なによりも現役自衛官の人たちにとって大変な事態だろう。
海自特別警備隊「はなむけ」殺人事件である。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20081016k0000m070148000c.html
これが発覚する直前に、2ちゃん見てた自衛官が処分されているが、明らかに自衛隊内に向けた情報統制の試みだろう。
http://www.asahi.com/national/update/1012/TKY200810120036.html
全く最近は不勉強で、海自特別警備隊というものについてもよく把握していなかった。米軍で言えば任務は海兵隊、組織の成り立ちはシールズといったところか。海上自衛隊で74人しかいない、超エリートの特殊部隊である。
そんなターミネーターみたいな奴15人相手に「格闘」である。相手が素人でも死ぬぞ。
自衛隊で除隊を表明したら、めっちゃいじめられるとかそういう話はよく聞く話だが、殺しちゃうなどというのは、もうこれは組織として死に体なのではないのか。
自衛隊は「訓練での事故」で押し切る方針だったようだが、こんなあからさまな殺人が「事故」にされてしまうのであれば、自衛官は殺され放題ではないか。この倫理的腐敗は一体なんなのか?
海自特別警備隊の設立は2001年、この直後に小泉政権が発足している。反戦の野党が全く力を失い、反基地運動が大弾圧を受けてビラまきなどの手段を奪われていく時期に重なる。つまりこの組織は、これまで「反対勢力」による政治的チェックを全く受けていないのだ。
さわぎりでのいじめ自殺問題で、社民党が軍事オンブズパーソン設立に向けて動いている。
http://www4.ocn.ne.jp/~imagawa/onb.htm
悲しいかな社民党なので今や極小勢力、なかなか話題にすらならないが、これマジで必要なのではないのか。つーかこれぐらいしか解決の方針無いんとちゃうやろか?
俺は自衛隊に何度か抗議文持っていくというようなことをして、基地指令とか広報の人とか警備の人とかと議論したりしているのだが、そのたびに自衛官の人が強調するのは、
「自衛隊は規律正しくてきちっとしているので大丈夫だ」
という点であった。
俺はもちろん、これには異論があり、要するに「そういう問題じゃないだろ」ということだが、ただしかし、自衛官の人が自衛隊について、そういう風に考え、それが自衛隊が「大丈夫だ」ということの根拠になってきたということは、内部の人にとってはそれなりのリアリティのある話だったのだろうと思うのだ。しかし、それはどうにもこのようなイジメ殺人を起こしてしまうような実態とはどうにもうまく重ならない話である。
田母神俊雄航空幕僚長の「そんなの関係ねぇ」事件は、衝撃的だったが、これはとてもアホな個人の問題なのだろうなと、てっきり思っていたのだ。
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2008/0421.html
そうではないのではないか。政治的な反対勢力が消滅していく中で、自衛隊はこれまでできなかった制約を次々に突破していき、野放図にやりたい放題ができるようになったと考えたのではないだろうか。その中で、自衛隊はいつのまにか、一国の軍隊としてはありえんようなとてもアホな集団へと転落してしまっていたのではないか。
ともあれ、事態は「自衛官のみの問題」ではなく、ましてや「反戦派のみの問題」ですらない。
表題は高田渡
http://jp.youtube.com/watch?v=mm9VDS-Dlt4
本人が「この歌を聞いて自衛隊に入りました、という人が意外と多くて、大変に困ったことだ」とどこかで言ってた。

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