ビリーさんの来日をスター扱いで報じてるマスコミってのはバカしかいないのか?
「ビリーズブートキャンプ」をやった事は無いけど、良いフィットネスだとは思う。けど俺の部屋は狭すぎてあんな運動出来ない。それは良いが、俺が気に入らないのは軍隊式だってうたってる所だ。
彼の話が本当なら、イラクで米兵のトレーニングを担当してた事になっている。民間人の彼が軍のトレーニングをしてたのであれば、恐らく国防総省と契約してたんだろう。そうなると、もはや民間軍事会社の仕事だ。ハイレベルな射撃術を教えるのも、ナイフで敵を殺す方法を教えるのも、身体能力を高めるフィットネスを教えるのも何ら変わり無い。全ては兵士が戦場で生き残る為に必要な能力だ。逆に言えば身体能力が低くければ、昼間50度にもなる様な場所で、20Kgの装備を着けてハイレベルな射撃は出来ないし、ナイフで格闘する事もできない。バカでも分かる理屈だが、ビリーは明らかに戦争に関わり、それを商売にしてる人間だ。別にそれ自体を悪いとは思わ無い。俺が許せ無いのは、イラク戦争に大声で反対してるヤツらが、そんな人間を面白おかしく扱ってる事だ。
例えば、日本人の空手有段者がイラクで米兵に空手を教えたとしよう。それを売りに「軍隊式空手フィットネス」なんてDVDを出したとする。その人が、気さくで楽しいキャラクターだったとして、面白おかしく扱えるだろうか?絶対に無理だ。それが陽気な黒人なら良いのか?ふざけた話だ。
最後に興味深いエピソードを紹介したい。米海軍特殊部隊シールズ出身のスコット・ヘルヴェンストンはその肩書きで、ハリウッドの軍事コンサルタントの職を得ていた。「GIジェーン」ではデミ・ムーアのトレーナーを勤め、役者としても教官役でスクリーンデビューしている。その後、テレビ番組に出演したり、「海軍特殊部隊式エクササイズ」のビデオシリーズを製作したりして、深夜の通販番組ではおなじみの顔になっていた。しかし彼には運が無かった。俳優業もビデオも売れず、自己破産してしまう。自宅も手放し、キャンプ場の警備員として働くが年収は日本円で170万円程度だったと言う。そして彼に最期の不幸が訪れた。高額の報酬が約束される最大手の民間軍事会社「ブラック ウォーター社」に採用された彼は、イラクに派遣された後、全米を震撼させる事件の主役となる。ファルージャで民間人4人が襲撃され、その死体は燃やされ、市内を引きずられ、橋から吊され、その映像が世界中に配信された。その中の一人が彼だ。彼の物語はここで終わりだが、それで
は終わらなかった。事件後、米軍は明らかな報復作戦を開始する。6000人規模の米軍、2000人規模のイラク軍が市内に展開し、1200人のイラク人戦闘員、600人の市民、70人の米兵が命を落とした。これこそが、ビリーがトレーニングに訪れたイラク戦争なんだ。
俺にはスコットとビリーの違いがどこにあるのか分からない。共に戦争とエンターテイメントを生業にした者ではないか。もしビデオが売れていれば、スコットはイケメンインストラクターとして来日してたかもしれないし、もしDVDが売れていなければビリーはイラクで死んでいたかもしれない。

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