三条陸版フレッシュプリキュア その9〜特異点〜です
4人力をあわせようと勝ち目が無いと言い切るメビウス
それに対し、たった一人でメビウスに挑むと言うキュアパッション
彼女の両手に輝く光と闇の闘気
「最後の手」とは
「「「最後の手!?」」」
ピーチ、ベリー、パインが揃って叫ぶ
「・・・・」
パッションは一呼吸置いてから口を開いた
「この・・・光と闇の力を全開にするわ・・・!!」
「・・・フッ・・・フフフフフフッ・・・」
メビウスが嘲笑する
「フハハハハハハッ!何を言い出すかと思えば・・・!
では何か?今までは全力では無かったとでもいうのか?力を温存していたとでも?
ハハハハハ!!何かと思えば子供の絵空事か!!」
それに対しパッションは真顔で否定する
「・・・今までも全力だった・・・けど、それは・・・“私(キュアパッション)が私でいられる中”での話よ・・・!」
「何!?」
「・・・多分、私にはそれ以上がある!」
パッションの言葉にメビウスの眉が動いた
(特異点・・・!)
「ラブ、美希、ブッキー・・・思い出して・・・私がイースだった頃、ナキサケーベのカードを使ったときの私を・・・」
イース時代、全てに追い詰められた彼女は禁断のアイテムナキサケーベのカードを使い、闇の力を暴走させた
その時の彼女はプリキュアを倒すためだけに、ただ何もかも破壊してやりたい気持ちに囚われていた
パッションは言う
「私・・・わかるのよ。戦っていても実感できていたの・・・
左手に輝くプリキュアの力を10とするなら、イース時代の闇の力は常に3か4ぐらいしか出ていない事が・・・」
「!!!???」
語られる事実・・・プリキュアだけでなくメビウスもキュアパッションの一言一言に耳を澄ます
「恐らく私の体がセーブをかけているのよ。正常でいられるレベルに闇の力を・・・
だから、意識的に両方の力を全開にすれば・・・!
爆発的に強くなれるはず・・・」
キュアパッションの恐ろしい思いつきにピーチは堪らす
「やめてえええっ!」と大声で叫んだ
「ラブ・・・」
「やめてよ!ダメだよ!せつな!!それってせつながせつなじゃ無くなっちゃうって事だよね?」
「・・・ラブ・・・私だってそんなの嫌よ・・・怖いわ・・・どんな姿になるかもわからないし・・・またイースに戻るかもしれない・・・
しかも・・・敵を倒したら元に戻れるかも・・・それさえ・・・」
パッションは無念そうに目に涙を浮かべながら続けた
「みんなの力で勝ちたかった!最後までプリキュアとして・・・地上の平和を守りたかったわ・・・
自分が自分で無くなっちゃうなんて・・・でも・・・でもね・・・
私が魔獣になってしまうよりも・・・みんなの明日が踏みにじられてしまうのは・・・
もっと嫌なの!!!」
「せつな・・・」
「ラブ・・・これしかないのよ・・・これしか・・・!!」
ぎゅっ
パッションの悲痛な背中を抱きしめる者が現れた
「美希・・・」
「・・・あなたバカよ。本物のバカ・・・あたしたちと地上の未来を救う為に、自分自身の存在すら捨ててしまおうっていうんだから・・・ね・・・」
「美希・・・驚かないでね・・・私がどんな姿になっても・・・」
「誰が!当然最後まで完璧に見届けるわ!」
ベリーは泣きながらパッションの桃髪をくしゃくしゃに擦る
「・・・うん、どんな姿になってもせつなちゃんはせつなちゃんだって私信じてる・・・!」
「・・・せつな・・・帰ってきたらみんなで幸せゲットしようね・・・!」
「ブッキー、ラブ・・・ありがとう・・・みんな・・・精一杯・・・頑張るわ・・!」
美希はパッションから手を離し、他の2人と同様、最後の戦いを見届けるため一歩退いた
次の瞬間!
「「「きゃああ!!」」」
パッションの背後から3人の悲鳴
「!!?」
ピーチ、ベリー、パインの立っていた場所の床が割れていた
「ラブ、美希、ブッキー!!」
「「「キャアアアアアアアアアアアアアア・・・・・・・・・・・・・」」」
「わあああああ!!」
パッションが必死に手を伸ばそうとするも、時既に遅し
プリキュア3人は奈落の底へと落とされた
キッ!
強い視線でメビウスを睨むパッション
「・・・フッ!フフッ!残念だったなあ。勇姿を見てもらえんで!!奴らは全てこの空中戦艦の地下深く落ちた!!もはや脱出不可能だ!!」
「・・・!!」
パッションはギリギリと歯をかみ締める
「怒るか?怒れ怒れ!言ったような力が本当にあるならこれで出しやすくなっただろう!!」
グググググ・・・
パッションの両拳に力が帯びる
メビウスはさらに彼女を挑発し続ける
「そんなバカげた力があるなら見てみたいわ・・・!!
カーーーーーーーーーーーーーーーッハッハッツハッ!!」
メビウスの笑い声だけが戦艦中に響き渡った
「・・・・・」
その時
せつなの中で
何かが切れた・・・!!!
「・・・だったら・・・だったら・・・・見ろよ・・・!!」
キュアパッションはそう呟くと、両手の闘気をさらに高め、両手のひらを合わせた
「ウッ!!!その構えは・・!?」
メビウスはとっさに防御態勢をとった
せつなが
これをやめたのは、ラビリンスからの頭脳支配を逃れるためだった・・・!!
全ての力を解放するため、今彼女はその封印を解く!!
「スイッチ・・・オーバー・・・!!!!」
バキィイイイイン!!
粉々に砕けるパッションティアラ
その代わりに、額に輝くラビリンスのマークと鋭角に変形した4つのハートのマーク
失われた瞳の輝き
キュアパッションのカラーデザインのイース・・・その姿を現した
「オオオオオオオッ!!!!」
メビウスは初めて他者に恐怖の声を上げた
目の前にいるのは、プリキュアでもラビリンスの戦士でもない
・・・全く得体の知れない未知の存在
しかも、それは明らかに自分の敵!
自分を倒すためだけに存在するもの!!
ドンッッツ!!!!!!!!!
アルティメットパッションがオーラを放つとその凄まじさからラビリンス総統は確かにこう言った
「・・・ば・・・化物・・・め!!!!」
「その通りだ・・・メビウス・・・お前以上のな!!!!」

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