2014/8/12

プリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンド来日公演  ニューオーリンズ

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プリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンドは、新譜「That's It!」リリースを受けての来日。僕はフジロック・フェスの2公演とブルーノート東京の最終公演を見ました。シャノン・パウエルのバンドとは客層は全く違っていて、特にブルーノートでは、老若男女幅広い層が来ている感じ。フジロックでは、フェス参加者の傾向ということでしょうが、より若い層が多かったように思います。

このバンド名義では1976年に一度来日したことがあるそうですが、さすがに38年前とあっては前回の来日を経験しているメンバーは今回のラインアップにはいないはず。しかし、フジロックでベン・ジャフィーは開口一番「38年ぶりに日本に戻って来れて嬉しい」とあいさつ。バンドとしての伝統が続いていることを印象づけました。

ベンは、バンド創設者の故アラン・ジャフィーの息子で現在43歳。メンバーの中では若手の方ですが、Creative Directorという肩書きで事実上バンドのリーダーを務めています。彼はブルーノートでは、後方で黙々とベースを弾いていましたが、フジロックでは前に出て来ることも多く、存在感を示していました。

新譜もそうだったように、トラディショナル・ジャズの再構築というか、古き中にも新しさがあるとでも言ったらいいでしょうか?オリジナルの新曲もキング・オリヴァーの古い名曲も違和感なく混ざり合い、いきいきと演奏されていました。プロフェッサー・ロングへアの"Go To The Mardi Gras"などR&Bの曲もやっていましたが、分け隔てなく彼らのサウンドの一部になっています。

元来ニューオーリンズ・ジャズを特徴づける楽器であるはずのバンジョーが今の彼らにはなく、ダブルベースとスーザフォンという低音楽器が2つ入っているのは特徴的と言えます。特にアタックの強いロネル・ジョンソンのスーザフォンは、ブラスバンド的な響きを持っていて、これがバンド全体のノリにプラスの影響を与えていました。

フジロックのオレンジコードでのライヴは、ステージが広かったので、メンバーもステージを動き回りながらステップを踏んだりノリノリで、観客も踊って楽しい雰囲気でした。"Bourbon Street Parade"が始まると、あらかじめ配られていた傘があちこちで舞うパレード状態に。やっぱりこれがニューオーリンズ・スタイルですね。さすがに、すし詰めになったブルーノートではこの演出はなかったですが。

フジロックではフロントの面々はずっと立ってプレイしていましたが、ブルーノートでは椅子が出され、基本的に座っての演奏。曲のクライマックスになると全員で立ち上がってプレイするというスタイルは、いかにもジャズクラブ・マナーでした。

"Rattlin' Bones"で腰をくねらせてのダンスを披露しながら歌ったフレディ・ロンゾ、"Dear Lord"で教会のプリーチャーのような強力な歌を聴かせたロネル・ジョンソン。メンバー各々が個性を発揮していたのもよかったです。中でもメンバー最年長、82歳のチャーリー・ゲイブリエル (cl, sax)が"Come With Me"で聴かせた歌声は、味わい深く、ニューオーリンズの古風な町並みにタイプスリップしたかのような気分にさせてくれました。彼のクラリネットの音がまた瑞々しく、そんなお年とは忘れてしまうほど。笑顔の素敵な元気なおじいちゃんでした。

セットリストは毎回結構変わっていたようです。フジロックのカフェドパリでやっている"Trombone Freddie"は実際にはベッシー・スミスの"Trombone Cholly"で、フレディ・ロンゾのトロンボーンをフィーチャーした形です。僕が見たセットでは、いずれも定番曲「聖者の行進」はやりませんでした。そんなところにも彼らの姿勢が現れているように思います。定番をやるだけで終わらせたくないという気持ちが強いのでしょう。ブルーノートの最終回では新譜の曲中心の展開でした。でも、古き良きニューオーリンズをしっかり感じさせてくれましたよ。それは素晴らしいことですね。

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フジロックのオレンジコートでは、バンドの大きいバックドロップも登場


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PRESERVATION HALL JAZZ BAND
Fuji Rock Festival (Orange Court)
Sat., July 26, 2014, 17:10-18:20

Go To The Mardi Gras
Shake That Thing
Bourbon Street Parade
Dippermouth Blues
Tootie Ma Is A Big Fine Thing
St. James Infirmary (slow)
St. James Infirmary (up-tempo)
Sugar Plum
Little Liza Jane
That's It!
Dear Lord (Give Me Strength)

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PRESERVATION HALL JAZZ BAND
Fuji Rock Festival (Cafe du Paris)
Sun., July 27, 2014, 16:00

Bourbon Street Parade
St. Louis Blues
Trombone Freddie
Halfway Right, Halfway Wrong
El Manisero (Peanut Vendor)
Dippermouth Blues
That's It!

