2018/1/31

訃報:Denise LaSalle 1939-2018  R&B/ソウル

デニス・ラサールが2018年1月8日、テネシー州ジャクソンにて亡くなりました。78歳でした。

病名などは不明ですが、昨年10月に入院し右脚の切断手術を受けていました。しかし、逆境にも関わらず、本人は元気だと伝わってきていただけに、新年早々の訃報は一層残念に思いました。

1939年にミシシッピ州のデルタ地域で生まれたデニス。1967年チェスより"A Love Reputation"でレコード・デビューを果たしました。その後1971年に彼女の最大のヒット曲となる"Trapped by a Thing Called Love"をリリースします。

1980年代に入るとミシシッピのマラコ・レーベルと契約。多くの作品を同レーベルより世に送り出しました。

ブルースとソウルを跨いでの活躍でしたが、最後の来日となった2010年のビルボードライブ公演では、ブルースを中心に謳っていたのが思い出されます。

これまで来日は1980年、2004年、2010年の計3回。1986年にも来日が一度は決定したものの、その際はテロを恐れてデニスがツアーをしたくないという理由でキャンセルとなっています。

2010年の来日公演については、当ブログでレポートを掲載しているので、リンクを貼っておきます。

Denise LaSalle、6年ぶりの来日公演レポート(2010/11/27)
http://black.ap.teacup.com/sumori/529.html

リック・ホールに続き、新年から寂しいニュースでした。
0

2018/1/9

訃報:Rick Hall 1932-2018  R&B/ソウル

新年早々、フェイム・スタジオのオーナーの、リック・ホールの訃報が飛び込んで来ました。1月2日にアラバマ州の自宅にて亡くなったそうです。85歳でした。近年は老人ホームで過ごしていましたが、クリスマスのために自宅に戻っていたそうです。

彼はパフォーマーではありませんでしたが、プロデューサー、レコーディング・エンジニア、ソングライターとしてソウル、R&Bの名作を多く世に送り出しました。アラバマ州北部の田舎町、マッスルショールズを世界的に有名な音楽の中心地に仕立てあげたのは彼の功績です。

歴史は1959年、ホールと彼のバンド仲間のビリー・シェリルがトム・スタフォードからの誘いを受け、音楽の出版社とスタジオを設立したことから始まります。この出版社/スタジオはアラバマ州フローレンスにあったスタフォードの父親経営のドラッグストアの2階にオフィスを構え、Florence Alabama Music Enterprise(略称:FAME)と命名されました。しかし、まもなくホールは2人と対立しフェイムは事実上頓挫してしまいます。

この挫折を乗り越え、ホールが再びマッスルショールズの地でスタジオの経営者として立ち上がり、フェイムの歴史が事実上ここからスタートすることとなりました。

1961年、アーサー・アレキサンダーがフェイムで"You Better Move On"をレコーディング。これがビルボードチャートの24位を記録するヒットとなります。この曲は海を超えてイギリスにも届き、ローリングストーンズがカヴァーしたことによって更に知られることとなりました。

1966年には、リック・ホールはアトランティックと手を組み、ウィルソン・ピケット、アレサ・フランクリンといった大物がフェイムにレコーディングにやってくるようになりました。しかし、その3年後、1966年にはホールはアトランティックと袂を別つこととなります。フェイムのスタジオ・ミュージシャンたちはアトランティックの支援を受けてマッスルショールズ・サウンド・スタジオを設立。音楽ビジネスの流れはそちらに持って行かれ、フェイムの全盛期は終わりを告げたのですが、その後もフェイム・スタジオは今日までレコーディング・スタジオとして存続していきました。近年では、昨年リリースとなったグレッグ・オールマンの遺作「Souther Blood」がここでレコーディングされています。今後も、ホールの息子ロドニーの経営で続いていくことでしょう。

2013年には、マッスルショールズを歩みを取り上げた映画「黄金のメロディ〜マッスル・ショールズ〜(原題:Muscle Shoals)」が公開されました。ここでリック・ホールとフェイムのことも詳しく取り上げられているので、ぜひ見てほしいと思います。この映画のあと、ホールに再び注目が集まり、2014年にはグラミー賞も受賞することになりました。

映画「Muscle Shoals」
http://black.ap.teacup.com/sumori/1464.html

山あり谷ありの人生で、リック・ホールは多くの素晴らしいサウンドを世界に発信してくれました。ひとりの音楽ファンとしてこれは感謝の気持ちしかありません。
4

2017/6/20

Lawrence "Boo" Mitchellインタビュー  R&B/ソウル

クリックすると元のサイズで表示します
Lawrence "Boo" Mitchell


先にここでも告知しましたが、映画「約束の地、メンフィス 〜テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー〜」の国内上映が始まりました。

