2019/12/12

初来日のブルース・ギタリスト、ポール・ガーナー:ライヴ・レポート  ブルース

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イギリス人のブルース・ギタリスト、ポール・ガーナ―が初来日しました。12月8日、着いたその日の夕方にInterFMのBarakan Beatに生出演。翌日から東京で3公演が行われています。僕は12月10日の荻窪ルースターの回を見に行きました。

ポールは1977年生まれの42歳。父親はニュージーランドを拠点に活動するマイク・ガーナ―で、このブログでもその来日公演レポートを何度かしているので、ご覧になった方もいるでしょう。

ポールも10代の多感な時期をニュージーランドで過ごしており、その頃父親とのデュオSteppin’ Outでアルバムも2枚出しています。その後20代になってからイギリスに戻り、以後ロンドンを拠点に活動しています。

この日のバンド・メンバーはポールに加えて、オルガンに土田晴信、ドラムスにサム・ベネットというトリオ編成。この日3人は初対面だったようですが、僕がお店に着いた頃には、演奏の打ち合わせもたけなわで、ここはこうしよう、ああしようと話も弾んでいる様子。サムはアメリカ人ですし、土田さんも米国生活が長かったため、3人とも言葉の壁がないのもよかったのでしょう。

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事前の打ち合わせも功を奏したのか、初めてながら、息の合った演奏を聴かせてくれました。ポールの地元でのバンドもこれと同じトリオ編成だそうで、そういう意味でも彼にとっては居心地の良い設定だったのかもしれません。

ライヴは、戦前ブルースの名手、ブラインド・ブレイクの"Police Dog Blues"からスタート。とは言っても、B.B.キングばりのアップテンポのモダン・ブルースにアレンジされています。

続いて「B.B.キングのディスコ期の曲(笑)」と言ってプレイしたのは、"Never Make A Move Too Soon"。サムのリズムもぐっとファンキーに。そのまま、今度はスロー・ブルースに突入しましたが、歌い出したのはなんとボブ・ディランの"Lay Lady Lay"。この日のポールはロック色も薄く、思った以上にストレートなブルースで攻めている印象でしたが、その中にもこういうネタを仕込んでくるあたりは、面白いなと思いました。ケニー・バレルの有名なインスト"Chitlins Con Carne"という選曲も彼のサウンドに幅を持たせていました。

ブルースのカバーが中心ではありますが、オリジナル曲も随所に挟んでいたのもよかったですね。そのうちのひとつ、"Another Day In New Orleans"では、サムがセカンドライン・ビートを基調としたリズムを刻み雰囲気を盛り上げていました。

2部に入ると、前日のCatfish Tokyoで共演したハーモニカのT-Slimが飛び入り。店主の佐藤さんが急遽マイクをもう一つ持ち寄り、それを使って堂々たるプレイを聴かせてくれました。

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Paul Garner & T-Slim

ポールが「ライ・クーダーの演奏で好きになった」と語ったジム・リーヴの"He'll Have To Go”はライ、ジムとも異なるバリバリのブルース・シャッフルで力強くプレイ。これも意表をつかれた感じです。そして、最後は定番中の定番”Mojo Workin’”で賑やかにしめました。盛り上がったところでアンコールに応え、もう一曲。ポールのオリジナル曲"Looking For Something”をプレイし切った頃には、セカンドだけで70分が過ぎていました。

シカゴ系の曲も結構やりましたが、マディやウルフのような泥臭い感じではなく、洗練されたサウンドを展開したポール。でも、ブルース・フィーリングはぎっしり詰まったライヴでした。


今回の来日の日程とバイオ
https://black.ap.teacup.com/sumori/1870.html

公式サイト
http://paul-garner.com/

[Personnel]
Paul Garner - guitars, vocals
土田晴信 - organ
Samm Bennett - drums



[Setlist]
Paul Garner
Tue., Dec. 10, 2019
Ogikubo Rooster

1st set (20:00-21:00)
1. Police Dog Blues (Blind Blake)
2. Never Make A Move Too Soon (B.B. King)
3. Lay Lady Lay (Bob Dylan)
4. Chitlins Con Carne (Kenny Burrell)
5. Leaving Trunk (Sleepy John Estes)
6. Another Day In New Orleans (original)
7. See See Rider (Traditional)
8. Diamonds At Your Feet (Muddy Waters)
9. Should Have Thought Twice (original)

