2021/3/14

アリサ・フランクリンの幻の映画、遂に公開  R&B/ソウル

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アリサ・フランクリンが1972年、ロサンゼルスの教会で行ったゴスペル・コンサートを記録した映画「アメイジング・グレイス」が49年の歳月を経て、遂に日本で劇場で公開になります。

このコンサートは、当時2枚組のLPとしてアトランティック・レコードからリリースされ、ダブル・プラチナ・ディスクを獲得するヒットとなりました。このレコードはグラミー賞も受賞しており、いまだ最も売れたゴスペルのライヴ・アルバムと言われています。

当初は、映画も1972年に公開する予定で巨匠、シドニー・ポラックの監督の下で撮影が行われましたが、お蔵入りになってしまいました。というのも、ポラックは映像と音声の同期に必須なカチンコを使うのを忘れてしまい、技術的問題から映画が完成することはなかったのです。

その後2007年になり、元アトランティックのプロデューサー、アラン・エリオットがこのフィルムをワーナー・ブラザーズから買い取り、最新のデジタル技術を駆使した映画の完成に向けて動き出しました。

そして遂に同期に成功し、2011年に一度は公開に向けて動き出したものの、当初のお蔵入りの扱いに不満を抱いていたアリサ本人から差し止めの訴訟を起こされ、公開できない状況に。アリサは、出来上がった映画は見て出来上がりには満足していたものの、法的な問題が残っていると主張し、遂に生前、公開を承諾することはありませんでした。

そんな状況が変わったのは皮肉にも2018年、アリサが膵臓ガンのため他界したことがきっかけでした。アリサの遺族と映画会社の交渉がまとまり、同年11月、ニューヨーク・ドキュメンタリー映画祭などで限定的に初公開されました。そして翌年4月、欧米各地で公開となったのです。

通常のコンサートとは異なる、教会という独特な雰囲気の中でのコンサートは、1972年1月12日、13日の2日間に渡り行われました。場所は、ロサンゼルスのニュー・テンプル・ミッショナリー・バプティスト教会。あのゴスペル界を代表するシンガー、ジェイムズ・クリーヴランドの教会で、黒人層が多く住むサウスセントラル地区に位置しています。バンドにはバーナード・パーディ(ds.)、コーネル・デュプリー(gt.)、チャック・レイニー(b.)といった強力なメンツに加え、教会のクワイアーも参加し、信者を前にまさに圧巻というにふさわしいパフォーマンスをします。

アルバムで音に慣れ親しんでいた人も、映像で見る迫力に心を揺さぶられるはずです。

ジェイムズ・クリーヴランドとの共演、クララ・ウォードやアリサの父、C.L.フランクリンの登場など、見どころ満載の90分。コンサート2日目には観客の中にミック・ジャガーとチャーリー・ワッツの姿も。

僕は2019年に国際線の機内上映で初めて見る機会を得ました。その際、オンデマンドであることをいいことに、興奮して立て続けに繰り返し見てしまったのを覚えています。やっと、大きな画面でこの迫力を味わえるかと思うと今からワクワクします。

映画の中で、ジェイムズ・クリーヴランドは、このようなコンサートが実現したことを「夢が叶った」とコメントしています。日本の音楽ファンにとっては、大袈裟に言えば、この幻の映画が49年の歳月を経て劇場公開になることこそ、夢が叶ったといえるのではないでしょうか。

公開は、5月28日(金)から随時全国のシネマで。お見逃しなく!



