2020/5/23

Tommy Ridgleyを聴こう!  ニューオーリンズ

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Tommy Ridgley
Dream Palace, New Orleans, May 1, 1996
(c)Photo by Masahiro Sumori

好きなシンガーをシリーズ化するつもりはないのですが、もう一人すごく好きなシンガーを思い出しました。トミー・リッジリーです。

先日のパーシー・メイフィールドに比べたらあまり知名度は高くないかも知れません。でも、1949年のレコード・デビューから約50年の長きにわたってニューオーリンズを拠点に活躍しました。若きアーマ・トーマスを見出し、RONNレーベルに紹介したことでも知られています。彼女はRONNから1960年に"You Can Have My Husband”をリリースし、デビューを果たしています。

トミーは1950年代にはデッカ、アトランティックを始め、インペリアル、ヘラルドと複数のレーベルに作品を残し、活躍しました。アトランティックの名作を収めたコンピレーション・シリーズ「Atlantic Rhythm & Blues」のVol. 2に彼名義の”Jam Up”という曲が入っているのを覚えている人もいるかも知れません。しかし、この曲はインストで、トミーがこの曲に実際に参加しているのかは不明ですが。ピアノを弾いている可能性はあります。

力わざ的な歌い方をする人ではありませんが、暖かみのあるいい声にほれぼれします。特に初期の作品の多くはビッグ・バンドを伴ったスウィング感たっぷりなサウンドで聴きごたえも充分。

この人が十八番として歌ってきたのが、”I’ve Heard That Story Before”というオリジナル曲です。1958年にヘラルド・レーベルからシングルでリリースしていますが、その後も度々再演しており、1995年のアルバム「Since The Blues Began」ではゲストにスヌークス・イーグリンを迎えてこれまた強力なバージョンを披露しています。一方スヌークスはアルバム「Out of Nowhere」の中でトミーの”Ooh Lawdy My Baby”をカバーしていますね。

シンプルでほろ苦いバラード。味わい深いですよね。この人の人柄がにじみ出ているようでもあります。このヘラルド時代、それに続くRIC/RONN時代あたりは、どの曲も最高です。

個人的なことですみませんが、僕はニューオーリンズで何度か彼のライヴを見たことがあります。1996年に今は亡きドリーム・パレス(カフェ・イスタンブール)というライヴハウスで見た際に終了後、ホテルまで車で送ってくれました。とてもよくしゃべる親切でいいおじさんでした。その頃彼は腎臓を患い闘病中だったのですが、このときのライヴは完全復活を感じさせる力強い内容でした。しかしながら、その数年後の1999年に肺がんで他界。70歳でした。もう一花咲かせてくれると思っていただけに、とても残念でなりません。

大物的な存在ではないですが、得難い魅力を持った存在でした。50年代、60年代のニューオーリンズのR&Bシーンには彼のような知る人ぞ知るいいシンガーがたくさんたくさんいて、当時のクラブシーンを盛り上げていたのでしょう。

I’ve Heard That Story Before (Herald - 1958)


I’ve Heard That Story Before (Black Top with Snooks Eaglin 1995)


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I’ve Heard That Story Before (1958)
和訳:陶守正寛

愛していると言わないでほしい
本心ではないことはわかっているから
前も聞いた話だよ
もう聞きたくはないんだ

これが初めてのことではないよ
前にも僕を試したことがあったよね
だからそんな話はしないでくれ
もう聞きたくはないんだ

お願いだから
ただ友達でいてくれないか
だってもうお前を愛することはできないし
お前を騙すこともしたくない
もしそれをやったら、よくないことになるのはわかっているから

だからさよならを言おう
そう、これでおしまいだよ
前も聞いた話だよ
もう聞きたくはないんだ

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I’ve Heard That Story Before (1958)
Written by Tommy Ridgley
Angel Music, BMI

Don’t say that you love me
‘Cause you know it’s not true
‘Cause I’ve heard that story before
I don’t want to hear it no more

This is not the first time baby
You've tried me once before
So don’t bring me your story
I don’t want to hear it no more