2nd set (21:30-22:40)
10. Shake For Me (Howlin' Wolf)
11. Good & Greasy (original)
12. That's Alll Right (Jimmy Rogers)
13. Further On Up The Road (Bobby Bland)
14. Chauffeur Blues (original)
15. Reconsider Baby (Lowell Fulson)
16. Louisiana Blues (original)
17. He'll Have To Go (Jim Reeve)
18. (I've Got My) Mojo Workin’ (Ann Cole)
-encore-
19. Looking For Something (original)
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2019/11/19

英国発新進ブルース・ギタリスト、ポール・ガーナ―初来日  ブルース

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今英国を中心に欧州で注目を浴びるブルース・ギタリスト、ポール・ガーナ―が2019年12月に初来日し、東京で3公演を行います。ポールは、1977年イギリス生まれの42歳。父親は、ニール・ビリントンとのデュオで3回の来日をしているマイク・ガーナ―で、彼とのデュオSteppin' Out名義での作品も2枚リリースしています。本場アメリカのブルース・ミュージシャンたちをも唸らせるというご機嫌なプレイを日本で爆発させてもらいましょう!

[2019/11/28追記]
ポールは、来日公演に先立つ12月8日(日)、InterFMの番組Barakan Beatにゲスト出演することが決定したそうです。出演時間や生演奏はあるのかなど、詳細は未定です。

Barakan Beat
InterFM 89.7 (Radikoでも聴けます)
2019.12.8 18:00-20:00
DJ: Peter Barakan
https://www.interfm.co.jp/barakanbeat/

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PAUL GARNER JAPAN TOUR 2019

12月9日(月) 蒲田Catfish Tokyo
「初来日記念Live&Session with theAstroBluenauts」
with T-Slim-vo., harp、"T-Bone" Takuma-b.、Tadashi Hirano-ds.、Masato-gt.
開場19:00 開演20:00
チャージ 2,000円
https://www.catfishtokyo.com/
Tel: 03-6424-7531

12月10日(火) 荻窪ルースター本店
「BLUES NIGHT from UK」
with 土田晴信-org.、Samm Bennett-ds.
開場19:00 開演20:00
チャージ 3,000円
http://www.ogikubo-rooster.com/
Tel: 03-5347-7369

12月11日(水) 中野Bright Brown 
with Hisa Nakase-bass、Goboh Suzuki-ds.
開場19:00 開演19:30
チャージ 3,000円
https://brightbrownnakano.wixsite.com/brightbrown
Tel: 080-3024-4685

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PAUL GARNER - プロフィール
http://paul-garner.com/
ポール・ガーナー(Paul Garner)は1977年イギリス生まれの42歳。1987年に父親と共にニュージーランドに移住。2001年、24歳のときにニュージーランドを去り生まれ故郷イギリスに戻って音楽活動を始めた。

ポールの父親はかつてブルースマンとしてイギリス南部のブルース・サーキットで活躍し、その後ニュージーランドに移住し、現在ニュージーランドのブルース・シーンの重鎮であるマイク・ガーナー(2014年初来日、2016年にはLIVE MAGICフェスティバルに出演)。当然ながら、ポールは父の影響で幼い頃からブルースを聞いて育った。5歳くらいですでに段ボールで作ったギターを抱えて弾くまねをしていたので、両親は本物のギターを買い与えた。するとめきめきと頭角を現し、15歳の頃からプロのブルース・バンドで演奏するようになった。「物心ついた頃からずっとブルースが大好きだった。父がいつも家でブルースを聞いたり演奏したりしてたからね。生まれる前にもブルースを聞いてたかも」と彼は言う。

イギリス生まれでニュージーランド育ちのポールは、じっくりと腰を据えて自身の見事なギター・スキルを伸ばしていった。やがて世界中のミュージシャンや音楽評論家の目にとまるようになった。ポールのスタイルは、ヘビーで派手なものではなく、ソウルとフィーリングを全面に押し出したもので、決して本場アメリカのブルースマンに引けを取らない。

