2019/7/31

訃報:Art Neville 1937-2019  ニューオーリンズ

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Art Neville with George Porter, Jr. (2004)
Photo by Masahiro Sumori. All rights reserved.

ミーターズ、ネヴィル・ブラザーズなどで活躍したキーボード奏者、アート・ネヴィルが6月22日、ニューオーリンズの自宅で亡くなりました。81歳でした。

ニューオーリンズでは先月からドクター・ジョン、デイヴ・バーソロミュー、そしてこのアートと訃報続きです。

ニューオーリンズではありませんが、6月10日にはラファイエット在住のギタリスト、リル・バック・シネガルも75歳で他界しており、ルイジアナは馴染み深いベテラン・ミュージシャンを短期間で相次いで失ったことになります。

アートは2000年頃から背中の手術に加えて、脳卒中で体調を崩し、一時期はステージに上がるのも厳しい状況に陥りましたが、その後も不屈の精神で活動を続行。2007年にはファッツ・ドミノのトリビュートのトリビュート・アルバム「Goin' Home」に参加。来日も度々しました。(ファンキー・)ミーターズ、ネヴィル・ブラザーズをあわせて計10回以上来ています。

2014年にファンキー・ミーターズが来日した際、短い時間ながらインタビューすることができました。非常にゆっくりとした口調ではありましたが、「プレイできなくなるまでプレイし続けるよ」と語っていたのが思い出されます。

そんなアートだから、昨年末引退を宣言したのは本当にプレイできない状態だったんだろうなと思います。

1954年、ホーケッツのメンバーとして”Mardi Gras Mambo”でデビュー。そのキャリアは60年以上に及びました。”Mardi Gras Mambo”は今でもニューオーリンズではマルディグラ祭のテーマ曲として愛されています。

1960年代にザ・ミーターズを結成しニューオーリンズ・ファンクの礎を築くサウンドを展開。1977年にミーターズが解散すると、チャールズ、アーロン、シリルの3人の弟たちとネヴィル・ブラザーズとして活動するようになりました。80年代後半ごろからはミーターズも再始動し、二つのグループが平行して活動するように。アートの活躍の場も広がったのでした。

2005年にハリケーン・カトリーナでニューオーリンズが被災したあとも、ネヴィル・ブラザーズの中で唯一市内に残り続けました。やはり故郷がそれだけ好きだったんでしょうね。

これまでの体調を考えれば、81歳になるまでよく頑張ったというべきなのかも知れません。でも、寂しいです。ゆっくりお休みください!
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タグ: ファンク R&B NOLA

2019/7/30

ニューオーリンズに行ってきました  ニューオーリンズ

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6月28日から7月5日という日程でニューオーリンズに行ってきました。

何か目的があったのか?いや何もなかったのです。時間ができたので急遽決めました。飛行機を予約したのは出発の3日前です。

日程を決めてから、よく考えたら帰国日の翌日からエッセンス・フェスティバルというタイミングだったことに気づきました。しかも帰国当日はアメリカの独立記念日。ということで、僕の滞在は大きなお祭りの直前の何もない時期でした。

ニューオーリンズを訪れるのは今回で8回目でしたが、これまでは殆どが春のジャズフェスの時期。あのフェス期間中はライヴがたくさん見られるのはいいのですが、滞在中の大半をフェス会場で過ごしているので、なかなかそれ以外のことができないというマイナス面も。今回はなるべくこれまでできなかったことをやろうと漠然と思っていました。

何もない時期、いいですね。食事するにも並ばずにお店に入れるし。ライヴを見に行ってもゆったり見られます。なんと言っても激混みなジャズフェス期間中と比べると街が空いているのです。賑やかなのはいいことですが、やはり限度があります。


郊外へ
これまであまり郊外には行ったことがなかったので、今回は南東の漁師の村、ホープデールとミシシッピ川を上流に行ったところにあるオークアレー・プランテーションに行ってきました。

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スワンプに立つ枯木

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道路の脇にはスワンプが続く

ホープデールの周辺はハリケーン・カトリーナで水没し、壊滅的な被害を受けたスワンプ地帯(沼地)で、海水に浸って枯れてしまった木々が未だにその無残な姿をさらしていました。

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Oak Alley Plantation (Vacherie, Louisisana)

