くっくっく!!
力が漲ってくる!!
既に7人のプリキュアを吸収した・・・残るは10・・・12人
「我が僕よ!」
「「はっ!!」」
光の王ウラーヌスは膝をついた僕達2人をぎゅるぎゅると吸収していった
・・・そろそろ危機感を感じたプリキュア達が集結する頃だろう
その為に泳がせておいたのだからな・・・我が孫娘を!!
ハーーーーーーーーーーーーーーーーーッハッハ!!!
四ツ葉町:クローバーフェスティバル会場
「それにしても・・・暑過ぎない?」
「太陽が眩しい・・・!」
「日差しが痛いよ〜!」
露店のお客からも、苦悶に似た声が漏れ出す
眩しすぎる太陽が人々の皮膚を容赦なく焼き付ける
テントの中で談笑を始めた、ラブ、つぼみ、えりか、美希、祈里、まい、咲で横並びで座っている
最初はみんな露店など、自由行動を取っていたが、余りの暑さにそれどころではなくなったからだ
ラブと隣同士になったつぼみが“間”を嫌って話しかける
「ところで、ラブさんってもう一方、お友達がいましたよね?」
「そうそう!なんか・・・不思議な子!」
さらに隣のえりかが重ねてきた
「あ・・・っ」
先ほどまで満点の笑顔だったラブの表情が曇った
「?」
「?」
「せつなは・・・帰ってこないんだ・・・もう・・・」
「ラブ・・・」
心配そうに顔を覗き込む美希
「あの・・・その・・・ラブちゃん・・・あのね?」
何かを話したそうに、ゆっくりと近づく祈里
そこに
スタアアンッ!!
「みんな!大変よ!!」
「敵が!!敵が迫ってきます!!」
ピンクのコスチュームと紫のコスチュームをした2人が空から『降ってきた』
希望ヶ花市
途中で遭った空間の歪みの干渉を受け、四ツ葉町から離れた希望ヶ花市へと不時着したのだ
「な・・・なんだ・・・これは・・・!?」
灼熱の暑さと、強烈な日差し
そして、つい先ほど目の前で倒され消えた太陽の少女と月影の使者
巨大な光の塊はそれらを飲み込んでから、飛び立っていった
「あいつの強さ、輝き、そして・・・悪の波動・・・みんなが危ない!イースたちに知らせるロプ!!」
シロップは飛行モードに変わり、再び鏡の国へと飛び立った
「・・・・」
「どうした?」
「博士・・・いえ・・・何でもありません」
黒髪、黒衣の女性は視線を外しそう言った
「今、この世界は我々以外の者による侵攻を受けているのは、知っているな」
「はい」
「とても素晴らしい事だとは思わんか?」
「素晴らしい?」
「我々が手を下す事無く、この世界のココロの花が枯れ果てるのだ。これを素晴らしいと言わず何をいうのかな?
ダークプリキュア!」
「・・・・・・」
ここは、薄暗い砂漠の世界
しかし、今日は太陽がさんさんと照り付けている
それを見てダークプリキュアは
「チィッ!」舌打ちした
「お前は・・・お前達はここで終わるのか?プリキュアよ・・・」
鏡の国
その日差しは強く肌を焼き付ける
カツーン!カツーン!カツーン!
汗だくになりながら、槌を下ろすダークドリーム
既に柄は完成し、刀身の打ち下ろしも最終段階だ
「細い・・・!」
イースが驚いたのはその刀身だ
幅にしておよそ2センチ
今まで貰った武器と比べても細い
「この細さで使えるの?」
「大丈夫だよ・・・。イースが一番使いやすい細さはこれで間違いないから」
「?」
「あなたの手を見て初めて気付いたよ。あなた専用の武器は鋭く尖ったエッジのような切れ味がないといけない・・って」
「私の手?」
「うん。あなたを縛る暗い過去の鎖を、鋭く切り裂くエッジのような武器じゃないとって!」
しゅうううううううううううう・・・・
最後の焼き入れを完了し、いよいよ次は磨きに入る
「よしっ!」
はむっ
ダークドリームは自分の呼吸が刀身に掛からないように、タオルを口に咥えた
ドカンッ!
シロップがドアと蹴飛ばして小屋に乱入してきた
「た・・・大変だロプ!!」
「シロップ!早かったのね」
「イース、悠長に構えている場合じゃないロプ!敵が!敵が地上にやって来ているロプ!」
「敵が・・・!」
イースとダークドリームが一瞬視線を合わせる
やはり胸騒ぎはシグナルだったのだ、と
シロップは目撃証言を並べる
・目の前でプリキュアが倒され、吸収された
・敵はプリキュアを狙っている
・光の力を持つ
「遥か昔、光の王が全世界制圧に乗り出したときがあった。『光の氾濫』と呼ばれ、この世界は光に包まれた!」
「光の氾濫・・・ラビリンスの歴史でも語り継がれていたわ。永遠の昼が来る・・・まさに、この夜の終わり」
ぽろっとダークドリームの口からタオルが落ちた
わなわなと震えながら胸を押さえる
「シロップ・・・さっきプリキュアが吸収されたって言ってたよね・・・ひょっとして・・・こ、この胸騒ぎは・・・のぞみが・・・!」
シロップは無言で首を縦に振った
「うわああああああああああああああああああああ!!!」
絶叫しながら、壁に掛けてあった黒いドリームトーチを掴むダークドリーム
「待ちなさい!ダークドリーム!!」
叫んだのはイースだった
「だって!!のぞみが!!私に生きることを教えてくれたのぞみが!!!」
噛み付くような勢いでイースに迫る
しかし、イースの毅然とした表情はびくともしなかった
「私が行くわ・・・」
「イース!」
「あなたは私専用の武器を一刻も早く完成させて!それが武器職人の役目!」
「でも!!」
「武器を使って平和に導くのが・・・私の役目よ!」
拳を強く握り締めるイース
その左手は赤い光を放っていた
右手は黒いオーラを漂わせていた
ダークドリームはその異様ともいえる光景に固唾を呑みながら頷いた
「シロップ!みんなは一体どこへ?」
「それが分からないロプ・・・大体プリキュア全員が揃うような機会なんてそう何度もある事が・・・」
プリキュアの仲間達は普段から遠く離れた場所で暮らしている
有事の際に偶然、皆が一同に集うのだ
同じ空の下にいる仲間達が
今、イースは違うの空の下にいる
仲間が呼ぶ声、悲鳴は聞こえない
「ヒントが無ければアカルンで移動も出来ない・・・!一体どこに・・・はっ!」
イースはある事を思い出した
「ダークドリーム!あなた昨日の武器と一緒に手紙くれなかった?」
「手紙?いつも一緒に箱の中にいれているの?」
「違うわ!ねえシロップ!?」
「ロプ!」
「それ・・・私じゃないよ!」
「えっ!?」
「じゃあ・・・あの手紙は!?」
シロップは無言だ
立場上、誰から送られたかは言えない・・・というより職業柄、差出人は見ないことにしているのだ
「私・・・帰って見てくるわ!」
イースはアカルンを召還し、赤いリンクルンにセットした
とたんに赤い光がリンクルンからあふれ出す
目を閉じて、リンクルンに念を送る
「ラビリンス。私の部屋へっ!」
ぱわわわわわわわわわわ・・・・
「シロップ!ダークドリームの武器が完成したら私の元へ送り届けて!」
赤い光に包まれながら、イースは叫ぶ
「おいおい!料金は!?」
「着払いで!!」
シュウウウンンッ
光とともにイースは姿を消した
「ちっ!配達場所教えてからにしてくれロプッ!」
と、シロップは履き捨てた

0