ロンドンに引っ越してから、オリジナル曲を作り演奏するようになり、自身のバンド、ポール・ガーナー・バンドを率いてイギリスのみならず欧州各地で演奏している。自身のバンドの他に、イギリスのワールド・クラス・ハーピストのスティーブ・ウェスト・ウェストンのバンド、ブルーソニックス(The Bluesonics)のギタリストでもあり、ロンドン有数のブルース・クラブ「Ain't Nothin' But」でハウス・バンドとして演奏している。 また、欧州各地のフェスティバルにも出演している。ジョン・メイオール、エリック・クラプトン、フリートウッドマックらの初期のレコードをプロデュースしたマイク・バーノンのプロデュースによるレイジー・レスターのレコーディングに参加したり、バーノンのヨーロッパ・ツアーのギタリストをも務めている。最近では、ポーランドのワルシャワ・ブルース・フェスティバルで、ビリー・ブランチ、ジェームス・ハーマン、ボブ・コリトアらアメリカのトップ・ブルース・ハーピストのサポート・ギタリストを務めた。今最も熱いブルース・ギタリストのひとりだ。■

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日本のミュージシャンからの絶賛のコメントが!
「この方(ポール・ガーナー)は、シカゴ・スタイル、Tボーン・スタイル、ジャンプ・スタイル、スイング・スタイル全部出来るんです。多分コリンズ・スタイル、ジョニーギターワトソン・スタイルもやれますね。(ポールはイギリスのハーピスト、スティーブ・ウェスト・ウェストンのバンド、ブルーソニックスのギタリストですが) スティーブ・ウェスト・ウェストンさんはギタリストにうるさい人です。この人が抜擢するんやから、やっぱりこの人は凄いと思います。実際に聴いても、まあ〜上手いのなんの。ほんで、他の人より断然若いっす。器用さを褒め称えている訳じゃないんです。それぞれのスタイルでも、その一番美味しいところをちゃんと表現してくれます。所謂、わかってるなって思わせる技をやってくれます。」 -- 半田真大、ブルース・ギタリスト(ジョニー・ハンダース・ショー)
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2019/11/8

福生で続くブルースフェス:レポート  ブルース

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11月3日の日曜日は、福生ブルースフェスティバルを見に行きました。このフェス、何年か前から気にはなっていたのですが、今年初めて行くことができました。実はもう今年で14回目を数えるそうです。規模は小さいながら、実に息の長いフェスなのです。

会場は東京郊外の福生市。JR八高線東福生駅前のスーパー、マルフジの駐車場です。周りは住宅地で、ところどころお店はあるものの商店街というほどのものもないのどかなところです。

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Nacomi

そんな会場に4トントラックのコンテナを使用したステージが設置され、5時間あまりに渡ってライヴ演奏が繰り広げられるのです。プロモーター企業が企画するようなコンサートとは異なり、手作り感満載の雰囲気。お客さんは100人程度でしょうか。

会場では地元石川酒造のビールと日本酒は販売されているものの食べものの販売はなく(以前はあったそうですが)、向かいのスーパーに行って買います。トイレもスーパーのものを使います。会場にはそれもないのです。

まあ、不便と言えば不便なのですが、こういうゆるさが逆に気持ちよかったですね。スーパー側でもフェスの客を見込んで、フェス客用のお惣菜コーナーを作っていて受け入れ態勢は整っていました。そんな状況なので、お酒も食べ物も持ち込みは自由。


ゆるい雰囲気とは言え、音楽は最高でしたよ。出ている人たちは多方面で活躍しているベテラン中心です。ハープのKotezのバンドはオールスター的なラインアップでめちゃファンキーでノリノリでしたし、関西から参戦のNacomi & The Blues Templeは最近注目を浴びているハーピスト、ナツコさんが入った特別バージョンでこれもまたまたご機嫌。

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加納秀人

伝説のバンド、外道のギタリスト、加納秀人はテンションの高いプレイで楽しませてくれましたし、終盤には出演者入れ替わりでジャム・セッションもあり、盛り上げてくれました。遊びに来ていたギタリストの高橋マコトさんもジャムに飛び入りしました。彼はこの日出演していたドラマーのマーティー・ブレイシーとともにもんた&ザ・ブラザーズで活躍したことでも知られていますし、Nacomiさんともデュオでライヴをやっていたこともありました。そんな縁で遊びに来たのでしょうかね。