Now please do me a favor
Just let me be your friend
‘Cause I can’t love you
And I don’t want to fool you
And if I do it would turn out bad in the end

So goodbye baby
Yes this is the end
I’ve heard your story before
I don’t want to hear it no more
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2020/4/22

【緊急!】Help Offbeat Magazine  ニューオーリンズ

ニューオーリンズの音楽雑誌、オフビートが新型コロナウイルス感染症の流行で存亡の危機に瀕しています。3月11日にルイジアナ州に非常事態宣言が出された直後、同誌は印刷版の発行を見合わせる決定をしましたが、ライヴハウスの閉鎖に加え、ジャズフェスなどの大きなイベントのキャンセルが相次ぎ、収入の大部分を占めていた広告収入が途絶えてしまいました。

過去30年以上に渡りニューオーリンズの音楽シーンの情報を発信し、盛り立ててきた功績はとても大きく、この雑誌がなくなってしまうと大げさではなくニューオーリンズの音楽が潰れてしまうほどのインパクトがあると思います。

ジャン・ラムジー編集長は昨日ビデオメッセージを公開し、緊急の寄付を呼び掛けています。音楽ファンの皆さん、ぜひ少額でもいいので、寄付をお願いしたいと思います。



ハリケーン・カトリーナの直後にも同誌は資金的に危機に陥りましたが、今回はそれを超える状況のように思えます。

昨年僕がジャンさんを訪ねて話を聞いたとき、彼女は「この仕事は自分の音楽愛に動かされてやっている。そろそろ歳を取ったので志を持った人に譲って引退したいところだけど、儲けは全くなくきつい仕事なので、そう簡単にはいかない」と言っていました。少ないスタッフで頑張ってきたのに、こんな状況で終わらせてしまってはもったいないです。

寄付はオンラインで簡単にできますので、ぜひぜひよろしくお願いします。

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2020/4/19

新型コロナの影響拡大  ニューオーリンズ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行がとんでもないことになってきました。ご承知の通り、日本でも全国に緊急事態宣言が出されて、エンターテインメントどころではない状況となってしまいました。ここまで深刻な状況になるとはちょっと前までは思ってもみなかったというのが正直なところ。一刻も早くこのような状態から脱したいものです。

ニューオーリンズでは、10月に延期になったばかりのジャズフェスが正式に中止になってしまいました。7月のエッセンスフェス、10月のヴードゥー・フェスも中止。

ラトーヤ・キャントレル・ニューオーリンズ市長は4月14日の記者会見で「2020年中に大きなイベントを開催するのは勧められない。2021年に集中すべきだ。」とコメントしました。結局、ジャズフェスは10月の日程を決める間もなく中止に追い込まれたことになります。仮に事態が終息に向かったとしても、暫くは完全な終息にはならないという判断なのでしょう。



それは日本も同じでしょうね。オリンピックが延期になった今、今年の夏フェスなどの開催はかなり難しいのだろうと思います。

ギグの機会を失った国内外のミュージシャンによるオンラインの演奏配信が増えてきましたね。オンラインだと遠方の人たちの配信も見ることができるので嬉しい反面、最近はあまりにも多すぎて、情報についていけません(涙)。海外は時差もあるので、なかなか見られないのが残念。でも、だいたいは録画配信で見ることができるのでありがたいです。生で見るのは特別感がありますが、やはりなかなか都合をつけるのは難しいですから。

ニューオーリンズのFM局、WWOZでは、フレンチクオーターフェスやジャズフェスがなくなってしまった代わりに、過去のこれらのフェスの音源やスタジオライヴ音源を大放出して放送し始めました。WWOZは放送後2週間はアーカイヴで聴くことができるので、これは嬉しい。放送の詳細は公式サイトの下記ページで発表されるので、ぜひチェックしてみてください。

https://www.wwoz.org/calendar/live-broadcast

繰り返しになりますが、早く普通の生活に戻れますように!!
そしてみなさん、ご無事で!
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2020/3/3

追悼Robert Parker, 1930-2020  ニューオーリンズ

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Robert Parker at New Orleans Jazz & Heritage Festival
May 2, 1997, (c)Photo by Masahiro Sumori.