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PRESERVATION HALL JAZZ BAND
Blue Note Tokyo
Tue., July 29, 2014

[2nd set] 21:58-23:20
Go To The Mardi Gras
That's A Plenty
Bourbon Street Parade
Peanut Vendor (El Manisero)
Basin Street Blues - band intros
Come With Me
I Think I Love You
Sugar Plum
August Nights
Halfway Right, Halfway Wrong
Rattlin' Bones
That's It!
-encore-
Dear Lord (Give Me Strength)

[Personnel]
Ben Jaffe - bass, percussion, backing vocals
Mark Braud - trumpet, vocals
Charlie Gabriel - clarinet, tenor sax, vocals
Clint Maedgen - tenor & baritone sax, vocals
Joseph Lastie Jr. - drums, backing vocals
Freddie Lonzo - trombone, vocals
Rickie Monie - piano
Ronell Johnson - sousaphone, trombone, vocals

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【ツアー日程】
2014年7月26日(土)フジロック・フェスティバル(17:10, Orange Court)
2014年7月27日(日)フジロック・フェスティバル(16:00, Café de Paris)
2014年7月28日(月)、29日(火) ブルーノート東京(南青山)
[1st]開場5:30pm 開演7:00pm [2nd]開場8:45pm 開演9:30pm
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2014/8/12

Shannon Powell Traditional All-Star Jazz Band来日公演  ニューオーリンズ

7月は、偶然にもニューオーリンズ系ジャズ・バンドの来日が2つ続きました。シャノン・パウエルのトラディショナル・オールスター・ジャズ・バンドと、プリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンドです。

2つとも見に行ったので、その様子を紹介しようと思います。同じようなニューオーリンズ・サウンドだったとも言えるし、好対照だったとも言えるかなと思いました。

まず、シャノン。彼は、それこそジャズの分野にとどまらず、幅広くニューオーリンズのシーンで活躍するドラマーですが、今回のツアーが「デキシーランド・ジャズの祭典」と銘打っていたこともあって、トラディショナル・ジャズのショーケース的な色彩の濃い内容でした。デキシーセインツで知られる外山喜雄 / 外山恵子夫妻が司会・進行役を務め、1曲1曲出て来て解説します。NHK総合あたりでやっている歌謡番組のニューオーリンズ・ジャズ版といった趣きでした。

実際の演目は異なっていたとは言え、入口で演目リストが配られるある程度予定調和的な内容で、観客の年齢層は非常に高かったです。普段、僕が行くようなライブでは見かけない自分の親世代くらいの人が多かったような気がします。(60代、70代あたりが中心?)

決め事感が強かったとは言え、それだけにツボを押さえた楽しいライヴでした。終盤には、ステージに飾ってあったニューオーリンズのパレード用の傘が客席に配られ、会場内を皆でパレードする演出も。外山夫妻もところどころ演奏に加わり、ほのぼのとした暖かい雰囲気でした。

歌はシャノンが歌うことが多かったと思いますが、ヴォーカリストとしてタニア・ブッテが数曲でフィーチャーされ、客席まで降りて来て熱唱したのも見どころの一つでした。さすがジョン・ブッテやリリアン・ブッテを輩したブッテ・ファミリーの歌手ですね。

2部冒頭"Tiger Rag"では、シャノンはウォッシュボードを披露。外山さんも洗濯板を楽器にしたこの楽器の楽しさを解説していました。王道の選曲が目立ちますが、ルイ・ジョーダンの"Is You Is Or Is You Ain't My Baby"はブルージーなジャイヴ感覚が溢れていてよかったですね。最後を飾った「聖者の行進」では、途中マルディグラ・インディアンのチャント"Shallow Water"に展開し、ニューオーリンズの別の一面も見せていました。

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SHANNON POWELL TRADITIONAL ALL-STAR JAZZ BAND
Nakano Sun Plaza
Fri., July 4, 2014

1st Set (18:30-19:25)
Bourbon Street Parade
Ice Cream
Exactly Like You (Tanya Boutte-vo)
Is You Is Or Is You Ain't My Baby (Tanya Boutte-vo)
Hello Dolly (w/外山喜雄&恵子)
On Green Dolphin Street
Sweet Georgia Brown
Little Liza Jane

2nd Set (19:40-20:40)
Tiger Rag
Second Line
Basin Street Blues (Tanya-vocals)
When We All Get To Heaven
Just A Closer Walk With Thee
When The Saints Go Marching In
 〜Mama Don't Allow〜Shallow Water
 〜When The Saints Go Marching In
-encore-
What A Wonderful World

[Personnel]
Shannon Powell - drums
Kevin Louis - trumpet
David Harris - trombone
Kyle Roussel - piano
Mitchell Player - double bass
Orange Kellin - clarinet
Seva Venet - banjo
Tanya Boutté - vocals
[解説]外山喜雄 (tp., vo) / 外山恵子 (banjo)
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