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KOTEZ SPECIAL SESSION

サウンドの幅を広げてくれたのは、弾き語りでフォーキーな戦前ブルースを披露した菅原広巳。締めに演奏した”Cocaine Habit Blues”(メンフィス・ジャグ・バンド)はいい感じでしたが、終演後MCのマーティーに「こんなヤバイ曲やっちゃっていいの?」って突っ込まれて苦笑いされてました。(笑)

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菅原広巳

1日だけのイベントとは言え、出演者それぞれのスタイルがあり、多彩でした。この日何人かの人が”(Get Your Kicks On) Route 66”を歌いましたが、スウィングからファンキーなアレンジまで、同じ曲でもこうも違うかと思わせる個性の違いが聴けておもしろかったです。

出演者とお客さんの敷居が低く、演奏している人たちがお客さんと一緒に楽しんでいる感じのこのフェス。都心からだとちょっと行きにくいのですが、得難い魅力でした。

そしてこのフェスは「子供たちに車いすを買う」という目的を持ったチャリティーのフェスなのです。出演者もお金の為にやっているのではないのがまたいい雰囲気を作っているのでしょうね。会場には募金箱が設置され、逐次その箱を持ってスタッフの方々が回って来ました。Nacomiさんは、物販用に持って来たCDの売り上げを全額寄付すると言われていましたが、無事売れたのかな?

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Jam Session

【フェスティバル基本情報】
第14回 福生ブルースフェスティバル
日時:2019年11月3日(日)11:00〜16:00(開場10:30)
会場:東福生駅前マルフジ駐車場
前売券:3,000円(当日券:3,500円)
※高校生以下、70歳以上、障害者手帳所持者は入場無料
※雨天決行
公式サイト:http://fussa-bf.jugem.jp/
主催:福生ブルースフェスティバル実行委員会
協力:石川酒造株式会社、amos music、WE LOVE FUSSA
出演者:
◆ショットガン・ビリー & ザ・実行委員バンド
 ショットガン・ビリー(vo), 桜井 光(vo), 吉村樹里(vo), 後藤 輝夫(ts), 石川 太郎(hca), 林 左知恵(p, vo), 藤本 真也(b), チッコ ソウマ(ds), Winter Spencer(per)
◆菅原 広巳(vo, g)
◆Bull 松原 & Friends
 Bull 松原(vo), 後藤 輝夫(ts), チャビー(g)、 須川 光(p), 大西 真(b), Marty Bracey(ds)
◆Nacomi & The Blue Temple 』 From 大阪
 Nacomi(g, vo, hca), ピエール 落合(g), ミウラ ナツコ(hca) 、藤並 明徳(b), 前島 文子(ds)
◆ALRIGHT
 マリオ 中島(g, vo), 江口 弘史(b), チッコ ソウマ(ds), 林 左知恵(key) 、後藤 輝夫(ts), 表 雅之(as), Winter Spencer(per), オイ 皆川(vo)
◆こばや from 名古屋
 チャビー(vo, g), セイジ(vo, g), 慎之介(b), マイケル(ds)
◆加納 秀人 & THE SOUL
 加納 秀人 (g, vo), 大西 真(b), チッコ ソウマ(ds)
◆KOTEZ SPECIAL SESSION
 KOTEZ(vo, hca), 小安田 憲司(g), 江口 弘史(b), Marty Bracey(ds)
◆JAM SESSION
 (A)小安田 憲司(g, vo), チャビー(vo, g), Nacomi(g, vo, hca)、 須川 光(key), 江口 弘史(b), チッコ ソウマ(ds)
 (B)KOTEZ(vo, hca), Bull 松原(vo), 大西 真(b) 、マリオ 中島(g), ピエール 落合(g), Marty Bracey(ds)
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2019/10/31

