「未完少女ラヴクラフト」
著:黒 史郎 イラスト:コバシコ
表紙が完全に東京創元社に訴えられるレベルだよ!なクトゥルー神話系ライトノベルです。
少女と見間違えられるほどの脆弱な少年カンナは、片思い中の女性に意を決して告白しようとするが、彼女の顔に開いた穴へと吸い込まれてしまう。彼は異世界スウシャイへと送り込まれ、謎の少女ラヴと出会う。それはカンナとラヴの異世界を救う旅の始まりだった…。
「毒はオブラートで包んでも毒なんだよ!」
みたいな,、'` ( ´∀`) ,、'`
ドス黒い異形描写で定評のある、黒史郎の久々の邪神ものということで、ワクテカしたのもつかの間、表紙で何じゃこりゃって感じでしたが、やはり暗黒作家の血は争えないもので、ライトノベルの皮をかぶった異形の作品になってました。主人公とヒロインにキャッチーな要素を配して当たりを柔らかくしたのに、異世界の強烈な描写で色んなことが台無しだよ!(;´Д`)「交錯都市」とかで見られた禍々しい異形描写が全力で迫る中、ラヴクラフト準拠な設定もたっぷり盛り込んで、異世界冒険譚として仕上げてくるあたりは、エンターテインメント性が高まった最近の作風を感じさせます。他にも、ハワードとかスミスとかトールキンとかダンセイニとか、もしかしたら牧野修とか色々ネタが詰め込まれていますが、まあライトノベルオンリーの読者はドン引きの代物だ,、'` ( ´∀`) ,、'`
昨今のラヴクラフトブームで入ったヌルい読者には、あんまりおすすめできない、ハードコアなシーン満載ながらも、ライトノベルの枠内に無理矢理着地する力技な一冊でした。

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