「あなたの魂に安らぎあれ」
神林長平
「戦闘妖精雪風」など日本SFのすっかり実力者の長編デビュー作です。
核戦争後の火星に暮らす人類は地表に住む有機アンドロイドに養われながら、地下都市での生活を余儀なくされていた。人々は生きる目的を模索しつつ幻の生活を続けていたが、破壊神の来襲の予言がアンドロイドと人間との関係性に変化をもたらしていく…。
そんなわけで、デビュー作から人間の実存性とか存在理由とかにドップリ浸る思索的なテーマを孕んだ作品なわけですが、当時言われていた通り凄くディックです(´∀`)序盤の状況がけっこう分かりにくいとかありますが、何故人類がこんな境遇に陥っているのか、アンドロイドは何を守ろうとしているのか、様々な謎が生活に疲れた男と信仰を失った神父によって暴き出されていきます。後の作品にも通じる三位一体的なモチーフがそこかしこに出現し、相互に作用して変化していく様が劇的な結末へと雪崩れ込みます。人類に絶望しないあたりが読後感を爽やかにしていますが、実は最初の作品にして三部作の最終章であると言う…(´Д`;)
まあ、読み始めたら完走しないとダメだよな!いつ読み終わるか分からんが(゚∀゚)

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