Neil Billington、日本のミュージシャンとの交流の醍醐味  ブルース

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ほうぼう屋公演より

ニュージーランドのハーモニカ・プレイヤー、ニール・ビリントン。2014年に初来日をしてから毎年日本を訪れ、早くも今回で6度目となりました。今回は東京近辺で6公演が組まれた他、セッションで広島まで足を運んだそうです。オフの日もライヴを見に出かけて飛び入りを繰り返していたそうで、ミュージシャンとのコネクションを広げ、交流を楽しんでいたとのこと。

僕は今回、西荻窪のほうぼう屋、そして最終公演だったブライトブラウンのショーを見に行きました。2つとも共演した人たちのタイプが全く違うので、いい意味で対照的な内容を味わうことができました。

ほうぼう屋は、ジョニー柳田(gt.)とのデュオ。サニー・テリー&ブラウニー・マギー的なというのが適切かわかりませんが(いやかなり違うかも?)、シンプルなアコースティック・スタイルのブルースを展開しました。でも、そこは引き出しの多いニールのこと。そんな設定でもお得意の"Georgia On My Mind"が飛び出したり、オーティス・ラッシュの"It Takes Time"など、本来はエレキでやるようなレパートリーもねじ込む展開に。初共演だったジョニーさんは、自由奔放な展開のニールに付いて行くのが大変そうでしたが、好サポートぶりを見せてくれました。

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ほうぼう屋公演より
左よりT-Slim、Neil Billington、ジョニー柳田

2部の後半には、以前の来日で共演したことのあるハーモニカ・プレイヤー、T-スリムが飛び入り。ダブル・ハープでサニー・ボーイの"One Way Out"で盛り上げるとそのまま最後まで共演を続けました。ラストではニールは客席にも乱入。こんな渋い設定でも全力で賑やかに盛り上げるニール、彼のサービス精神には脱帽してしまいます。

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Bright Brown公演
左より土田晴信、二本松義史、Neil Billington

一方、ブライトブラウンの公演では、土田晴信(org.)、二本松義史(ds.)の2人と共演。スタイルは完全にジャズ・トリオです。この日のセットはソニー・ロリンズのインスト・ナンバー"Oreo"からスタート。その後もチャーリー・パーカーやエロル・ガーナ―などジャズ系のナンバーを繰り出しますが、その合間にサニー・ボーイ・ウィリアムソンやエルモア・ジェイムズなどのブルースも混ぜ込んでくるところがニールの真骨頂。そんな中にはほうぼう屋でもやった曲も何曲かありましたが、メンバーが変わるだけでこうも違うか、と思わず唸らせる別物となっていたのは面白かったです。リズムがジャズでしたし、それに合わせてニールのプレイも表情が違っていました。

特筆すべきは土田さんのオルガンです。レスリー・スピーカーも含めたオルガンのフルセットを自ら持ち込んだそうで、演奏云々言う前にその音色の深みが圧巻でした。プレイはというとスウィング感に溢れかつファンキー、ジミー・スミスばりのご機嫌さ。僕はすぐそばで見ていたのですが、特にベースパートを弾く左手の動きがすごかったです。目をつぶっていたら、ベーシストがいないとは全くわからない低音のグルーヴを生み出していました。彼のプレイにはニールも絶賛でした。

ブライトブラウンはもう20年以上の歴史を持ったお店ですが、フルセットのオルガンが持ち込まれるのは過去にはなかったそう。本当にオルガン一つで場の雰囲気が変わりました。ジャズ色の強いライヴではありましたが、土田さんはかつてシカゴのブルース・サーキットで活躍した実績も持つ人だけに、ブルース・ナンバーでのプレイもツボを押さえていたのはさすがでした。

ニールは今回のツアーでまた日本のミュージシャンたちとのコネクションを増やし、強めていったのだろうと思います。それを受けて次回以降さらに楽しませてくれることを期待したいと思います。

あと、以前から言っていますが、そろそろアルバムを作ってほしいですね。

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Bright Brown公演より

以下、セットリストです。

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Neil Billington
Tue., Oct. 22, 2019
西荻窪・ほうぼう屋

1st set (20:10:21:00)
It Hurts Me Too
Mellow Down Easy
That’s All Right
You Know It Ain’t Right
Help Me - Bye Bye Bird
Georgia on My Mind
Just A Little Bit

