LAのSHADYなDOLLS

RAVING MAD / SHADY LADY (RAVE UP)
朝から晩までモトリークルーでオドリークルーな輩がカリフォルニア・ガールズと「まるっきりパラダイス!(by デヴィッド・リー・ロス)」してる夢のような町、それがLA!!
・・・・・・と、子供の頃の俺は信じて疑わなかったもんだ。しかし、今となっては、Xの『ロスアンジェルス』やデッド・ケネディーズの『カリフォルニア・ユーバー・アレス』やドアーズの『LAウーマン』を聴き、その陰鬱さを実際に耳で確認してみるまでもなく、『夢のカリフォルニア』や『ホテル・カリフォルニア』を頭の中で再生してみりゃあ、それが決して陽気な曲じゃなかったことも明白なわけで、それを決定づけたのは例のジャームス本であったりもする。
とかなんとか話がまわりくどくなったが、LAガンズや、それ以前のガールが登場するよりも前に、最高にイカして、なおかつグリッターなロックンロールをプレイするバンドがロス・アンジェルスにも存在したことがここ数年わかってきた。その中でもとびっきりのモノを紹介させていただく。
元々この土地で、かのロドニー・ビンゲンハイマーが「RODNEY’S ENGLISH DISCO」というグリッターなクラブをオープンしていたこともあってか、LAにはグラムロックはしっかりと根付いていた。そして、そのパイオニア的存在となるバンドが、この度めでたくRAVE UPより発掘発売されたSHADY LADYなのである!!
SHADY LADYは70年〜72年くらいの時期に活動していたバンドで、メンバーには後に伝説のSci-Fiグラムバンド、ZOLAR−Xにヴォーカリストとして参加するZory Zenith(Billy McCartney)がドラマーとして参加している(ジャケット中央に映る赤い髪の宇宙人みたいな人物がそれか?)。
ロドニーが言うに「彼らはロスアンジェルスで最初にして真の意味でのアンダーグラウンドなバンド」だったようだが、たしかにメンバーには謎の鉄仮面もいるし、かなり異彩を放つ早すぎた存在だったのであろう。
さて、そのサウンドの方だがローリングストーンズの影響を色濃く感じるロックンロール。いや、というよりも、後のストーン・ピープルの多くが拡大解釈し続ける“ルーズでダーティーでスリージィーなロックンロール”をやってると言った方がわかりやすいか。しかしながら、アコースティック・ギターで切々と歌われる実にストーンズ・ライクな楽曲などもあり、彼らがかなり腰の入ったロックンロールバンドだったことがわかる。サンクス・リストをのぞけば「BUDDY MILES FOR YOUR DAILY DOSES OF INSPIRATION」なんて言葉があるのも心強い。
また、時折 “むりやりねじ込んだような”宇宙サウンドも顔を出し、あぁ、これが後にZOLAR−Xで実現化するのね、っと想像することも可能だ(クレジットには「スティーヴィー・ワンダーのシンセサイザーを使った」とのホントかジョークかわからぬ言葉も記されている)。
まぁ、今更書くまでもないが、彼らはNYの地下で蠢いていた“あの偉大なるバンド”と同時多発的に存在した・・・いわばLAのドールズなのである。ただし、NYのソレよりいささか陰鬱な、そうSHADYなドールズなのだ(アレ?)。
彼らは、なんらかの機を逃したために陽の目をみることはなかったのかもしれぬが、このドギマギするよな、ただ事ではない感たっぷりのロックンロールが時を経ても色あせることなくこうして我らの耳に届いたことを感激するしかない。
SHADY LADYの荒れ狂い続ける(=RAVING) 狂気は、時代の闇に葬り去ろうとしようが、地下に追いやろうが、檻に幽閉しようが、鉄仮面をつけようが、抑えることは不可能だったようである。

3