そのプロモーションのために来日したロイヤル・スタジオのプロデューサー、ローレンス"ブー"ミッチェルにさる6月15日、インタビューをしました。

幼少期から父親ウィリー・ミッチェルの仕事を目の当たりにし、ミュージシャンたちと触れ合って来た彼の話は一言一言が面白く、映画への興味もより一層湧いて来る内容となっているんではないかと思います。

当初はインタビューはこのブログに掲載する予定でしたが、長くなるので、ブルース銀座本体の方に載せました。多少体裁は整えましたが、インタビュー丸ごと、ノーカットでお届けします。

お楽しみ下さいね。

メンフィスのハイ・サウンドを生み出した伝説的なロイヤル・スタジオを経営するプロデューサー
ローレンス“ブー”ミッチェル・インタビュー
http://bluesginza.web.fc2.com/jj/boo.html
0
タグ: Memphis soul R&B

2017/6/11

映画「Take Me To The River」公開  R&B/ソウル

クリックすると元のサイズで表示します

ブルース、ソウル好き必見の映画が公開となります。

「約束の地、メンフィス 〜テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー〜」(原題:Take Me To The River)は、アメリカ有数の音楽都市、メンフィスの豊かな音楽文化を、オリジナル・セッションの数々を通じて紐解いていくドキュメンタリーです。

メンフィスは、その昔ハイ、スタックス、サン、ゴールドワックス、デュークといったレーベルが次々と設立され、街のシーンからB.B.キング、アル・グリーン、エルヴィス・プレスリー、アイク・ターナー、リトル・ミルトン、ルーファス・トーマス、ブッカーT&ジ・MGズなど、数々の大物が世界に向けて羽ばたいていきました。

シーンの中心となったレコーディング・スタジオのひとつがウィリー・ミッチェルのロイヤル・スタジオです。ハイ・レコードの名作のほとんどがこのスタジオでレコーディングされ、レーベルが亡くなった現在もスタジオは健在です。メンフィスのシーンの黄金期を知るミュージシャンたちが、この映画のためにロイヤル・スタジオに集まり、セッションを展開します。

ボビー・ブランド、メイヴィス・ステイプルズ、オーティス・クレイといった説明不要のスターも登場しますが、ウィルソン・ピケットやアイザック・ヘイズのバンドで活躍したギタリスト、スキップ・ピッツ(近年はボーキーズにも参加)やハウリン・ウルフの右腕だったヒューバート・サムリン、昨年来日もしたウィリアム・ベルもフィーチャーされています。

この映画の面白いところは、ただヴェテランたちを集めた懐古主義的なセッションに終わらず、彼らを若い世代のミュージシャンと引き合わせ、新たな音を生み出す試みをしているところです。例えばオーティス・クレイは名曲"Tryin' To Live Without You"を歌いますが、そこに幼いアーティスト、リル・P・ナットがラップを被せます。音としても面白いですが、P・ナットを見つめるオーティスの嬉しそうな表情がまたいい感じなのです。世代を超えた交流を通じて感じられるのは、立場も個性も違う彼らが皆メンフィスの文化を愛していること、そしてそれを未来に残していきたいという強い思いです。

これは2014年の映画ですが、ここに登場する人たちの中にはスキップ・ピッツやボビー・ブランドなど、映画の完成を見ずに世を去った人たちもおり、彼らの元気な姿を記録した映像として非常に貴重だと思います。この映画の中心的な役割を担っているノース・ミシシッピ・オールスターズのルーサー・ディッキンソンが「この映画プロジェクトについては何年も前から話はしていた。その時点で作り始められればよかった。というのも、その間も多くの人たちが亡くなっているから」と語っていたのは印象に残りました。

完成から3年を経て、ついに日本での公開が実現します。6月17日に新宿K's Cinemaで封切られるのを皮切りに、全国で順次公開が予定されています。映画公開に合わせ、ウィリー・ミッチェルの息子で、現在ロイヤル・スタジオの経営者でもあるプロデューサーのローレンス・”ブー”・ミッチェル(映画の中にも出てきます)が来日し、劇場でのトーク・イベントなどを行います。こちらも楽しみです。

今年2月にはウィリアム・ベルがスタックス復活作でグラミー賞を初受賞、4月には、メンフィス・ソウルのヴェテラン・シンガー、スペンサー・ウィギンズが初来日し大いに盛り上がりました。ロバート・クレイはハイ・リズム・セクションとの共演でメンフィス・ソウルを全面に押し出した新譜「Robert Cray & Hi Rhythm」を発表したばかりです。メンフィスの話題で盛り上がる中、この映画の公開でさらに、この流れが続いていくのは嬉しいことです。

