2018/2/27
BLUES & SOUL RECORDS 140号発売 ブルース

ブルース&ソウル・レコーズの140号が発売になりました。今回の巻頭特集はブルース・ハーモニカの雄、サニー・ボーイ・ウィリアムソンII世(ライス・ミラー)です。ディスク・ガイドから彼の奏法解説までをカバーした大特集。彼の歩みを振り返った8ページに渡る巻頭記事を書いているのは米国の著名なブルース・ライターのジム・オニールです。
サニー・ボーイと言えば、ヘレナのキング・ビスケット・タイムに出演していたのは有名な話ですが、そのDJだった"サンシャイン"・サニー・ペインがつい先日亡くなったのは奇妙な偶然でしょうか。
この特集に加え、妹尾隆一郎の追悼特集も大々的です。貴重な若いころの写真も掲載されています。僕はニュース欄に加え、スウィート・ピー・アトキンソン、ブラインド・ボーイズ・オヴ・アラバマの新譜レビューを書きました。
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BLUES & SOUL RECORDS NO. 140
2017年2月24日発売
定価: 1,600円+税
https://bsrmag.com/magazine/bsr140/
表紙 サニー・ボーイ・ウィリアムスンII
特集 サニー・ボーイ・ウィリアムスン〜ハーモニカを手にしたブルースの化身
ロバート・ジョンスン、ハウリン・ウルフ、エルモア・ジェイムズ、ロバート・ロックウッド・ジュニアら、ブルースの巨人たちを活動を共にし、晩年にはヨーロッパに渡り若き英国のミュージシャンたちにも多大な影響を与えたサニー・ボーイ。その謎に満ちた生涯と、誰もを虜にするハーモニカ奏法に迫る。
★世界を幻惑した孤高のハーモニカ・マスター〜ジム・オニール書き下ろし決定的評伝
★ハーモニカ奏法徹底解説〜代表曲の使用ハーモニカ・キー/ポジション一覧付
★デビューから死の直前までレコーディング・キャリア全紹介
★サニー・ボーイ好きに送るブルース・シングル10選
【付録CD】BLUE SERENADE
エルモア・ジェイムズ、ハウリン・ウルフら、サニー・ボーイと関係の深いブルースマンを中心に、1950年代にミシシッピ、メンフィス、アーカンソーで録音された荒々しくも生命力あふれる「サザン・ブルース」を収録。サニー・ボーイ参加作も。
1. ELMORE JAMES: Please Find My Baby
2. SUNNY BLAIR: Five Foot Three Blues
3. JOE HILL LOUIS (The One Man Band): Peace Of Mind
4. BIG WALTER HORTON: I'm In Love With You Baby [take 1]
5. BOYD GILMORE: Take A Little Walk With Me
6. ROBERT “DUDLOW” TAYLOR: Lonesome
7. HOWLIN’ WOLF: Ridin' In The Moonlight
8. CHARLIE BOOKER: No Ridin’ Blues
9. BABY FACE TURNER: Blue Serenade
10. ALFRED “BLUES KING” HARRIS: Miss Darlene
11. JAMES “PECK” CURTIS: 44 Blues
12. WILLIE NIX: Lonesome Bedroom Blues
【その他の主な記事】
●中国に本場シカゴ・ブルース到来!〜有吉須美人&ビリー・ブランチ中国ツアー・リポート
●[追悼]妹尾隆一郎/永井“ホトケ”隆、小出 斉、仲村哲也(TEX NAKAMURA)による追悼文/妹尾隆一郎の歩み ソロ・アルバム/参加アルバム紹介
●[語りたい逸品]CD『V.A. / DOWN HOME BLUES - CHICAGO』/シカゴ・ブルース最重要期を捉えたCD5枚組
●[語りたい逸品]CD『永井“ホトケ”隆のブルースパワー・ラジオ・アワー 〜10th アニバーサリー』/名ホストに導かれ出合う一生もののブルース
●[語りたい逸品]書籍『CHASIN’ THE 80s CLASSICS』/愛情たっぷりに綴る80年代R&Bプロデューサー名鑑
● 新作アルバム・リヴュー──シャロン・ジョーンズ/ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ/リロイ・ハトスン 他
【連載】
☆ 好評連載 トータス松本 1本のカセットから 第24回 とり憑かれたい永遠のアイドル─サム・クック
☆ なんてったってインディ・ソウル 蔦木浩一×齋藤雅彦
☆ 小出 斉の勝手にライナーノーツ「JIMMY DeBERRY & WALTER HORTON」
☆ リアル・ブルース方丈記/日暮泰文
☆ 鈴木啓志のなるほど! ザ・レーベル VOL.69 「Crajon/Parka」
☆ ゴスペル・トレイン「クラーク・シスターズ」/佐々木秀俊+高橋 誠
☆ BLUES IS MY BUSINESS no.216/吾妻光良
☆ いづみやの曲追い酩酊談/佐々木健一
☆ 原田和典の魂ブチ抜き音楽
☆ 文聞堂書房〜古書掘りコラム/出田 圭
☆ ICHIのチタリン・サーキット最前線
☆ International Music Stroll〜世界の音楽にぷらりと出会おう/ワダマコト
☆ ニッポンの。国内アーティスト新譜紹介/妹尾みえ
☆ ブルース&ソウルが流れる店/轟美津子/加藤千穂
☆ Ain’t That Good News 国内ライヴ/イヴェント情報ほか