オークアレー・プランテーションは、ニューオーリンズからミシシッピ川上流に向かって80kmほど行ったところにあります。川に面した広大な土地に建った大邸宅が圧巻でした。素晴らしい景色でしたが、そこには奴隷たちの苦難の歴史がありました。現場でその説明を聞きながら、考えさせられた訪問でした。


ニューオーリンズが変わったところ

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ニューオーリンズは3年ぶりでしたが、その間変わったところもありました。Blue Bikeという貸自転車が導入され、市内のいたるところでカード一つで自転車が借りられるようになりました。僕は友人の自転車を借りてあちこち回っていましたが、やはり以前より自転車が増えたかも。

街に壁画が増えました。2017年にNOLA Mural Projectという非営利団体が立ち上がり、ニューオーリンズ市もそれを支援し、以後街の建物にアーティストたちが壁画を描くようになったのだそうです。現在も増え続けています。アーティストたちの支援にもなるし、街もより楽しく魅力的に見えます。

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Dr. Johnの壁画


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こちらはメキシコ風味。ニューオーリンズ300周年記念です。


お墓まいり
あと、今回はドクター・ジョンが亡くなった直後ということもあり、彼のお墓まいりをしたいと考えていました。メディアの報道で彼がセントルイス墓地No. 1に埋葬されたという情報を得ていたので行ってみたのですが、現場を案内するガイドさんに聞いたら「彼はここには埋葬されていない」という意外な答えが返ってきました。その人が言うには「意図的に誤った情報が流された。恐らく家族のプライバシーを守るためではないか」とのことでした。本当の埋葬地については公開されていないのだそうです。

では仕方ないと諦めて、その代わりでもないのですが、プロフェッサー・ロングヘアのお墓にお参りしてきました。この墓地は市の中心街から5kmほど北に行ったところにあるMt. Olivet Cemetery。ここのスタッフはとても親切で、暑い中やってきた僕にお水まで出してくれるわ、事務所から出てきてお墓までわざわざ案内してくれるわ、墓標を背景に写真まで撮ってくれるわで至れりつくせりでした。

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しかもお墓の埋葬のされ方の基本的なことを教えてくれたり、「ここにはアラン・トゥーサンもいるんですよ」と言って案内してくれたりしました。トゥーサンの墓標に「Life, Love and Faith」と刻まれているのには、なんだか泣けてきました。

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ライヴ
ジャズフェス期間中には及びませんが、短期間の間に結構ライヴは見ました。 どんなライヴがあるか事前に調べる余裕も殆どなかったので、殆ど出たとこ勝負。とりあえずはオフビート誌をチェックし、あまりめぼしい物がなければ、フレンチメン・ストリートまで行って、お店で予定を見て回る感じでした。

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Egg Yolk Jubilee


久し振りにエッグ・ヨーク・ジュビリーを見ることができたのは大きな収穫でした。彼らはもう初めて聴いてから20年近く経ちますが、一度ジャズフェスでみたことがあっただけでしたので。相変わらずブラスバンド的なサウンドやロック、ジャズなど色々な要素をちゃんぽんにしたサウンドを全開させていて、もう最高でした。終演後バンドのメンバーとも話すことができ、日本から来たファンであることを告げたら、みんなすごい喜んでくれました。メンバーは多少変わっていますが、20年もの長きにわたり続いているのは素晴らしいです。

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Water Seed


ソウル系のバンドで今注目を集めているウォーター・シードもよかったですね。僕は、彼らを全く知らなかったのですが、ちょうど彼らのホームという位置づけのブルー・ナイルでライヴがあったのと、山岸潤史さんがいいよ!と言っていたので見に行ってみました。マーヴィン・ゲイやアース・ウィンド&ファイヤーを彷彿させる70年代の香りのするソウル/ファンクで、これは凄くよかった。ライヴハウスでは珍しい2時間半に渡るノンストップの1セット。とにかく、エンターテインメント精神に溢れたショーでした。やっている曲はオリジナルで、誰かの二番煎じ的なものではないところもポイントです。今年はこのあとエッセンスにも出演したようです。

