。
”Vox MEA”は
一般部門・Aグループ(8名以上32名以下)に出場し、
愛知県代表に選ばれました。
課題曲 Valde honorandus est
(作曲:パレストリーナ)
自由曲 混声合唱のための「ラプソディー・イン・チカマツ」から
U.貳の段
(作詩:近松門左衛門 作曲:千原英喜)
指揮 田中大樹
打楽器 近藤幹夫・高田富久子
”Vox MEA”にヴォイストレーナーとして
初めて伺ったのは2004年と記憶しています。
それも単発の男声のヴォイストレーナーとして。
僕は基本的に単発のヴォイストレーニングは
引き受けません。
その時は良くなっても、
それを継続して定期的に行わなければ、
元に戻るからです。
では、なぜ
”Vox MEA”のは引き受けたのか。
それは
”名大グリーン”の熱き時代を築いた人たちが
作った合唱団として注目していたからです。
もうひとつ、大きな理由は
田中大樹さんが指揮者だから。
彼との出会いは10年以上も前に遡ります。
彼も僕も大学生で、
全国的にも有名なある男声合唱団に所属し、
そこで知り合いました。
僕は大学3年生になる時、
学業に専念するために退団しましたが、
彼はその後も在籍し、
団内指揮者まで上りつめました。
その田中さんが指揮している
”Vox MEA”に
興味を抱かないわけがありません。
幸いなことに、
”Vox MEA”のヴォイストレーニングは単発で終わらず、
定期的に伺うことができ、
昨年正式に男声のヴォイストレーナーとして依頼され、
今年の4月からは月に1回、
合唱団を指揮するという形で
全体の指導をさせて頂いています。
共にこのコンクールに向けて頑張ってきました。
一般部門・Aグループは、
大学部門・Bグループと違って、
出場団体が9団体もあり、
そしてレヴェルが高かったでした。
”Vox MEA”が課題曲に選んだのは
パレストリーナの"Valde honorandus est"。
ルネサンスの軽く、透明感ある響きを重視した声で、
ポリフォニーを立体的に作ること、
ルネサンスの様式感を表現することが鍵。
それを重視して、練習を積んできました。
本番では、緊張したのと
会場の響きの悪さに驚いたのが影響し、
本来の声の伸びがありませんでした。
それでも、
"Valde honorandus est"を歌った他の団体よりも立体的で、
審査員はそこを評価して下さったと思います。
(しかし、どうして皆、ルネサンス音楽をああも平坦に歌うのかねぇ)
一方、自由曲は近年注目されている作曲家、
千原英喜さんの「ラプソディー・イン・チカマツ」から選曲。
「ラプソディー・イン・チカマツ」は
元禄の世に生きた浄瑠璃・歌舞伎作家、
近松門左衛門の世話浄瑠璃から詞文ちりばめて、
原作とは異なるドラマを千原さん自身が設定し、
作られました。
日本の打楽器が入り、
賑やかしい日本的な要素がふんだんに使われつつも、
時折見せる西洋のロマン的な音楽が際立って美しい、
千原さんらしい作品です。
この曲で要求されるのは、ルネサンスとは正反対の声、
力強く、日本の伝統音楽的な声です。
ルネサンスとは全く違った音楽を作るのが鍵。
パレストリーナではいまいちノリが悪かった
”Vox MEA”が
「ラプソディー・イン・チカマツ」では実力を発揮。
この作品の魅力を十分伝えることができていました。
打楽器を担当してくれた近藤さん、高田さんも、
合唱団をよく支えてくれ、素晴らしかった。
しかし、一般A部門は激戦。
素晴らしい合唱をしていた団体も多かった。
それゆえに、
”Vox MEA”が金賞受賞、
中部合唱コンクールへの出場権を獲得
という結果を聞いて、
僕の喜びは一入。
もちろん課題がないわけではありません。
その課題を少しでも克服し、
中部合唱コンクールでさらに良い合唱ができるよう、
邁進します!!!