2018/2/25
訃報:"Sunshine" Sonny Payne 1925-2018 ブルース

"Sunshine" Sonny Payne
Long Beach Blues Festival, Sept 19, 2993
(c)Photo by Masahiro Sumori.
アーカンソー州ヘレナのラジオDJ、”サンシャイン”・サニー・ペインが2018年2月9日、亡くなりました。92歳でした。
彼は、ヘレナのAMラジオ局KFFAのブルース番組キング・ビスケット・タイムのDJを1951年より60年以上に渡って続けたブルースの世界では名物DJでした。この番組が始まったのは1941年で、全米で最も息の長い番組と言われています。公民権運動より遥か昔の時代の米国南部でブルースを専門にした番組は珍しかったとみられ、デビュー前のB.B.キングら後のブルース界の大物たちも、番組の時間になると、ラジオにかじりついて聞いたそうです。優秀なラジオ、テレビ番組に送られるピーボディー賞も受賞しています。
その昔は、キング・ビスケット・エンターテイナーズの名前でサニー・ボーイ・ウィリアムソン(II世)、ロバート・ロックウッド・ジュニア、パイントップ・パーキンズらが演奏し、番組を盛り立てました。
ロックのライヴで有名なキング・ビスケット・フラワー・アワーはずっと後になってから、キング・ビスケット・タイムから名前を拝借して始まった番組でした。ヘレナではキング・ビスケット・ブルース・フェスティバルというフェスティバルも毎年開かれています。
キング・ビスケット・タイムは平日のお昼12時15分より30分間、生放送され、ペインは毎日マイクに向かい続けました。KFFAのウェブサイトでアーカイブが公開されて続けていたので、その声は日本のブルース・ファンにも届いていたはずです。
”サンシャイン”・サニー・ペインは1925年11月29日、ヘレナの生まれです。1941年に清掃員としてKFFAに雇われたものの、当時ラジオのCMを読み上げる経験もしたようです。一度軍隊に入りヘレナを離れますが、除隊後再びKFFAに戻り、今度はDJとして本格的に活動を開始したというわけです。1951年に番組に初登場して以来、彼の登場回数は17,000回にも及びました。
2017年の12月にペインは体調を崩し、以後代理のDJ、トーマス・ジャックが番組に出演していました。2月12日の放送は、彼のペインに対する追悼の言葉から始まっています。
遂に亡くなってしまったかという思いですが、今後も番組は是非とも続けて欲しいと思います。
奇しくも、ブルース&ソウル・レコーズ誌の2月25日発売号(140号)は、キング・ビスケット・タイムにゆかりの深いサニー・ボーイの巻頭特集。ジム・オニールが寄稿した記事には当時の番組のことについても触れられています。
ご冥福をお祈りします。
KFFA https://www.kffa.com/