やはり音楽映画は劇場で見たいですね。お見逃しなく!本当にほっこりする楽しいセッションの数々です。

公式サイト
http://www.curiouscope.jp/Memphissoul/
https://www.facebook.com/takemetotheriver.jp/

予告トレーラー



【映画情報】
邦題 約束の地、メンフィス 〜テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー〜
原題  Take Me to the River
製作年 2014年
製作国 アメリカ
監督 マーティン・ショア
プロデューサー 
   マーティン・ショア
   コーディ・ディッキンソン
   ローレンス・“ブー”・ミッチェル
   ジェリー・ハリソン
   ダン・サメハ
   ブレット・レナード
時間 98分
日本配給 キュリオスコープ
キャスト  • テレンス・ハワード
      • メイヴィス・ステイプルズ
      • イヴォンヌ・ステイプルズ
      • スヌープ・ドッグ
      • ブッカー・T・ジョーンズ
      • ホッジズ・ブラザーズ(リロイ、チャールズ、ティーニー)
      • ボビー・ラッシュ
      • ウィリアム・ベル
      • チャールズ・”スキップ"・ピッツ
      • チャーリー・マッスルホワイト
      • アル・ベル
      • リル・P・ナット
      • オーティス・クレイ
      • ボビー・ブルー・ブランド
      • テレンス・ハワード
      • アル・ベル
      • デイヴィッド・フッド
      • マーヴェル・トーマス
      • スコット・ボマー
      • ベン・コーリー
      • ノース・ミシシッピ・オールスターズ
      • フレイザー・ボーイ
      • エリック・ゲイルズ
      • ローレンス・“ブー”・ミッチェル
      • ロバート・プラント 他

【公開記念イベント】
「ソウル・トーク・セッション メンフィスの音楽と街の魅力を語りつくす」
2017年6月18日(日)
・12:40の回 上映後
・14:40の回 上映前
会場:新宿K’s cinema 
〒160-0022東京都新宿区新宿3丁目35-13 SHOWAKANビル3F
TEL:03-3352-2471
http://www.ks-cinema.com/

出演:湯川れい子(音楽評論家 作詞家)
   ローレンス"ブー"ミッチェル (ロイヤル・スタジオ総責任者)
MC:Mike Koshitani (音楽評論家)


「公開記念! サイン会付スペシャル・トークショー」
2017年6月18日(日)@代官山蔦屋書店3号館2F音楽フロア
開場18:00 開演18:30
ゲスト:
ローレンス"ブー"ミッチェル (ロイヤル・スタジオ総責任者)
菊田俊介 (ミュージシャン)
Mike Koshitani (音楽評論家)
観覧自由
http://real.tsite.jp/daikanyama/event/2017/05/post-335.html

クリックすると元のサイズで表示します
Otis Clay

クリックすると元のサイズで表示します
Charles "Skip" Pitts

クリックすると元のサイズで表示します
Ian Siegal (left), Eric Gales (center), and Hubert Sumlin

クリックすると元のサイズで表示します
Bobby "Blue" Bland

クリックすると元のサイズで表示します
Charlie Musselwhite
2

2017/4/24

熱いソウルでした、スペンサー&パーシー・ウィギンズ  R&B/ソウル

1960年代にゴールドワックス・レーベルから名作シングルをリリースした伝説的なサザンソウル・シンガー、スペンサー・ウィギンズ。彼のライヴを見られる日が来るとは、かつては考えられなかったでしょう。しかし、50年もの歳月を経て、遂に彼が初めて日本にやってきました。しかも弟のパーシーまで一緒に。

二人とも70年代以降、歌手活動から長らく身を引いていたことを考えれば、まさに奇跡の来日です。

会場となったビルボードライブ東京は、開演前から多くの熱心なファンでごった返し、熱気ムンムン。やはりみんなこの日を相当楽しみに待っていたんですね。

ステージは、まずはパーシー・ウィギンズが登場。今回のバンドにはハイ・レーベルで活躍したリロイ(ベース)とチャールズ(オルガン)のホッジズ兄弟も参加。彼らへの敬意を表するということなのか、かつてのハイの看板スター、アル・グリーンの"Love And Happiness"からスタートしました。リロイのファンキーなグルーヴに心地よく鳴り響くチャールズのオルガン。彼らの好サポートで会場は早速ソウルフルな雰囲気に包まれました。