2月の来日に続いてウォッシュボード・チャズにも再会。彼のパルメット・バグ・ストンパーズとティンメンを見ることができました。来日時に彼にインタビューした記事がブルース&ソウル・レコーズ誌に掲載されたのですが、それを凄く喜んでくれていて、ライヴ会場に持って来てバンドのメンバーに見せて「これ彼が書いてくれたんだよ!」と自慢していました。僕も彼を日本に紹介する機会を持ててうれしかったです。

他、山岸さんがセッションで行くというセントラル・シティの黒人クラブTapps IIに一緒に付いて行きました。これもディープな体験でした。お客さんは僕ら以外は殆どは恐らく近所の黒人の人たち。まだこういうところあったんだなぁと思わせる、昔の雰囲気たっぷりのお店でした。オフビート誌にも出ていないし、ひとりだったらまず行くことはないようなクラブです。連れて行ってくれたキーボードのZ2さんと山岸さんに感謝!

出演者はベーシスト、ケヴィン・モリスのアップタウン・プロダクションというバンド名義ですが、ドラムスにはアラン・トゥーサンのバンドで活躍したハーマン・ルボー、ギターは山岸さん、キーボードはZ2さんとかなりのメンツです。最初は、客もまばらでしたが、ライヴが進むに連れ増えていきました。曲はソウル系やブルースのカバーが中心でしたが、客席の黒人のおじさん、おばさんたち、もう思い思いに声をあげるわ、踊るわでノリノリでした。

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Tapps II


[今回見たライヴ]
6/28(金)
Corey Henry (Blue Nile)

6/30(日)
Palmetto Bug Stompers (dba)
Egg Yolk Jubilee (dba)

7/1(月)
Kermit Ruffins & The Barbecue Swingers (Mother-In-Law Lounge)
Sierra Green and the Soul Machine (Maison)
Hot Club of New Orleans (Spotted Cat)
Les Getrez N Creole Cooking (Bamboulas)

7/2(火)
Mem Shannon (30/90)
Water Seed (Blue Nile)

7/3(水)
Tin Men (dba)
Kevin Morris & Uptown Production (Tapps II)


メディア訪問
いつもニューオーリンズの情報を得るのにお世話になっているオフビート誌とFM局のWWOZにも一言感謝を伝えるために訪問しました。どちらも非常に暖かく迎えてくれました。

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WWOZのDJブース


WWOZはスタジオと事務所を案内してくれて、お土産までくれました。DJブースは通常は生で番組をやっているのですが、このときの番組はDJ不在のため、あらかじめ録音した内容をかけていたので、ブースにも入って見学することができました。

オフビート誌は、ジャン・ラムジー編集長がいれば挨拶だけと思っていたのですが、話好きの彼女と色々話していたら盛り上がってしまい、1時間以上長居してしまいました。フレンチメン・ストリートやニューオーリンズの音楽シーンについて、今のアメリカの政治について、ルイジアナの環境問題について、オフビートの運営についてなどなど思う事をあれこれ話してくれました。彼女ももう70歳だそうで、オフビート誌はそろそろ誰かに譲って引退したいとのことですが、譲る相手は音楽に熱意を持っている人で、儲からないビジネスであることを理解できる人でないと務まらないのでそうたやすい事ではないとのこと。でも、オフビート誌は今後もずっと続いてくれないと困りますよね。今は実質的に彼女一人でやっているそうです。

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ジャン・ラムジー編集長と

他にも細かいことは色々ありますが、これくらいにしておきます。急に決めた旅行にも関わらず時間を取ってくれた現地の友人たち、特に自宅に泊めてくれた旧友に感謝です。次はいつ行けるかな?
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2019/6/24

訃報:Dave Bartholomew 1918-2019  ニューオーリンズ

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デイヴ・バーソロミューが6月23日朝、心不全のためニューオーリンズ郊外メテリーのイースト・ジェファーソン総合病院で亡くなったそうです。彼の息子ロンが明らかにしました。100歳でした。

Dave Bartholomew, New Orleans composer who helped create rock ‘n’ roll, dies at 100 (Nola.com)
http://s.nola.com/A0aA6fR

昨年12月、100歳を祝う誕生日パーティーが設定されたものの体調を崩して入院してしまいました。その後、順調に回復しているとのことだったのですが。

バーソロミューはトランペッターとして活躍したのを始め、プロデューサー、バンドリーダー、ソングライター、アレンジャーなど幅広く活動し、ニューオーリンズの音楽シーンに、そして20世紀のポピュラー音楽シーンにも大きな足跡を残しました。

