「荒野のコトブキ飛行隊」第10話の感想です。
以降ネタバレあり、未見の方はご注意を。
アレンの予測通りイジツとユーハングを繋ぐ(かも知れない)穴が開き始め、イサオの企みもハッキリしてきて終盤の展開と言う事は間違い有りませんが、あと2話でキチンと終わるのか何か心配です。
そして今回最大の出来事は、キリエが目の色を変えて敵視する「ハートに蛇」マークの零戦32型のパイロットが登場した事!
キリエが幼少時に出会った謎の老人サブジーの関係者であろうとは予想していまして、実際サブジーの弟子を名乗る妙齢の女性「ナオミ」でした。
ナオミがキリエに対し「サブジーと同じパーソナルマーク(赤い隼)を付けているのが気に入らない」と言った辺りで「もしかしてサブジーの娘?」かと思ったら、血縁は無い様子。
さて・・・残り2話と言う所で新キャラ投入・・・これはちょっと唐突な感じは否めないですねぇ。
一応、第一話から登場はしているのですが、謎の人物ではなくて謎の機体と言う描かれ方でしたから、キャラクター性を感じていなかったのでそう思えるのかも。
欲を言えば、ここに至るまでの間にキャラクターとして登場していた方が「あのキャラがコイツだったのか!」ってなったかも。
例えばこんな感じで・・・
・キリエ、ある町へ訪れる(仕事かプライベートかはどちらでも良い)
・その町でトラブルに巻き込まれる(食事に寄ったお店に空賊が現れるとか)
・そこにたまたま居合わせたナオミと済し崩し的に共闘しトラブルを収める。
・互いの腕前を認め合うが、互いに素性を明らかにしないまま別れる(名前くらいは名乗るか?)
・視聴者には「もしかしてこの人物が「ハートに蛇」のパイロットか?」と示唆するのも可か。
問題点としては、互いに「赤い隼マークの隼T型」と「ハートに蛇マークの零戦32型」と知らないままにしないといけないので、愛機を使った共闘は出来ない事かなぁ。
これは「地元自警団の機体を借りて」とかだったら良いかも?
それが九六艦戦や九七戦と言った、零戦と隼の先代にあたる機体だったら面白いな、いずれも格闘戦向きの戦闘機で操縦の腕前がハッキリ判るし。
そうだ、そこで互いの空戦機動の中で零戦32型や隼T型のイメージがオーバーラップしたりすると「コイツもしかして?」となるかも?
妄想はこの程度にして(笑)
いや、でもこう言ったエピソードがあれば、今回の引き直前あたりでキリエとナオミが和解している理由付けもしやすいと思うんですよね。
うーん・・・やはり1クール12話と言う構成では充分な描写が出来ないよなぁ・・・
CGのキャラクターが可愛くないのも大問題ではありますが、それ以上に話数不足が大きいかも。
無理矢理詰め込むのも大変だとは思いますが・・・
今回イサオが繰り出してきた六発の超大型爆撃機は仮想戦記で大人気の「富岳」ですね。
中島飛行機の創設者、中島知久平が提唱した「太平洋を横断し米国に直接爆撃を加える」と言うトンデモ構想による、文字通りの「机上の空論」空想兵器です。
まあ、裏返すと「米国に直接爆撃するなんて空想の世界でもなきゃムリムリ!」と言う事なのですが。
第一、四発の重爆撃機すらマトモに作れなかった(深山は失敗作、連山は試作止まり)当時の日本の航空技術で六発の超巨大機なんて無理スジです。
複列の誉ですらマトモに動かない事が多かったのに、それをさらに重ねた四重列の星形空冷エンジンなんて夢物語です、しかも二重反転プロペラとか「どうぞ壊れて下さい」と言っているようなもんです。
・・・ん?・・・と言う事は、ユーハングあるいはイジツの航空技術は当時の日本のそれよりも遥かに高いと言う事か?
その超大型爆撃機を迎撃するべくコトブキ飛行隊が装備したのは空対空ロケット弾。
これは大戦末期実際に使われていた物で、火薬量は30kgだったそうです。
ただ良く判らないのが、対空爆弾の「三式弾」のような時限信管付きの散弾だったのかどうか。
この三式弾は敵機編隊の上空から投下し、炸裂すると燐を使った散弾が飛び散ると言う物ですが投下のタイミングが難かったそうです(日本は近接信管を持っていなかった!)
零戦で200機以上を撃墜したと言われる岩本徹三中尉がこの三式弾投下を得意としていたそうですが、他のパイロットが得意としていたと言う話は殆ど聞きません。
また、ロケットブースター(火薬式)は短距離離陸/増速用に試験されていて、彗星の夜間戦闘機型やジェット機の橘花に使われた事があると聞いていますが、隼に使われた例があるかは知りません。
隼だと機体が華奢だから、ロケット―ブースターなんて使ったら機体が折れちゃうんじゃないかと心配になりますね。
それとキリエの隼とナオミの零戦がいずれも燃料切れでエンジンが止まってしまいましたが、翼面荷重が小さい(揚力が大きい)零戦や隼ならエンジン停止でも「高度の3倍の距離」を滑空する事が出来たと言います。
これが雷電や鐘馗のような高翼面荷重(揚力が小さい)の機体だと、殆ど滑空出来ないかそのまま墜ちてしまうかも知れません。
しかしまあ本当にこの作品世界のパイロットの薄着っぷりったら(苦笑)