パーシーはグレーのスーツでビシッと決め、60年代のアトコやRCA、アベットのシングルからのナンバーを中心に披露しました。軽快な"Can't Find Nobody"では、動きもキビキビしていて歌もノリノリです。ホーン・セクションもいい感じ。一方、バラード"Book of Memories"では、優しくも熱い歌声を十二分に聴かせてくれました。若い頃と遜色ないいい声です。

パーシーが冒頭30分あまりを歌ったあと、いよいよMCの紹介で兄のスペンサー登場。しかし、2009年時点の映像より、正直言ってだいぶ老け込んだ印象でした。抱えられるようにしてステージに上がった彼は、ゆっくりと歩き中央へ。

パーシーもそのまま残り、二人でデュエットしたのは、2013年にボーキーズとレコーディングした名曲"The Dark End of The Street"。見た目は年を取っても、スペンサーは歌い出すと、低く深みのある歌声に思わずため息がでました。

軽くまろやかな歌声のパーシーとは対照的で、このハーモニーは絶妙でした。いきなり涙腺にきてしまいました。いやぁ、この1曲だけでも来た甲斐があった!

スペンサーは、あまり動きもなく、表情もあまり変えずに歌っている感じではありましたが、歌はさすがの貫禄を感じましたね。若い頃と同じというわけにはいかないですが、まだまだ魅力は失われていません。逆に年を重ねた彼の姿を目の当たりにし、歳月の重みを感じ、ぐっと来てしまいました。

"Uptight Good Woman"では、終わると見せかけてまだまだ歌うというパフォーマンスをしつこいくらい続け、気力十分なところを見せてくれました。なんといっても、彼は登場してから1時間あまり、全く座ることもなく、歌い続けたのですから、ぱっと見以上に元気と言えるのではないでしょうか。

曲によってはキーをオリジナルよりも下げて歌っているものもあり、高い声はもう出ないのかと思いきや、結構裏声のファルセットもしっかりやっていました。スペンサーが登場してからもパーシーはところどころコーラスを中心に参加。アンコールでは、サム・クックの名曲"Bring It On Home To Me"を再度がっぷり二人でデュエットし、フィナーレとなりました。

終わった時点でもう11時を回っていましたが、それからサイン会スタート。参加したいのはやまやまでしたが、長蛇の列ができていて、絶対終電を逃しそうなので、諦めて帰路につきました。でも後になってもじわーっと感動がこみ上げてくるいいライブでした。ビルボードライブの公演としては長めの90分超えでボリュームも十分でしたし。

本当によく来てくれたなと思います。

なお、ゲストで出演予定だったイーライ・ペーパーボーイ・リードは、公演数日前のドタキャン。理由はわかりませんが、終わってみれば彼には悪いけど、彼がいなかったおかげでウィギンズ兄弟をじっくり聴けたのかも。彼はまた別の機会に見ることができるでしょう。

以下セットリストです。2日間で計4回の公演。僕は一回した見ておりませんが、人に聞いたところでは、若干曲目を入れ替えていたようです。



Spencer Wiggins featuring Percy Wiggins, The Hodges Brothers (Hi Rhythm Section)
Tuesday, April 18, 2017, 2nd set (21:30)
Billboard Live Tokyo

Percy Wiggins [21:30-22:06]
1. Love And Happiness [Al Green cover]
2. Can't Find Nobody (To Take Your Place) [Atco single]
3. Look What I've Done (To My Baby) [Abet single]
4. It Didn't Take Much (For Me To Fall In Love) [RCA Victor single]
5. Book Of Memories [Atco single]
6. I've Never Found A Girl [Eddie Floyd cover]

Spencer Wiggins [22:06-23:06]
7. The Dark End Of The Street [with Percy-The Bo-Keys single]
8. Lonely Man [with Percy-Goldwax sigle]
9. Uptight Good Woman [Goldwax single]
10. What Do You Think About My Baby [Bandstand USA single]
11. Old Friend (You Ask Me If I Miss Her) [Goldwax single]
12. He's Too Old [with Percy-Goldwax sigle]
13. The Kind Of Woman That's Got No Heart [Goldwax single]
14. I'm At The Breaking Point [with Percy-Fame single]
15. Double Lovin' [with Percy-Fame single]
-encore- [22:55-23:06]
16. Bring It On Home To Me [with Percy-Sam Cooke cover]

Spencer Wiggins - vocals
Percy Wiggins - vocals
Charles Hodges - hammond b-3 organ, keyboards
Leroy Hodges - bass
Derrick Martin - drums
Patriq Moody - trumpet
Michael Roberts - tenor saxophone
Peter Montgomery - guitar
2



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