どんな仕事でも趣味でも、他人には分からない業界用語があるはずだ。
それと同じで、その業界の人は必ず知ってても、他人には全く分からない業界有名人がいる。
しかし、その業界有名人が世間の有名人と同じ名前の事がある。それは別にいい。
厄介なのは、その同じ名前の二人を語る時の会話が微妙にかぶってる時だ。
例えば、世間のイチローは勿論マリナーズのイチロー。が、俺達のイチローは、日米の銃業界の重鎮。日本のガンマニアで“イチロー ナガタ”を知らない人はいない。
現在アメリカ在住。広大な敷地の家に住み、職業は銃雑誌のカメラマン兼リポーター。趣味でも仕事でも大好きな銃を撃って生活している。
勿論、俺達の会話では「イチローって凄いよな。好きな事やってアメリカ行って大きな家に住んで。勿論、表に出さない苦労はあったんだろうけど。」だ。
そのまま世間のイチローに当てはまる。
例えば、世間の斉藤さんは、悪い事は悪いとハッキリ言う、ドラマの主人公。が、俺達の“齋藤さん”は、自衛隊、フランス外人部隊を経て、イギリスの警備会社と契約。イラクに派遣後、武装勢力に殺害された齋藤 昭彦さん。
俺達の会話では「齋藤さんも、あれだけバイタリティが有るんだから、もう少し世間に迎合してればね。」になる。
これも世間の斉藤さんに当てはまる。
これから俺が、イチロー、齋藤さんと言った時は、勿論“俺達の”と理解して欲しい。

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