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映画『アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン』
撮影:シドニー・ポラック(『愛と哀しみの果て』)
映画化プロデューサー:アラン・エリオット
出演:アレサ・フランクリン
   ジェームズ・クリーブランド
   コーネル・デュプリー(ギター)
   チャック・レイニー(ベース)
   ケニー・ルーパー(オルガン)
   パンチョ・モラレス(パーカッション)
   バーナード・パーディー(ドラム)
   アレキサンダー・ハミルトン(聖歌隊指揮)、他
原題:Amazing Grace/2018/アメリカ/英語/カラー/90分/
字幕翻訳:風間綾平
2018©Amazing Grace Movie LLC
配給:ギャガ GAGA★ 
公式サイト:http://gaga.ne.jp/amazing-grace/
5月28日(金) Bunkamuraル・シネマ他全国公開

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映画の公開に合わせて、「Amazing Grace」のアルバムもコンプリート・エディションという形で出し直されています。大幅に収録曲が増えています。日本盤の発売は5月12日予定です。

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2020/11/2

追悼Rance Allen 1948-2020  R&B/ソウル

ゴスペル・シンガーのランス・アレンが10月31日、入院中のオハイオ州シルヴァニアの病院、ハードランド・アット・プロメディカにて亡くなったそうです。71歳。彼の妻エレンとマネージャーのトビー・ジャクソンが連名で明らかにしました。

死因は明らかにされていませんが、病気治療を受けて回復に向かう中でのできごとだったようです。

ランス・アレンは、1948年、ミシガン州モンローの生まれ。そのモンローで兄弟のトーマス、スティーヴ、エサウ(のちに脱退)とともに1970年代に結成したランス・アレン・グループを率いて活動したことで知られます。その後彼らは拠点をオハイオ州トレドに移し、1972年スタックス傘下のゴスペル・トゥルース・レーベルからアルバム「The Rance Allen Group」でレコード・デビュー。1980年代以降もティスコット・レーベルなどから作品をリリースし続けました。代表曲としては"Ain’t No Need of Crying” (1975年)、”Miracle Worker” (1991年)などがあります。


ランス・アレン・グループはランスのパワフルな歌声とソウルフルなサウンドで、ゴスペル界をリードするグループとなりました。ノリノリでファンキーなところは、ゴスペルという音楽の概念を塗り替えたのではないかと思います。

また、ランスはトレドの教会の牧師もつとめていました。2011年にはチャーチ・オブ・ゴッド・イン・クライスト(COGIC)の司教の座に就いています。

71歳とはまだ亡くなるには若すぎです。近年も作品をリリースし続けていただけに一層残念です。僕も本当に大好きなグループでした。一度生で見てみたかったです。

RIP。

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2020/9/27

モータウンの歴史を振り返るドキュメンタリー映画登場  R&B/ソウル

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デトロイトの小さな家を拠点に出発し、歴史に残るヒットを量産したレコード・レーベル、モータウン。

「メイキング・オブ・モータウン」は、創設者のベリー・ゴーディと副社長を務めたスモーキー・ロビンソンに密着し、ミュージシャン、ソングライター、スタッフなどの貴重な証言と名曲の映像でその歴史を振り返るドキュメンタリー映画です。この映画が米国で公開された2019年は、モータウンがタムラ・レコードとして出発した年からちょうど60年という節目の年でもあります。

この映画の特徴は、モータウンがいかにして成功を手に入れたのか、ベリー・ゴーディの経営者としての手腕に焦点を当てているところでしょうか。
音楽映画ではありますが、ある意味経営哲学を学ぶためのビジネス・セミナーのようでもあります。イントロの数秒でリスナーの心をつかまなければならないと、細部まで徹底的に拘りヒットにつなげていくゴーディはすごいなと思いましたが、ヒット至上主義的なマインドは、僕にはついていけないとも感じました。

でも、改めてすごいレーベルだなと思わせる見ごたえのある内容です。
色々な人が登場しますが、なんと言ってもゴーディとスモーキー・ロビンソンが楽しそうで。二人とも凄いパワフルですよね。