特に1949年にインペリアル・レコードのスカウトマンとしてファッツ・ドミノを見いだし、彼の相棒として1963年まで活動を共にしたことは彼の最大の功績でしょう。ファッツの大成功はバーソロミュー抜きには考えられません。

1991年には、バーソロミューは非演奏者部門でロックンロールの殿堂入りも果たしています。

個人的なことですみませんが、僕が初めてニューオーリンズを訪れた1988年、最初に見た人が彼でした。でも、彼を見ようと思っていた訳では全くなく、「かの有名なプリザヴェーション・ホールに行ってみたい」とそこに行ってみたら、バーソロミューがニューオーリンズ・ジャズ・バンドで演奏していたのです。チャージは当時のあのハコの通常チャージ、5ドルだったと思います。

最前列に座っていた僕の目と鼻の先でパワフルなプレイを展開したオヤジに「凄い人だな」と思ったのを覚えています。セットが終わった際に彼は「入口のところで俺のレコードを売っているから見ていって」と言うので、手に取ったらそこにはDave Bartholomew’s New Orleans Jazz Bandのアルバムが。「あー、彼がデイヴ・バーソロミューだったんだ」とそこで初めてわかったのでした。

1997年にジャズフェスでファッツ・ドミノを見た際はバーソロミューはバンドにはいませんでしたが、ステージ袖から見ていて、途中MCに紹介され、歓声に手を挙げて応えていました。でも、僕はそれを最後に彼の姿を生で拝むことはなかったです。

しかし、2010年にはHBOをドラマ「Treme」にアーマ・トーマスとともに出演するなど、90歳を超えたあとも以前のようなペースでの活動はしなくなったとは言え、お元気な様子でした。2013年にはアラン・トゥーサンの75歳の誕生日を記念したライヴの会場に現れ、ミュージシャンたちと記念撮影した様子が配信されました。2014年にもファッツ・ドミノのドキュメンタリー映画「The Big Beat」のプレミア試写会に姿を現し、ドクター・ジョン、ファッツ・ドミノとともに映画を鑑賞しています。もうその3人とも亡くなってしまいました。

ドクター・ジョンが亡くなったすぐあとというタイミング。続くときは続きますね。ご冥福をお祈りします。

バーソロミュー自身の作品はいろいろありますが、とりあえずこれかな。


ファッツ・ドミノの主要な作品の多くは彼が参加していて、ソングライターとして共作も多いですが、「The Big Beat」にも登場する1962年のフランスのアンティーブ・ジャズ・フェスティヴァルにファッツが出演した際の映像は、バーソロミューを始め、ハーブ・ハーデスティ、ロイ・モントレル当時のオールスター・メンバーが映っていて貴重です。画質は悪いですが。


前述のドラマ「Treme」出演時の映像。2010年公開。収録は恐らくその前年頃かと思われます。ピアノはアラン・トゥーサン、トロンボーンはビッグ・サムなど豪華なメンバーです。


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【関連記事】
デイヴ・バーソロミュー100歳の誕生日 (2018/12/25)
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ファッツ・ドミノが亡くなりました (2017/10/27)
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訃報: Herb Hardesty 1925-2016 (2016/12/13)
https://black.ap.teacup.com/sumori/1715.html
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2019/6/11

訃報: Dr. John 1941-2019  ニューオーリンズ

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Dr. John at New Orleans Jazz & Heritage Festival, 2006
Photo by Masahiro Sumori. All rights reserved.

ニューオーリンズ・ピアノの第一人者として半世紀以上にわたって活躍を続けたドクター・ジョン(本名:マルコム・レベナック)が6月6日早朝、亡くなったそうです。1941年11月20日生まれなので、77歳だったということになります。ここ1年半以上公の場に姿を現さず、ほぼ毎年参加していたニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバル(ジャズフェス)にも、去年と今年は出演していませんでした。来日も2013年を最後になかったので、心配しておりましたが、残念でなりません。

