実は今日のお話、1ヶ月位前の出来事です。たまたまフラッと立ち寄った楽器屋さんで案の定レスポールを試奏してました。自分はえらくそのギターを気に入り悩んでいました…。
そこにさっそうと自分より2回りは上かと思われるおじさんが入って来ました。そのおじさんは前日ギターを購入したようでそれを取りに来た様子です。そのおじさんもフラッと立ち寄った際にそのギターに一目惚れをし、いさぎよく購入を決めたようです。
店内に他のお客さんが全く居ない事もあり。店長とそのおじさんと音楽やギターの事をあーでもないこーでもないと語りあっていました。ひょんな事からお互いの地元の話しになり、自分とそのおじさんは地元が一緒だという事が発覚しました。
親近感も沸き談笑の輪が広がりました。そして自分がギターを購入するのに悩んでいる姿を見て、おじさんは参考程度で良いから自分の話しを聞いてくれと言ってきました。
『僕は来週離婚するんだ。もう決まっている事でどうする事も出来ない。そして今年父が亡くなったんだ。長い介護生活からやっと解放されたよ。あと半年前に交通事故に遭った。でも保険が下りてお金が入ってきたんだ。』
『僕は新しい人生が始まり自由になる。そこで大好きな音楽やギターを楽しみたいと思った。新しいパートナーにこのギターを選んだ。この先の将来が楽しみでしょうがないよ。』
悲観的になりそうな身の上話しを臆する事もなく語ってくれたおじさん。ギターの腕はお世辞にも上手いとは言えなかったけど、おじさんの音はこの先の将来を照らすかの様に輝いていた。きっとこのギターはおじさんの愛情をたっぷりと注ぎ込まれて成長していくのだろう。いい持ち主に巡り会えたね。
ギターってその人の心の支えになったり、人生の決断をさせたり、時には迷わせたり、狂わせたりしてくる。ただの木の削り出しの塊なのに、共に過ごす時間は家族よりも長いかもしれないし、愛情も沸いてくる。音が出なくなったら悲しいでしょ?折れたら泣くでしょ?
ギターによって一期一会の出会いもあって1本1本にストーリーがある。壊れたら買い換えればいいってものじゃない。今世の中に溢れてる使い捨ての道具とはとても比較出来ない。
おじさんの音がそう思わせたのか、自分がただ悩んでいただけだからだったのか……。
おじさんと1つ約束した
将来絶対に一緒に音を出そうと
それを目標に毎日練習するからと
楽しみがまた1つ増えたとおじさんは去っていった