2nd set (21:10-22:30)
Just To Be With You (Jr. Wells)
It Takes Time
Boogie All Night Long
Who’s Gonna Be Your Sweet Man When I’m Gone
One Way Out
Rock Me Baby
Got My Mojo Workin’
-encore-
Love Her With A Feeling

[Personnel]
Neil Billington - harp, vocals
ジョニー柳田 - guitar
T-Slim - harp

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Neil Billington
Sun., Oct. 27, 2019
中野・Bright Brown

1st set (19:45-20:51)
Oreo (Sonny Rollins)
Back At the Chicken Shack (Jimmy Smith)
Misty (Erroll Garner)
One Way Out
It Takes Time
Got My Mojo Working
Just To Be With You
Cherokee

2nd set (21:12-22:35)
Ornithology (Charlie Parker)
Caravan (Duke Ellington)
Georgia on My Mind
Help Me〜Bye Bye Bird
Flying Saucer (Little Walter)
The Sky Is Crying
Billie’s Bounce (Charlie Parker)
-encore-
All Blues (Miles Davis)

[Personnel]
Neil Billington - harp, vocals
土田晴信 - organ
二本松義史 - drums

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【ニール・ビリントンに関する書き込み】
2014年初来日公演(with Mike Garner)レポート
https://black.ap.teacup.com/sumori/1532.html

2015年来日公演(with Mike Garner)情報
https://black.ap.teacup.com/sumori/1608.html

2015年来日公演(with Mike Garner)レポート
https://black.ap.teacup.com/sumori/1627.html

2016年来日公演(with Mike Garner)情報
https://black.ap.teacup.com/sumori/1700.html

2016年来日公演(with Mike Garner)レポート
https://black.ap.teacup.com/sumori/1713.html

2017年来日公演日程情報
https://black.ap.teacup.com/sumori/1756.html

2017年来日公演レポート
https://black.ap.teacup.com/sumori/1762.html

2018年来日公演日程情報
https://black.ap.teacup.com/sumori/1782.html

2018年来日公演レポート
https://black.ap.teacup.com/sumori/1786.html

2019年来日公演日程情報
https://black.ap.teacup.com/sumori/1851.html
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2019/10/29

BLUES & SOUL RECORDS 150号発売  ブルース

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ブルース&ソウル・レコーズ誌の最新号が発売になりました。150号という節目の号です。1994年の創刊から早くも四半世紀。まだ雑誌が続いていること自体凄いことだなと思います。

本号の巻頭特集はエルモア・ジェイムズです。亡くなってから既に半世紀以上が経った彼をなぜ今更?と思わなくもないですが、編集部としては、ブルースの巨人の魅力と功績を伝える特集は繰り返し続けていく方針で、前回エルモアの特集をやった2001年から18年も経っているので、今一度ということだそうです。

個人的には初めてエルモアを聞いたのは高校生のときでしたが、結構衝撃的でしたね。それは必ずしもいい意味でではなく、ちょうど買ったアルバムがエルモアの十八番のいわゆるブルーム・スタイルの曲が立て続けに入っていて、「どれも同じ曲じゃん!」っていう衝撃が走ったのでした(笑)。でも聴き込んでいると違いがわかってくるんですよね。

スライドはもとより、エルモアは歌のインパクトもかなりのものです。今聴いてもやはりすげーのです。

僕はエルモアの記事は書いていませんが、海外ニュース欄に加え、ニューオーリンズの新譜は2つ(Johnny Sansone、Chip Wilson)紹介しました。よかったらチェックしてみてください。

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BLUES & SOUL RECORDS NO. 150
2019年10月25日発売
定価: 1,600円+税
https://bsr.excite.co.jp/magazine/bsr150/

表紙 エルモア・ジェイムズ

激しく心を揺さぶるエレクトリック・スライド・ギターと情感が溢れ出すヴォーカルで、1950年代から60年代前半までに数々のブルース傑作を残したエルモア・ジェイムズ。代表曲〈ダスト・マイ・ブルーム〉で確立したスライド・ギターのスタイルはその後多くのアーティストに継承され、1960年の〈ザ・スカイ・イズ・クライング〉はスロー・ブルース傑作としてブルース・スタンダードとなり愛されている。生誕100年を超えてなおブルース巨人として愛され続けるエルモア・ジェイムズの功績に迫る。