1972年のアルバム「Dr. John’s Gumbo」を聴いてニューオーリンズの音楽に興味を持ったという人が多いのではないかと思います。僕もそうでした。あの作品はプロフェッサー・ロングヘアやヒューイ・スミス、アール・キングなど、ニューオーリンズR&Bのおいしいところを紹介するバイブルのような作品としてファンに愛されています。その続編的な内容の「Goin’ Back To New Orleans」(1992年)では更にニューオーリンズ音楽を広く深く掘り、描きだしてくれました。

若い頃から麻薬に手を出していたこともあり、健康的なイメージはありませんでしたが、特に90年代以降は2年に一度くらいのペースで新譜も出し、来日も度々するなど精力的な活動を続けていました。近年のアルバムでもザ・ブラック・キーズのダン・オーバックをプロデューサーに迎え新たなサウンドを展開した「Locked Down」(2012年)、大胆な解釈でルイ・アームストロングの楽曲を演奏した「Ske-Dat-De-Dat: The Spirit of Satch」(2014年)など、創作意欲が衰えなかったのはすごいことだと思います。ライヴでも毎回セットリストを変えてくるなど、何が出てくるかわからないワクワク感がありました。毎回ベスト・ヒット的な同じ内容を繰り返した方が楽だっただろうと思いますが、そうはしない拘りを感じさせてくれました。

ドクター・ジョンは1950年代後半、まだ10代の頃からプロデューサー、セッション・ギタリストと働き始め、またマック・レベナック名義で自分のシングルもリリースするようになりました。しかし、1960年代に入ってから銃撃事故により左手薬指を負傷し、ピアノに転向したのでした。しかし、元々ギタリストだったこともあり、ライヴでは近年も時々味のあるギターも披露していました。プロフェッサー・ロングヘアのラスト作「Crawfish Fiesta」ではギタリストとして全面参加しています。

1968年、芸名Dr. Johnを名乗り、ヴードゥー教の色彩を押し出したアルバム「Gris-Gris」でアルバム・デビューを果たします。1972年には前述の「Dr. John’s Gumbo」をリリース、ついで「In the Right Place」(1973年)、「Desitively Bonnaroo」(1974年)と名作を相次いでリリースしました。

1984年には初来日。以後は数年に一度のペースで来日を重ねています。後年はビルボードライブでのクラブギグで2010年、2012年、2013年と続けて来日していましたが、2013年が最後となってしまいました。

アルバムも5年ほど出していなかったのですが、どうやら生前新作のレコーディングを進めていた様です。恐らく、近いうちにリリースとなるのでしょう。期待したいですね。

ドクター・ジョンが亡くなったというニュースは、すごくショッキングなことでした。ある程度想定できたことではありますが、彼の存在はあまりにも大きく、心にぽっかり穴があいてしまった様な喪失感を味わっています。そう感じているのは僕だけではないでしょう。

ニューオーリンズでは彼が亡くなった翌日に、セカンドライン・パレードが盛大に行われています。また、WWOZ-FMでは、ずっと彼の音源を流し続けました。



きっと、来年のジャズフェスはドクター・ジョン祭りになるのでしょうね。マック、素晴らしい音楽を本当にありがとう!安らかにお眠りください。

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過去の来日レポート
【2012年来日時】
Dr. John @ Billboard Live東京セットリスト (2012/2/16)
http://black.ap.teacup.com/sumori/990.html

Dr.ジョン2012年来日公演セットリストまとめ (2012/2/17)
http://black.ap.teacup.com/sumori/993.html

【2010年来日時】
Dr. John@Billboard Live Tokyoライブ・レポート (2010/10/21)
http://black.ap.teacup.com/sumori/488.html

ドクター・ジョン来日公演セットリストまとめ (2010/10/25)
http://black.ap.teacup.com/sumori/494.html

【2005年来日時】
ドクタージョン@ブルーノート東京 (2005/9/17)
http://black.ap.teacup.com/sumori/10.html

ドクタージョンも出席したハリケーン・エイド・ジャパン記者会見の様子 (2005/9/21)
http://black.ap.teacup.com/sumori/13.html

その他ドクター・ジョンに関する書き込み
おさるのジョージ (2008/11/2)
https://black.ap.teacup.com/sumori/188.html

ドクター・ジョンはどうしているんでしょう? (2018/12/28)
https://black.ap.teacup.com/sumori/1815.html
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2019/6/6