"Barefootin'"(1966年)のヒットで知られるニューオーリンズのシンガー/サックス奏者、ロバート・パーカーが2020年1月19日、亡くなりました。89歳でした。死因は明らかになっていませんが、ルイジアナ州ローズランドの自宅で息を引き取ったそうです。

歌声は迫力こそ欠けるところはありましたが、当時の多くのニューオーリンズの歌い手がそうだったように愛嬌のある美声を持ち味とし、思い切りファンキーなサウンドを展開した人でした。

1930年10月14日、ニューオーリンズ生まれ。1949年にプロフェッサー・ロングヘアの"Mardi Gras In New Orleans"でサックスをプレイしたのを皮切りに、1950年代にはファッツ・ドミノやアーニー・ケイドー、ファッツ・ドミノ、ヒューイ・スミスなど、当時のR&Bの大スターたちのレコーディングに参加。セッション・プレイヤーとして大いに活躍しました。

50年代後半になるとソロ・アーティストしても活動を開始します。1958年にソロ・デビュー作となるシングル"June Teen/Lawdy Miss Clawdy"をエイス・レーベルからリリース。翌1959年にはロンからリリースしたインスト・ナンバー"All Night Long (Pts. 1-2)"がローカル・ヒットとなりました。



その後も何枚かシングルをリリースしていますが、彼の名を広く知らしめたのはプロデューサーとして名高かったワーデル・ケゼア(ケゼルグ)が興したレーベル、ノーラ(NOLA)での活躍でした。1965年に同レーベルと契約した彼はケゼアのアレンジとプロデュースの下、20曲あまりをレコーディング。1966年から1967年にかけて10枚のシングルがリリースとなったのでした。



第一弾シングル"Barefootin'"はビルボードのR&Bチャート2位を記録する大ヒットとなりました。この曲のヒットにより彼は引っ張りだことなり、全米ツアーだけでなく英国公演も行いました。その後"Barefootin'"はウィルソン・ピケット、ルーファス・トーマスを始め、ブラウンズヴィル・ステーション、ジョニー・ウィンター、ジミー・バフェットなどジャンルを超えて多くの人にカバーされています。

1970年代以降パーカーはレコーディングをするのは止めてしまいましたが、ニューオーリンズのジャズフェスを始め、地元ルイジアナでのライヴ活動は時折行ってきたようです。僕も20年以上前ですが、一度だけジャズフェスで彼の歌うのを見たことがあります。

そんな彼もここ数年はライヴ活動は行っていなかったようで、寄る年波には勝てなかったのかも知れません。

1966年にNOLAからリリースとなったLP「Barefootin'」は、パーカーのオリジナル・アルバムとしては唯一の作品で、同レーベルの楽曲12曲を収録しています。素足の足跡をあしらったジャケットがいかしていますよね。

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Barefootin' (Nola LP 1001)

因みに"Barefootin'"という曲が生まれたきっかけは彼がまだソロ・デビューする前の1957年、彼のバンド、ロイヤルズがジミー・リードやサム・クックらのサポートでアラバマでライヴをやった際の出来事にヒントを得たのだそうです。そのコンサートで観客の女性たちが靴を脱ぎ捨て、ステージ前に積み上げて踊りだしたのでした。

その後、クリス・ケナーとライヴをやったとき、ケナーが客に対して「皆立ってくれよ。座っていられると不安になるからさ」とMCをしたのを耳にし、その言葉を頂きつつ、アラバマの観客の女性達のことを思い出しながら、曲を書き上げたという訳です。