2018/2/18
2017年の年間ベストアルバム 音楽全般
2017年もたくさんいい音楽に出逢いました。1年間に聴いた新譜の個人的なベストです。他にもいい作品はいろいろありましたが、特に印象に残ったものを10枚選びました。順不同です。
Elvin Bishop - Elvin Bishop's Big Fun Trio

前作もよかったですが、今回の作品はシンプルなトリオ編成な分、逆にブルースのパワーががつんと伝わる快作でした。このアルバムを引っさげての来日公演も快調でしたし、70超えてますます勢い付いているのには嬉しくなります。日本盤のライナーを書きましたので、よかったら読んでくださいね。
Robert Cray & Hi Rhythm

その名の通り、メンフィスのハイ・リズム・セクションとの共演作。クレイは、過去にもメンフィスホーンズとツアーに出ていたこともあったし、メンフィスソウルとの相性がいいんですよね。ということでこれもすごく自然体で、彼の魅力がにじみでたブルース&ソウルでした。
The Sherman Holmes Project - Richmond Sessions

ホームズ・ブラザーズの2人が亡くなり、シャーマン一人残されたあと、78歳にして彼は初のソロとなる本作をリリースしました。これまでのホームズ・ブラザーズの幅広い音楽性を引き継ぎつつ、ベテランならではの奥の深いサウンドを聴かせます。
この作品については、当ブログにも取り上げたので、ご覧下さい。
http://black.ap.teacup.com/sumori/1759.html
Gregg Allman - Southern Blood

グレッグ・オールマンが亡くなってからリリースとなった、遺作。恐らくこれを作っている頃、彼の体調は悪かったのではと思いますが、そんなことは感じさせません。オールマン・ブラザーズでも聞かせていたブルージーな歌声、聴けば聴くほどはまります。ラストを飾るジャクソン・ブラウンとの共演も最高です。
The Blind Boys of Alabama - Almost Home

Amazonの配信のみという変則的な形の新譜ですが、ゲストを多く迎えた形が多かった近年の作品と異なり、シンプルでストレートな作品でした。オリジナル・メンバーの2人も80代後半となり、もう間もなく神の懐へ帰るよと言っていると思われるこのタイトル。でもサウンドは喜びに満ちていて悲壮感は全然ないのです。
Bloodest Saxophone feat. Big Jay McNeely - Blow Blow All Night Long

歳を食っても驚異的な精神力でパワフルな演奏を聴かせるビッグ・ジェイ。Bloodest Saxophoneとの相性もバッチリです。2度の来日公演でのとエンターテイナーぶりにも度肝を抜かれましたが、まだまだやれるんでは思わせます。もう一度来日、あるかな?
Chas Justus & the Jury

ルイジアナのケイジャン・スウィング・バンド、レヴェラーズ、レッド・スティック・ランブラーズのギタリスト、チャス・ジャスタスのリーダー作は、一層スウィング・ジャズ色が濃く出たご機嫌なサウンドです。フランス語で歌われる嘘は罪(It’s A Sin To Tell A Lie)はルイジアナらしいところです。
Lloyd Price - This Is Rock and Roll

ファッツ・ドミノが遂に亡くなってしまい、もう50年代に活躍したロックンロール・スターは殆ど残っていないなと思っていたら、同じニューオーリンズのロイド・プライスが久々に新譜を出しました。御歳84歳。思いの外元気で嬉しくなりました。
Van Morrison - Roll With The Punches

最近のヴァンの新譜リリースのペースはやたらと早いですね。2017年は2枚を出しましたが、このアルバムは近年の作品の中でもブルース/R&B色が強く、非常にはまりました。
Lost Bayou Ramblers - Kalenda