ジャズフェス50周年CDセット  ニューオーリンズ

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今年はニューオーリンズのジャズ&ヘリテッジ・フェスティバル(通称:ジャズフェス)が50周年を迎えました。ヘッドライナーとして満を持してブッキングしたローリングストーンズがドタキャンするという事件もありましたが、盛大に開催されたようです。

この50周年の記念すべき年に合わせて、すごいCDが出ました。5枚組の豪華セットその名も「Jazz Fest: The New Orleans Jazz & Heritage Festival」です。リリース元は数多くの歴史的音源を記録し、リリースし続けている名門スミソニアン・フォークウェイズ。音源はジャズフェス主催者の秘蔵音源を始め、地元ラジオ局WWOZが放送用に記録した音源、ジャズフェスにプロデューサーとして関わってきたマイケル・マーフィー氏のコレクションなどから選曲されています。

基本的にどれも正式にCDとしてリリースとなるのは初となる音源です。(Munckmix販売のCD-R、ダウンロード販売音源を除く。またディーコン・ジョンのトラックは彼のライヴ・アルバム「Live At The 1994 New Orleans Jazz Fest」の音源と同じものです。)

収録は53トラックで時間にして5時間以上というボリューム。まあ、毎年7〜8日間に渡り10以上のステージでライヴが同時進行するフェスですから、それでもほんの一部ではありますが、あのフェス会場の雰囲気がムンムン伝わってきます。古いものでは1974年から最近では2016年まで、その長い歴史を俯瞰する内容です。

「ジャズフェス」と言いながらもありとあるゆる音楽が繰り広げられるフェスですが、このCDの特色の一つは、まず収録されているのが原則的に地元ニューオーリンズ、ルイジアナのアーティストに限定されていること。毎年、世界的な大物がメインステージに登場しますが、そういう人たちは収録されていません。もともとルイジアナの文化のショーケース的なお祭りなので、それは自然なことだろうと思います。大物たちの多くは他でも聴く機会は多いですし。

例外として、アラン・トゥーサンとの共演が収録されているボニー・レイットと、テキサスのマーシャ・ボールが収録されてはいますが、どちらもジャズフェスではお馴染みの人たち。マーシャは毎年ジャズフェスに必ず出演している定番ですし、音楽的にもルイジアナの人と言っても全くおかしくはないので違和感はありません。

ルイジアナのアーティストに限定してもサウンドは様々なのですが、ディスク4にザディコ、ケイジャン系の人がまとめられているなど、ある程度ジャンル別に分けられた編集となっているので、散漫な感じはしません。

パッケージはLPサイズのハードカバー本のような体裁で、すごく豪華。大きさがわかりやすいように1976年のジャズフェスCDと並べて写真を撮ってみました。ブックレットが別になってはいないので、ページが重くてめくりにくいのが難ですが、写真も満載で見ごたえがありますよ。

それぞれのトラックが何年のフェスのレコーディングなのか、ブックレットには詳細な記載があるのですが、一覧にはなっておらずわかりにくいので、以下書き出してみました。更なら詳細はPDFも作りましたので、よかったらご活用くださいね。

個々のトラックについてはあれこれここで言い出したらきりがないですが、ワイルドマグノリアスの初期の音源やダニー・バーカーの晩年の音源など、聴きごたえのある貴重音源満載です。ひとつだけ残念なことがあると言えば、エディ・ボーが収録されていないことでしょうか。定番アーティストだけでも相当たくさんいるので全てを収録するのは無理なのはわかっていますが、それでもエディ・ボーはジャズフェスを彩ってきたキーとなる人なので、他を押しのけてでも入れるべきだったと思うのです。ネヴィル・ブラザーズやアラン・トゥーサンなどが複数収録されているのを見ると一層そう思います。音源は多々あるはず。

でも、このCDは十分入手する価値ありです。いやニューオーリンズ、ルイジアナ好きは入手しなければならないものだと思います。ぜひぜひぜひ!としつこいくらいプッシュしたいと思います。

かつてNHKのBSによるジャズフェスの放送を通じてフェスに興味を持つ人が多かったのと同様に、このCDを聴いてフェスやルイジアナの音楽に興味を持つ人が出てくれば嬉しいことです。また、既にフェスに行ったことがある人は、自分が見ていたライヴが収録されているか、チェックして楽しむもよしです。

