先日の記事で「DEMONはNWOBHMに組み込まれてしまったが、実は畑違いだった」と紹介した訳ですが、今回は「NWOBHMの中心にあったバンド」を紹介したいと思います。
※NWOBHM=NEW WAVE OF BRITISH HEAVYMETAL MOVEMENTの略、詳しくは
リンク先参照。
SAXON HEAVY METAL THUNDER THE MOVIE
サクソンです。
こちらはそのSAXONのドキュメンタリー映画(今年公開)です。
ちょっと前に入手していたのですが、なかなか観る機会が無く(汗)
今回の入院でようやく病室で観たと言う次第。
当時のブリティッシュ・ヘヴィメタルと言う括りでは、このSAXONが最も「らしい」バンドだったと思います。
IRON MAIDENは「新世代」で「異端的」そして「革新的」でした。
DEF LEPPARDは「若くて可愛いバンド」で、どちらかと言うとアイドル的に見られていたかも。
アイドル的と言う意味ではむしろGIRLですが、グラムロック的なメイクでMUSICLIFE誌の表紙を飾ったり(笑)
そのせいで日本においてはデビッド・ボウイやJAPANと同列に見られていたかも(苦笑)
「HOLLYWOOD TEASE」と言う印象的な曲がヒットしましたが、後はDEF LEPPARD加入前のフィル・コリン(G)が参加していたバンドと言う位でしか記憶に残っていません。
SAMSONはどうしてもIRON MAIDENとの関係が先になってしまう不遇なバンドですし・・・
世代としては、一連のNWOBHMの中でSAXONは一世代前の年齢層でした。
有名処ではKISSのメンバーと同じ1950年代前半生まれですので、デビューに時間が掛かった「苦節○○年」系のバンドと言えるかも。
ちなみにIRON MAIDENは1950年代中盤、DEF LEPPARDは1950年代末〜1960年と、ずっと若いです。
もとい。
その中でSAXONは「硬派で小細工無用の剛腕サウンド」と、いかにもヘヴィメタルと言えるバンドだったと思います。
歌詞も社会派で、労働者階級出身の自分たちの生活を歌う部分が多く、同じ労働者階級(そしてバイカー/アウトロー達)の支持を集めたと言う側面も。
余談ですが、ブリティッシュロックのミュージシャンの多くは労働者階級出身です。
(正確には労働者階級と中産階級の一部。詳しく知りたい方は
こちらへ)
イギリスでは出身階級で聴く音楽やスポーツまで変わって来るのです。
労働者階級出身でヒーローになりたいなら、ロックミュージシャンかサッカー選手になるしかないと言われる所以なのです。
その意味では、IRON MAIDENのメンバーに「オレは貴族なんだ」と自慢した北欧出身の某ギタリストは「それがどうした?」と言い返された程度で済んで幸いだったと思った方がいいのです。
まぁあの人には無理でしょうけど(笑)
再びもとい。
そのSAXONは80年代中盤にアメリカ進出を図り大失敗してしまいます。
前出の「硬派で小細工無用の剛腕サウンド」は影をひそめ、中途半端にカラフルな衣装をまとって化粧までしてしまい、文字通り「LAメタルの出来損ない」になってしまいます。
しかしその失敗を糧として原点に立ち返り、現在ではさらにヘヴィでメタリックなバンドとなって、現役で活動しています。
残念なのは、途中で脱退(解雇)したメンバーとの確執があり、それがかなり表に出ている事ですね・・・
権利関係の訴訟になってしまい、関係の修復は望み薄なようです。
私としては、是非80年代前半のメンバーが揃って欲しいのですが・・・
と言う訳で動画紹介は81年のライヴから!
HEAVY METAL THUNDER
この動画をUPしているユーザー「ODSaxon」
SAXONを解雇されたスティーヴ・ドーソン(B)とグラハム・オリバー(G・左側)によるバンド「Oliver/Dawson SAXON」のアカウントのようです。
・・・こう言う事をしているから訴訟になるんだよなぁ・・・
(裁判により「SAXON」のロゴ使用禁止と、SAXONを名乗る場合は「Oliver/Dawson」を付けるようにと言う判決が下されている)
ちなみに当時のマネージャー曰く、この二人の第一印象は「レンガ職人とイケてない白バイ警官」だったそうです、ひでぇなぁ(苦笑)
で、私が初めて聴いたSAXONの曲はこちらです。
SUZIE HOLD ON
確かシングルカット曲だったんじゃないかと。
で、ですね。
このSAXONの「硬派で小細工無用の剛腕サウンド」
ルーツはきっとこのバンドだと思うのです。
Roll Over Lay Down/STATUS QUO
ステイタス・クオーです。
STATUS QUOとMOTORHEADを結んだ線上にSAXONが居る、と言うのが私の認識だったりします(笑)
しかしこのフランシス・ロッシ(G兼Vo)のマイクの角度・・・レミー(MOTORHEADのB兼Vo)に通じるモノが有りますね。
世代的にも近いし、ひょっとしてどっちかが真似してるのかしらん?
このマイク角度を上向きに90°回転させたのが、ジェイムス・ヘットフィールド(METALLICAのG兼Vo)なのだと思います(笑)