祝グラミー賞受賞!彼らのように現在進行形のケイジャン・ミュージックを演奏するバンドが評価されるのは非常に嬉しいのです。
2017年ベスト・ライヴ
Spencer & Percy Wiggins (April 18, 2017, Billboard Live Tokyo)
2017年を通して一番のライヴといえば、やはりこれかなぁ。もうジーンときてしまいました。
http://black.ap.teacup.com/sumori/1734.html
5
Elvin Bishop - Elvin Bishop's Big Fun Trio

前作もよかったですが、今回の作品はシンプルなトリオ編成な分、逆にブルースのパワーががつんと伝わる快作でした。このアルバムを引っさげての来日公演も快調でしたし、70超えてますます勢い付いているのには嬉しくなります。日本盤のライナーを書きましたので、よかったら読んでくださいね。
Robert Cray & Hi Rhythm

その名の通り、メンフィスのハイ・リズム・セクションとの共演作。クレイは、過去にもメンフィスホーンズとツアーに出ていたこともあったし、メンフィスソウルとの相性がいいんですよね。ということでこれもすごく自然体で、彼の魅力がにじみでたブルース&ソウルでした。
The Sherman Holmes Project - Richmond Sessions

ホームズ・ブラザーズの2人が亡くなり、シャーマン一人残されたあと、78歳にして彼は初のソロとなる本作をリリースしました。これまでのホームズ・ブラザーズの幅広い音楽性を引き継ぎつつ、ベテランならではの奥の深いサウンドを聴かせます。
この作品については、当ブログにも取り上げたので、ご覧下さい。
http://black.ap.teacup.com/sumori/1759.html
Gregg Allman - Southern Blood

グレッグ・オールマンが亡くなってからリリースとなった、遺作。恐らくこれを作っている頃、彼の体調は悪かったのではと思いますが、そんなことは感じさせません。オールマン・ブラザーズでも聞かせていたブルージーな歌声、聴けば聴くほどはまります。ラストを飾るジャクソン・ブラウンとの共演も最高です。
The Blind Boys of Alabama - Almost Home

Amazonの配信のみという変則的な形の新譜ですが、ゲストを多く迎えた形が多かった近年の作品と異なり、シンプルでストレートな作品でした。オリジナル・メンバーの2人も80代後半となり、もう間もなく神の懐へ帰るよと言っていると思われるこのタイトル。でもサウンドは喜びに満ちていて悲壮感は全然ないのです。
Bloodest Saxophone feat. Big Jay McNeely - Blow Blow All Night Long

歳を食っても驚異的な精神力でパワフルな演奏を聴かせるビッグ・ジェイ。Bloodest Saxophoneとの相性もバッチリです。2度の来日公演でのとエンターテイナーぶりにも度肝を抜かれましたが、まだまだやれるんでは思わせます。もう一度来日、あるかな?
Chas Justus & the Jury

ルイジアナのケイジャン・スウィング・バンド、レヴェラーズ、レッド・スティック・ランブラーズのギタリスト、チャス・ジャスタスのリーダー作は、一層スウィング・ジャズ色が濃く出たご機嫌なサウンドです。フランス語で歌われる嘘は罪(It’s A Sin To Tell A Lie)はルイジアナらしいところです。
Lloyd Price - This Is Rock and Roll

ファッツ・ドミノが遂に亡くなってしまい、もう50年代に活躍したロックンロール・スターは殆ど残っていないなと思っていたら、同じニューオーリンズのロイド・プライスが久々に新譜を出しました。御歳84歳。思いの外元気で嬉しくなりました。
Van Morrison - Roll With The Punches

最近のヴァンの新譜リリースのペースはやたらと早いですね。2017年は2枚を出しましたが、このアルバムは近年の作品の中でもブルース/R&B色が強く、非常にはまりました。
Lost Bayou Ramblers - Kalenda

祝グラミー賞受賞!彼らのように現在進行形のケイジャン・ミュージックを演奏するバンドが評価されるのは非常に嬉しいのです。
2017年ベスト・ライヴ
Spencer & Percy Wiggins (April 18, 2017, Billboard Live Tokyo)
2017年を通して一番のライヴといえば、やはりこれかなぁ。もうジーンときてしまいました。
http://black.ap.teacup.com/sumori/1734.html