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2019年製作/112分/G/アメリカ・イギリス合作
原題:Hitsville: The Making of Motown
配給:ショウゲート
日本公開:2020年9月18日より
監督:ベンジャミン・ターナー、ゲイブ・ターナー
製作:レオ・パールマン
出演:ベリー・ゴーディ
スモーキー・ロビンソン
スティーヴィ・ワンダー
エディ・ホランド
ブライアン・ホランド
ラモント・ドジャー
メアリー・ウィルソン
マーサ・リーブス
ザ・ジャクソンズ
ニール・ヤング
ジョン・レジェンド
製作総指揮:ベリー・ゴーディ
スティーブ・バーネット
エチオピア・ハブターマリアム
デビッド・ブラックマン
ミシェル・ジュベリエーレ
マーティン・バンダイアー
オフィシャルサイト http://www.makingofmotown.com/

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2020/9/1

オージェイズがラヴトレインで民主党を応援  R&B/ソウル



アメリカでは大統領選挙が大詰めを迎えています。
でも、蓋を開けてみるまで実際どうなるかわからないのが怖いところ。

個人的には、もう無法者トランプはウンザリ。なんとか民主党バイデン勝利で世界の秩序を回復してほしいものですが、前回もヒラリーが勝つと思ったら、まさかまさかのトランプ勝利。今回も最後まで心配の種を尽きません。

多くのミュージシャンたちがバイデン支持を表明していますが、ヴェテランのソウル・グループ、オージェイズは応援ビデオを作りましたよ。これが素晴らしい出来なんです。曲は、ギャンブル&ハフ作の彼らの代表曲“Love Train”です。

世界のみんな、手を取り合って
愛の列車を始動させよう


対立と分断を終わらせるためにぴったりのメッセージですね。

この希望あふれる雰囲気をそのままに来年の1月、 バイデン新大統領の就任を見られますように。
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2020/5/24

Betty Wright RIP  R&B/ソウル

ソウル・シンガーのベティ・ライト(Betty Wright)が5月10日、マイアミの自宅にて亡くなりました。66歳でした。僕は知らなかったのですが、昨年秋に子宮内膜ガンが見つかり闘病中だったそうです。今月上旬には親友のチャカ・カーンが彼女のために祈って欲しいとのツイートをしており、病状が悪かったことが窺えます。66歳とは早すぎると思います。



ベティといえば、80年代以降のニューソウルのサウンドにつながっていくマイアミ・ソウルを代表する存在でした。来日公演では暑い日に吹くそよ風のような心地よいサウンドを聴かせてくれたのを覚えています。ウィットニー・ヒューストンに捧げてGreatest Love of All をやったり、グロリア・エステファンのバンドでツアーした際の思い出話しをしたり。元気いっぱいなステージでした。あの超ハイトーンの歌声は凄かった。僕が行った日のセットリストなどの情報を記しておきます。

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Betty Wright
Billboard Live Tokyo
Mon., February 27, 2012, 19:00-20:20

1. After the Pain
2. In the Middle of the Game (Don't Change The Play)
3. Age of Innocence
4. Tonight's the Night
5. Greatest Love of All
6. Surrender
7. Shoorah Shoorah
8. Cleanup Woman
9. Keep Love New
10. No Pain, No Gain

[Personnel]
Betty Wright - vocals
Asher Williams - backing vo.
Aisha ”Bombshell" Wright - backing vo.
Ashaala Jenkins - backing vo.
Abel Pabon - key.
Charles Wright - gt.
Angelo Morris - b.
Ignacio Nunez - pero.
Gerald Warren - ds.

この公演は2日間ありましたが、もともと一晩2セットの予定でしたが、両日とも2ステージ目がキャンセルされ、一晩1公演でした。それでもそれほど客入りはよくなかったように記憶しています。残念なことですが。でも、彼女は上機嫌でいいステージを披露してくれました。見ることが出来てよかったです。

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1966年のレコード・デビュー以来半世紀以上にわたって活躍した彼女ですが、やはり一番有名なのは1971年のこの曲ですよね。この曲を聴いて彼女を追悼したいと思います。RIP。

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