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JAZZ FEST: THE NEW ORLEANS JAZZ & HERITAGE FESTIVAL
(Smithonian Folkways SFW40250)
Release date: May 10, 2019
Track listing with recorded years

Disc 1 (length - 01:01:29)
1. The Golden Eagles - Indian Red (1994)
2. Larry McKinley - Welcome to the New Orleans Jazz and Heritage Festival
3. Trombone Shorty - One Night Only (The March) (2010)
4. Donald Harrison, Jr. - Free to Be (1999)
5. Danny Barker - Basin Street Blues (1992)
6. Terence Blanchard - A Streetcar Named Desire (2000)
7. Kermit Ruffins Big Band - Royal Garden Blues (1993)
8, Champion Jack Dupree featuring Allen Toussaint - Bring Me Flowers While I’m Living / Rub a Little Boogie (1990)
9 . George Wein and the Newport All-Stars - Back Home Again in Indiana (2003)
10. John Boutte - Louisiana 1927 (2006)

Disc 2 (length - 00:59:19)
1. Allen Toussaint - Yes We Can Can (2009)
2. Earl King - Trick Bag (1974)
3. Irma Thomas - Ruler of My Heart (1974)
4. Snooks Eaglin - Dizzy Miss Lizzy (1994)
5. Clarence "Frogman" Henry - Ain’t Got No Home (1998)
6. The White Eagles - Big Chief Got the Golden Crown (1988)
7. Professor Longhair - Big Chief (1974)
8. Dixie Cups - Iko Iko / Brother John / Saints Go Marching In (2010)
9. Marcia Ball - Red Beans (2007)
10. Dr. John - Litanie des Saints / Gris-Gris Gumbo Ya Ya / I Walk on Gilded Splinters (2001)

Disc 3 (length - 01:09:27)
1. Ray Hackett - How Ya Gonna Clap?
2. The Dirty Dozen Brass Band - Blackbird Special (2004)
3. Henry Butler Group - Hey Now Baby (1976)
4. Germaine Bazzle and Red Tyler Quintet - Secret Love (1993)
5. Al Belletto Big Band - Jazznocracy (2000)
6. Original Liberty Jazz Band featuring Dr. Michael White - Summertime (2002)
7. Preservation Hall Jazz Band - My Bucket’s Got a Hole in It (2015)
8. The Zion Harmonizers - I Want to Be at That Meeting / Golden Gate Gospel Train (1976)
9. Irma Thomas - Old Rugged Cross (2007)
10. Raymond Myles and The Gospel Soul Children - Can’t Nobody Do Me Like Jesus (1994)
11,. Johnson Extension - I Can Go to God in Prayers (2001)

Disc 4 (length - 01:08:27)
1. Buckwheat Zydeco - Hard to Stop (2003)
2. Boozoo Chavis - Paper in My Shoe (2000)
3. The Savoy Family Cajun Band - Midland Two-Step (2013)
4. Bruce Daigrepont - Disco et Fais Do-Do (2000)
5. Beausoleil - Recherche d’Acadie (1999)
6. The Neville Brothers - Yellow Moon (2001)
7. John Campbell - When the Levee Breaks (1993)
8. John Mooney - It Don’t Mean a Doggone Thing (1998)
9. Kenny Neal - Starlight Diamond / Jimmy Reed Medley: You Don’t Have to Go / Baby, What You Want Me to Do / Going to New York / Honest I Do (2013)
10. Allen Toussaint and Bonnie Raitt - What Is Success (2000)
11. Tommy Ridgley - Double-Eyed Whammy (1998)

Disc 5 (length - 01:00:46)
1. funky Meters - Fire on the Bayou (2010)
2. Clarence “Gatemouth” Brown - Take the "A" Train (2000)
3. Walter “Wolfman” Washington - Blue Moon Rising (1994)
4. Deacon John - Happy Home (1994)
5. Larry McKinley - Rain alert
6. Sonny Landreth - Blue Tarp Blues (2009)
7. Anders Osborne - Back on Dumaine (2007)
8. The Subdudes - Thorn in Her Side (2008)
9. Big Freedia - N.O. Bounce (2016)
10. Wild Magnolias - Smoke My Peace Pipe (1974)
11. The Neville Brothers - Amazing Grace / One Love (2001)

詳細なトラックリスティング (PDF)
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