2017/10/27

ファッツ・ドミノが亡くなりました。  ニューオーリンズ

ファッツ・ドミノが10月24日早朝に亡くなりました。89歳でした。近年は近況も伝わって来なかったし、ライヴもやっている感じではなかったので、どうしているのかな?と思っておりましたが、訃報に接し、残念でなりません。ファッツ全盛期に彼のバンドで活躍したハーブ・ハーデスティが昨年12月に亡くなり、今度はファッツ本人が...。彼より年上のデイヴ・バーソロミューはまだご存命のはずですが、彼はどうしているでしょうか。

訃報: Herb Hardesty 1925-2016 (2016/12/13) → 1997年のジャズフェスのファッツの写真もあります。
http://black.ap.teacup.com/sumori/1715.html

ニューオーリンズのR&Bを形成するのに貢献した人はひとりやふたりではありませんが、ファッツは確実にその最大の功労者の一人だし、彼はひいてはロックンロールの土台も作り上げた非常に偉大な人だと言えるとおもいます。ご高齢だったので天寿を全うしたと言えるのでしょう。素晴らしいサウンドをありがとう、という感謝の気持ちでいっぱいです。RIP。

ファッツを知るためのいいDVD(The Big Beat: Fats Domino and the Birth of Rock n’ Roll)がシャナキー・レコードから出ています。

機会があればぜひ、見てください。

以下、ブルース&ソウル・レコーズ誌132号に僕が書いたレビューです。

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The Big Beat: Fats Domino and the Birth of Rock n’ Roll
(Shanachie 999)

 ファッツ・ドミノの足跡を辿る初のドキュメンタリー映画だ。監督のジョー・ローロは、数年前からクラウドファンディングを通じて資金を集め、本作の完成に漕ぎ着けた。今年2月、ファッツの88歳の誕生日にあわせ、米PBSの番組、アメリカン・マスターズで60分の作品として放送されている。同時発売となった本DVDには、そのTV放送版に加え、90分のディレクターズ・カット版とボーナス映像も併せて収録された。

 本作は、1960年代前半までのファッツの全盛期に焦点を当てた作りとなっており、ファッツ個人にとどまらず、タイトルが示す通り、ロックンロールの誕生の歴史を描き出す中で彼の活躍を浮き彫りにしている。

 ファッツの生い立ちに関する冒頭の部分では、当時の様子を写真とともに振り返る。彼が生まれ育ったロウワー・ナインス・ワードがニューオーリンズの中心街からさほど遠くないにも関わらず、別世界のような片田舎で、彼の叔父が近所で農場を経営していたことなど、古き時代を感じさせる内容だ。

 随所に登場し、語るのはファッツの伝記本「Blue Monday」の著者リック・オリヴァーだ。彼は、ファッツやデイヴ・バーソロミューら当事者のインタヴューを補足するように、様々なエピソードを紹介する。後にファッツがジャズフェスの会場としてプレイすることになるフェアグラウンズ競馬場で、かつて彼の父が働いていたという話は特に興味深かった。

 1949年のデビュー後に話が移ると、ヒットを連発するファッツの快進撃が始まり、改めて彼の偉大さに気付かされることとなるが、やはり見どころの中心は音楽映像だ。50年代のエド・サリヴァン・ショー等も貴重だが、中でも、最も注目すべきは、1962年のフランスのアンティーブ・ジャズ・フェスティヴァル出演時の映像である。ローロが本作を制作する前段階で、フランス国立中央文書館で見つけ出したというこの映像には、バーソロミューはもちろん、ハーブ・ハーデスティ、ロイ・モントレルら当時の主要レコーディング・メンバーが揃っており、汗が飛び散るような熱い演奏だ。ボーナス・トラックでも更に、ここからの映像を3曲見ることができるが、オリジナルのフィルムは45分に渡るものだそうで、これは是非とも単体でのリリースも期待したい。

 本作のストーリーは1963年で終了しており、その後のことについては、「以後40年、ライヴでヒット曲を歌い続けた」という程度しか触れていない。潔いとは言えるが、過去の人であるかのような印象になっているのは残念だ。確かに80年代以降の活動はあまり活発だったとは言えないものの、当時大きく報道されたハリケーン・カトリーナ(2005年)の際の救出劇や、その翌年リリースされた新譜など、盛り込める内容は色々とあったのではないだろうか。そんな中で、2010年に自宅でピアノを弾く様子が映し出されているのは、嬉しかった。この時点で既に82歳だが、元気そうだ。

 なにはともあれ、ファッツやバーソロミューの存命中に本作がリリースとなったことは喜ばしい。ドキュメンタリー映画ブームの中で、ファッツを改めて評価する機会になってほしい。
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