1969年製ギブソンEB-3、検証の続きです。
前回はネック周りを見ましたので、今回はボディ周りを見て行きましょう。
ボディ正面
フロントに巨大なハムバッキング、リアにミニハムバッキングと言うピックアップの組み合わせです。
フロントPUがネックのすぐ後ろに配置されるのは1971年までで、1970年頃にはピックアップを囲う黒い樹脂製のマウントリングが取り付けられます。
つまりこの「フロントのハムバッキングがマウントリング無しで搭載」は69年が最後なのです。
リアPUのエスカッションは64〜65年頃までは銀色に塗装された物が使われていました。
それ以降は成型色そのままの黒色が使われるようになっています。
フロントのヴォリュームノブがメタルトップで、その他3つが白いストラトキャスター用ノブと言うのはジャック・ブルースの真似です(笑)
「神様」ジャック・ブルース
これはクリームではなく、72年に結成して短命に終わった「ウェスト・ブルース&レイング」でのステージショットのようです。
コントロールノブを紛失したのか何か意図があって交換した物なのか、いずれにせよこの状態のショットは多くありません。
ご覧のようにジャック・ブルースが使用していた年代の物はツマミの配置が離れているので見た目が全然違います。
ここは離れている配置の方が絶対格好良いと思うのですが・・・1952〜65年あたりってEB-3でも一番人気で相場も高いです、ちょっと手が出しにくいです。
私にとっては1969年が仕様と相場両方が妥協出来るギリギリの年代だったと言えると思います。
ボディ裏面
光の加減でだいぶ濃いめに写っていますね(汗)
実際、ボディ正面より裏面の方が濃い色になっていますが、ここまで極端ではありません。
キャビティ裏蓋の球団マークはお約束です、絶対です(笑)
バックルウェア
リフィニッシュされてからだいぶ使い込まれていた様子が窺えるのがこちらです。
ベルトのバックル傷ですが、結構低い位置に構えていないとここに傷は付きません。
ここにも激しい傷が
手首が当る位置と傷の激しさを考えると・・・このベースの前オーナー(あるいは元オーナーの誰か)はパンクロック系の人?
「かなり低い位置に構え、ゴッツいバックルのベルトと金具の付いたリストバンドをしてブリッジ近くに腕を伸ばして弾いていた」のではないかと想像します。
ピックガードは5プライ
63年のEB-0は白黒2プライです、非常にシンプルです。
それに対しこちらは黒白黒白黒の5プライで、4層目の白が厚くて5層目の黒が薄いと言う不等厚になっています、結構凝っていますね!
この頃になるとピックガード材は塩化ビニールになっているようで、セルロイドのような経年による収縮と変形は見られません。
ピックガードの下
リフィニッシュ時の色が残っていると思われる箇所です、オリジナルのチェリーレッドで塗り直すと言う方向のリフィニッシュだった事が良く判ります。
溝加工は67年頃から施されるようになった物で、配線しやすくして工数を低減しようと言う目論見ですね。
アンディ・フレイザー
69年製ではピックガードを外してしまうと溝が丸見えになって格好悪いので出来ません(汗)
アンディ・フレイザーの愛器は1962年製かな?
こうして見るとアンディ・フレイザーって結構低めに構えているんですね。
このくらいの位置なら、本機のような傷が付くかも知れません。
だとしたら、前オーナーはフリーのコピーバンドをやっていた可能性も浮上します(笑)
つづく