カジキ。
幼いころ、遠い世界の人たちが釣っている魚だと思っていた。
遠い外国のマリーナでお金持ちがクルーザーに乗って、
でっかい道具で死闘を繰り広げるまったく別世界の出来事だと。
はじめてマレーシアに訪れた時、僕はとある地元釣りチームの一員になった。
スマトラ島で心身ともに疲弊していた僕をその友人たちは暖かく迎えてくれた。
野池で小さなスネークヘッドを釣ってはしゃいだり、
マイクロジギングでたくさんのミニグルーパーを釣って中華料理屋に持ち込んだり、
一緒に楽しい時間をすごした彼らが帰路につく僕にかけた一言があった。
「高田があと2週間こっちにいたらカジキ釣りにいけたのにな」
僕は後ろ髪をひかれる思いだった。
だからその場で約束した。
「また必ず来るから一緒にカジキ釣りやろうぜ」
僕はこういう約束だけは絶対に破らないというポリシーがある。
マレーシアに僕は再び降り立った。
この魚は本当に多くの魅力がある。
掛けた瞬間から、ビル(唇)を掴むまで水飛沫の鮮やかさが目に焼き付くのだ。
皆が口をそろえて挙げるのが驚異的なスピード。
ライトなロッドでやると竿が極限にまで絞り込まれる。
ちなみに、セイルフィッシュ(バショウカジキ)は僕が冒頭で触れた幼少のころに想像していたカジキとはまた別のカジキである。ここをご覧になっている皆様はご存知かと思うが、同じカジキでもクロカワカジキなどはもちろんこんな竿では太刀打ちできるようなものではない。
ただ、僕らが普段使っているような道具立てで世界最速の魚と戦えるというところが、幼少のころの僕にとっては信じられないことであり、まさか自分自身がマレーシア沖でそのゲームを楽しんでいるなんて想像していなかった。
そしてこの魚が持つ美しさは幼少の頃に想像していたものを遥かに超えていた。
マレーシアの友人たちもこの魚が大好きだ。
疲れたら休憩。僕らにとって休憩とはchillな釣りのことである。
撒き餌がなくてもサビキでめちゃ釣れ

ミノーでのサゴシゲームなんかも楽しい。
みんな笑顔で港へ帰る。
マレーシアは美食の国。美味しいごはんが待ってるからね。
でもたまに、かなーりすっぱいジュースなんかも待ってる(笑)
いつももらってばかりだからたまにはね。
京都の八ッ橋はマレーシアでも大好評!
帰国の時、「またセイルフィッシュやりにくるわ!」と約束をした。
こういう約束は守るのがポリシーなので、今年はまたセイルフィッシュ釣りに行こうと思う。
今度は一人じゃなくて、日本からも人を連れてね。
最近、例えばフィッシングショーで会った人なんかにはポロリポロリと伝えてるけど、
こういう青春時代に撒いた種がつぼみになり、そう遠くない未来に花が開くと確信してる。
それも僕自信にだけじゃなくていろんな人たちに向かって。
魚が好きなみんなが
釣りが好きなみんなが
素晴らしい経験が出来るように、一歩さらに踏み出せるように。
そういうきっかけを与えてくれる力を持っている魚じゃないかなと思う。
釣りあげた人をこんな笑顔にさせてくれる魚だからね
fin

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