第8回定期演奏会
2015年10月17日(土) 無事終了
三井住友海上しらかわホール
主催・お問い合わせ
混声合唱団 スコラ カントールム ナゴヤ
後援
愛知県、
名古屋市、
中日新聞社
指揮:
中村貴志
ピアノ:重左恵里、金沢昭奈、大山宮和瑚
ソプラノ:木崎美和
アルト:三輪陽子
テノール:
中井亮一
バス:
伊藤貴之
合唱:
混声合唱団 スコラ カントールム ナゴヤ
三善晃 『唱歌の四季』より、朧月夜・茶摘・紅葉・雪
岩河三郎 野生の馬
岩河三郎 木琴
岩河三郎 モルダウ
G.ロッシーニ 小荘厳ミサ曲
アンコール
三善晃 『唱歌の四季』より、夕焼小焼
33名という決して多くはないスコラの団員数ですが、575名もの方々にご来場頂きました。まずはこれだけのお客様を集客した団員たちに敬意を表します。また、お客様にはお忙しい中ご来場頂き、団員たちの毎度の出入りにも拍手を送るなど、暖かな雰囲気を作って下さったことに心から感謝申し上げます。
今回の演奏会のことを簡単に記すことはできません。スコラとは僕が大学4年生の時、ほぼ創立してからずっと指揮者として関わらせて頂いています。それゆえ、この団に対して強い思い入れがあります。一方で、長くやってきたからか、ここ数年は甘えが見え、スコラの在り方はこれでいいのかという思いがありました。今回は僕のそんな思いをぶつけた定期演奏会でした。
2013年の秋にこの世を去った三善晃と岩河三郎を偲んで構成した日本の合唱曲のステージに、演奏するのに80分近くかかる大曲、G.ロッシーニの『小荘厳ミサ曲』。現在のスコラには挑戦的な曲目でしたが、本番は客観的に良い出来と言えるパフォーマンスでした。お客様にも概ね好評でした。しかし、僕にはやりきったという思いはありません。もっと上にいけたはず。スコラはできる能力はあるのですが、もう一歩というところが甘い。これは次への大きな課題として残りました。
ただ、三善の『唱歌の四季』を2台ピアノで演奏できたこと、わが懐かしの岩河作品を指揮できたこと(『野生の馬』は僕の指揮者としてのデビュー曲!中学2年生の時!)、ロッシーニの『小荘厳ミサ曲』をオリジナルの伴奏で実力派歌手たちと演奏できたことは素直にうれしく思っています。
ソプラノの木崎美和さんもアルトの三輪陽子さんもテノールの中井亮一さんもバスの伊藤貴之さんもイタリア留学経験があり、愛知県に拠点を置いて活躍されています。今回のソリストにこれほどふさわしい方はいらっしゃいません。僕の期待通りの歌唱で、練習の段階から四方の声の芸術を堪能させて頂きましたし、お客様も楽しんで頂けたことでしょう。
さて、ロッシーニの『小荘厳ミサ曲』の最後の楽章は"Agnus Dei"です。「この世の罪を取り除きたもう神の子羊よ、われらに平安を与えたまえ」と繰り返し願います。ロッシーニはアルト・ソロと合唱を用い、絶望の淵から声をあげるようにこの楽章を作曲しています。僕は練習でしょっちゅうそう言っていました。苦しんで苦しんで、絶望の淵にいるけれども祈る。救われるかどうかわからないけれども、一心に祈る、願う。スコラの定演の全てのアルト・ソロを務めて下さっている三輪さんが絶妙にそれを表現してくれました。そして、合唱団が三輪さんの歌を全身全霊で受け止め、テキストをえぐり出すような表現をしてくれました。三輪さんとスコラが紡ぎ出す音楽に僕の心身は打ち震え、最後は涙が止まりませんでした。指揮し終えた後、本当に「死んでもいい」と思いました。奇跡を越えた音楽、感動を越えた感情がありました。再びこんなにすごい音楽ができるのだろうか?
やはり最後に言います。スコラの皆さん、よく頑張りました!課題はありますが、創立20周年に向けての道筋ができたように思います。それに沿って進みましょう!
リハーサル中の僕。
最後のカーテンコール。
素晴らしき音楽家たちとの記念写真。