東京の中目黒に「かのう錦鯉さん」という熱帯魚店があります。
大型魚から小型種、時にはかなりレアな魚まで顔を並べるお気に入りのお店です。
今の勤め先が近いこともあって、お昼休みによく覗きにいくのですが、店に入って左手の大型水槽に看板魚たちが沢山泳いでいるんですね。
※余談ですが小赤を買ったときは会社のデスク下にこっそーりと隠しています。が、どうやら社内の多くの人にバレているようです
紅龍やポルカなど超人気の迫力がある魚ばかり顔を連ねているのですが、その中でいつも僕の心をチクッと刺してくる魚がいるんです。

※これは2012年に高知で撮った個体
そう、ご存知アカメですね。
かのう錦鯉さんの看板魚水槽に泳いでいる80cm近いアカメを見るとこの魚に憧れ、焦がれていた青春時代の記憶がぶわーっって心の中を駆け巡るのです。
recollectionsという言葉がぴったりで、
日本語でいうと追懐といったところでしょうか
青春時代ってみんなそれぞれ一回しかなくて、本当に貴重な時間だと思うのですが、
16歳の頃にはじめて高知に訪れてから20歳くらいまでの間僕はこの魚にそれを捧げていました。
最近は高知にもなかなか行かなくなってしまいました。
理由は色々とあるけれど、この魚の露出が多くなり思うままに釣りをしにくくなったというところが大きいでしょうか。
あとは僕自身が別の夢を見つけてしまったということもあると思います。
でも、かのう錦鯉さんで泳いでるアカメを見るとそんなマイナスな感情なんか、ほんとちっぽけな事で、とにかくこの魚はかっこいいなという気持ちで胸がいっぱいになりますし、そして夢中になってたあの頃の気持ちは消えてなんかないなと思うのです。
で、僕は魚を飼うことも好きだけどやっぱり直接この手で触りたいなと思うのです。
水槽越しに出会うアカメはかっこいいです。そしてゆっくりその姿を楽しむこと、視覚から酔いしれることは出来るけれどもどこかもどかしい感情があって、それが僕の心をチクッと刺すものの正体なんだと思います。
釣りにおいて魚を女性に例える格言などが昔から沢山あって、それは時代的に問題視されるかもしれないけど、僕はわかるなーと思うのです。
好きだからこそ触れたい。触れることが出来ない距離で、何かの隔たりがあって接するのはどこか寂しいんです。
高知の海を泳いでいる彼女たち。
もう一回この手で触れたいという気持ちが高まっています。
我慢できなくなって今年に行くかもしれないし、そのタイミングは来年かもしれない。
でももう一度竿をもって会いたい。
そんな追懐をした東京2017の冬でした。

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