京都のお寺や神社の境内には、楠や杉といった樹齢何百年もの大樹が、そこかしこにあります。ここ、知恩院参道脇で、300年もの長寿をたもつ、「むくろじ(無患子)」の木もそのひとつ。ちなみに、300年前というと、江戸時代、1702年には赤穂浪士の吉良邸討ち入りがあった時代です。
この老樹、若い頃はしなやかに枝を張り、幹も若々しくつやを帯びたであろうかと想像します。樹齢300年、岩のような木皮をかぶり、こわばった枝を張り、それでも天高く、誇り高くそそり立っています。その姿は、永く生きた人の人生ともオーバーラップするかのごとく。
「むくろじ」は、厚ぼったい黄色の果肉をつけた実をたくさんつけます。その固い実は、正月の追羽根の羽子や数珠にも用いられます。また、この果皮は、石鹸の代用にもなるとか。
<知恩院参道脇で、凛とたつ老樹「むくろじ」の木>


0