★ 破壊的ブルース革新者─ルーツ、ギター、その生涯
★ エルモア・ジェイムズ傑作シングル12選
★ エルモアを聴く。─録音から探る破天荒ブルースマンの姿
★ 代表曲〈ダスト・マイ・ブルーム〉徹底研究
★ エルモア・スタイルのマスターたち─ホームシック・ジェイムズ/ハウンド・ドッグ・テイラー/J.B.ハットー/ジョン・リトルジョン

【付録CD】The Resurrection Of Elmore James
1969年に編集されたアルバム『ザ・レザレクション・オブ・エルモア・ジェイムズ』をCD復刻。スライド・ギターが激しく暴れ回るインストゥルメンタル・ナンバーから、十八番の「ブルーム調」やスロー・ブルース、異色のルンバ・ブルースまで、多彩な楽曲でエルモアの魅力が楽しめるコンピレーションです。(モダン・レコード原盤)

1. Hawaiian Boogie (Version 1)
2. Quarter Past Nine
3. Sho Nuff I Do [alt. take]
4. Early In The Morning
5. One More Drink [take 1]
6. Strange Kinda Feeling [take 5]
7. Make My Dreams Come True [take 2]
8. Late Hours At Midnight
9. Elmo’s Shuffle [take 5]
10. Can’t Stop Lovin’
11. Make A Little Love
12. Hawaiian Boogie (Version 2)

【その他の主な記事】
●[インタヴュー]内田勘太郎「これからもいっぱい“いい歌”を残しておきたい」
● 歴史的ブルース・フェス開催から50年─アナーバー・ブルース・フェスティヴァル1969
50年の時を経て登場した史上屈指のブルースの祭典秘蔵音源集『Ann Arbor Blues Festival 1969』
● [モータウン60周年記念企画 6号連続掲載/第5回]
 *日本独自企画ディスコ・コンピ『MOTOWN DISCO』
 *マーヴィン・ゲイ『ホワッツ・ゴーイン・オン・ライヴ』
 *本誌ライターが選ぶ! モータウン・プレイリスト・ [岩間慎一]
 *モータウン重要“裏”人物伝・ デイヴ・ハミルトン
● なにわブルース・フェスティバル・リポート
● 12年ぶりの新版登場! ピーター・バラカンの『新版 魂(ソウル)のゆくえ』
● 注目作をじっくり鑑賞する「語りたい逸品」コーナー
 *CD『CADILLAC BABY’S BEA & BABY RECORDS』
 *CD『DOWN HOME BLUES – CHICAGO 2』
●[新作アルバム・リヴュー]ボビー・ラッシュ/アーサー・アダムズ/トロンゾ・キャノン/ロバート・ランドルフ 他

【連載】
☆ 好評連載 トータス松本 1本のカセットから 第34回[最終回] 特別対談 ゲスト ジョンB、サンコンJr.(ウルフルズ) [後編]
☆ なんてったってインディ・ソウル 蔦木浩一×齋藤雅彦
☆ フード・フォー・リアル・ライフ 〜歌詞から見るブルース&ソウルの世界 [中河伸俊]
☆ 小出 斉の勝手にライナーノーツ「HOMESICK JAMES AIN’T SICK NO MORE」
☆ リアル・ブルース方丈記/日暮泰文
☆ 鈴木啓志のなるほど! ザ・レーベル VOL.77 「Dade」
☆ ゴスペル・トレイン「ドロシー・ノーウッド」/佐々木秀俊+高橋 誠
☆ BLUES IS MY BUSINESS no.226/吾妻光良
☆ いづみやの曲追い酩酊談/佐々木健一
☆ 原田和典の魂ブチ抜き音楽
☆ 文聞堂書房〜古書掘りコラム/出田 圭
☆ ICHIのチタリン・サーキット最前線
☆ International Music Stroll〜世界の音楽にぷらりと出会おう/ワダマコト
☆ ニッポンの。国内アーティスト新譜紹介/妹尾みえ
☆ ブルース&ソウルが流れる店/轟美津子/加藤千穂
☆ Ain’t That Good News 国内ライヴ/イヴェント情報ほか
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