自由奔放に踊りだしたくなる名曲はそんな経験から生まれたんですね。

ちょっと時間が空いてしまいましたが、ご冥福をお祈りします。ニューオーリンズR&Bの全盛期を知る人がまた一人この世を去ってしまい、寂しい限りです。

Robert Parker - Nola Single Discography (1966-1967)
Nola 721 - Barefootin' / Let's Go Baby (Where The Action Is), 1966
Nola 724 - Ring Around The Roses / She's Coming Home, 1966
Nola 726 - Happy Feet / The Scratch, 1966
Nola 729 - Tip Toe / Soul Kind Of Loving 1966
Nola 730 - C. C. Rider / Letter To Santa 1966
Nola 733 - Yak Yak Yak / Secret Service (Makes Me Nervous) 1967
Nola 735 - Everybody's Hip Huggin / Foxy Mama, 1967
Nola 738 - Holdin' Out / I Caught You In A Lie, 1967
Nola 739 - Soul Sister / Barefootin' Boogaloo, 1967
Nola 742 - Funky Soul Train / Robert & W.Q's Train, 1967

上記20曲に未発表曲4曲を付けた形で、以下のCDがリリースされています。
Robert Parker / The Wardell Quezerque Sessions (1966-1967) (Night Train International NTI CD 7107), 2002年
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2020/2/5

Funk on da Table 2020年来日ツアー情報  ニューオーリンズ

[2020/3/2追記]
新型コロナウィルスの影響により、本ツアーは残念ながら延期となりました。今後状況を見ながら振替公演の調整するそうです。


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ニューオーリンズ在住のギタリスト、山岸潤史とRIZE、Dragon Ashなどで活躍し若い世代を中心に絶大な人気を誇るベーシスト、KenKenを引き合わせたプロジェクト、Funk on da Table。これまで2018年、2019年と来日公演を行い、熱いステージを展開して来ました。その間、2018年夏にはニューオーリンズのティピティーナスでの公演も敢行。昨年の来日公演にあわせてニューオーリンズ公演のライヴ・アルバムも発売しました。

彼らが紡ぎだすのは、ミーターズ、あるいはPファンクなどに強い影響を受けた重厚なファンク・サウンド。今回は、ドラムスのニッキ・グラスピに代わり、レイモンド・ウェバーが参加します。レイモンドは、アイヴァン・ネヴィルのダンプスタファンクで長年プレイしたことで知られ、同じくダンプスタファンクで活躍したニッキ加入前の前任ドラマーです。ニューオーリンズ出身の名手レイモンドの参加により、更にニューオーリンズ色を増してくることは必至でしょう。

ヴォーカルとキーボードは、これまでと同じくジョン“パパ”グロウ。山岸潤史が長年パパ・グロウズ・ファンクで活動を共にしたプレイヤーです。

今回は、これまで2回のツアーと異なり、小さ目なライヴ・ハウスで複数回行う形となります。彼らの熱い演奏を間近で体験するまたとない機会です。また、このライヴにより、昨年暫く活動休止していたKenKenは本格的に再始動します。こちらも楽しみ。

チケットは絶賛発売中です。

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Funk on Da Table - Japan Tour 2020

2020年3月12日(木)、13日(金) 東京・下北沢GARDEN
開場18:00 / 開演19:00
前売:\6,900(二日間通し券:\13,000)(ドリンク代別)
ぴあ(173-263)、ローソン(75536)、イープラス、店頭

2020年3月14日(土) 名古屋・ReNY limited
開場17:30 / 開演18:30
前売:\6,900(ドリンク代別)
ぴあ(173-263)、ローソン(75536)

2020年3月16日(月)、17日(火)、18日(水) 京都・磔磔
開場18:00 / 開演19:00
前売:\6,900(三日間通し券:\19,000)(ドリンク代別)
ぴあ(173-263)、イープラス、店頭

企画制作:株式会社アップライト・プロダクション
バンド公式サイト
https://www.funkondatable.com/

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【2020年Japan Tourメンバー】
山岸潤史 - guitar
John "Papa" Gros - keyboards, vocals
KenKen - bass
Raymond Weber - drums

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【過去の関連記事】
2019年来日公演レポート
https://black.ap.teacup.com/sumori/1823.html

2019年来日公演日程
https://black.ap.teacup.com/sumori/1819.html

2018年来日公演日程
https://black.ap.teacup.com/sumori/1765.html
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