いわゆる「飛び道具」と呼ばれるエフェクターが有ります。
元の音質とはかけ離れた音色を作り出したり、発振ブツ切れ当たり前の強烈無比な歪み物や、空間識失調を引き起こしそうな揺らし物などなど・・・
その中でも、文字通り「音程をすっ飛ばす事が出来る飛び道具」がこちらです。
Digitech Whammy WH1
ワーミーペダルの初代モデル・ワーミー1、通称「赤ワーミー」です。
(英語の発音としては「ワミー」が正しいが日本では「ワーミー」で定着しています)
いわゆるピッチシフターなのですが、そのピッチをペダルで操作出来ると言うのが最大の特徴です。
1990年頃に初代モデル(私所有の物)が発表され、現在では第5世代が登場しています。
私がコレを入手したのは91年です。
この初代モデルは「処理能力は歴代ワーミー中最低のスペックだが出音が太くて良い」とされ、中古市場でも結構イイ値段が相場になっている機種です。
・・・購入当時はこれしか選択肢が無かったので、そんな実感は殆ど無いですが(苦笑)
と言うか、この手の物は改良を繰り返し超高性能となった最新モデルの方が良いに決まってんじゃないかな?と思います。
初代モデルは言う程出音は太くないし(むしろ繋いだだけで音は細くなってしまっていると思う。特にベースに使った場合は)昔の物なので希少価値が有ると言う事で珍重されているのでしょう。
Youtubeで見つけたデモ動画
操作方法は至って簡単。
ロータリースイッチでモードを選択し、ペダルでそれを操作するだけです。
モードは大きく分けて「ハーモニー」「デチューン」「ワーミー」の3種があります。
ハーモニーの場合、ペダルを上げた状態と踏み込んだ状態でインターバルが変化します。
例えば、ペダル上げで短三度→ペダル踏み込みで長三度と言う形になります。
デチューンは原音から少しだけ音程をズラした音を混ぜる事によりコーラス効果を得るモードで、浅めのシャロウと深めのディープがあり、ペダルを踏み込むに従い音程のズレが大きくなります。
ディープで全踏み込みだと、気持ち悪い位の音程のズレになります(苦笑)
ワーミーモードは1オクターブor2オクターブのアップ&ダウンと2度(1音)下げを選ぶ事が出来、この場合はペダル上げ状態が原音の音程のままで、ペダルを踏み込むと音程が動くと言う動作になります。
このモードではトレモロアームを装備していないギターやベースでもアーミングの効果が得られ、なおかつチューニングは狂わないと言う事になる訳です。
内部はこんな感じ
デジタル/アナログ混載と言う感じです。
心臓部
12Bitデジタルサウンドプロセッサ(DSP)L4A0256はカナダのLSIロジック製(生産はホンコンか)
その下にはワーミー用カスタムと思われるシールが貼られたICが2つ、他にもシールの貼られたカスタムと思われるICがあります。
右下には東芝製汎用ロジックICの74HC00AP、その他もかなり洋の東西を問わずに採用された部品構成と言う感じです。
でかいコンデンサは電源用です、このワーミー1では電源は交流だったのです。
ペダル動作検出部
遮光目的の厚紙で囲われた内側にはLEDとフォトトランジスタが組み合わされた検出装置が。
本機の内部で一番アナログな部分がここだと言って良いでしょう(笑)
この検出装置の感度、実は結構繊細でして。
一時期この個体は動作が不安定になってしまったのですが、その原因がペダル軸のネジ緩みでした。
そのネジの僅かな緩みで、音程の制御が不安定になってしまっていたのです。
もし本機を所有していて「最近ペダル上げ切った状態なのに音程が変わる」「ペダル操作と音程の動きが一致しない」と言う症状に悩まされている方、ペダル軸のネジを締めてみて下さい。
ここの緩みだけでペダル位置を誤って検知してしまう位に、この部位は繊細なのです。
なお、現行モデル(第4世代以降か)では、ペダル原位置の再設定を行う操作の手順が有るようですが、初代モデルにはそんな物は有りません(笑)
次回に続く。