「独白するユニバーサル横メルカトル」
平山夢明
「このミステリーがすごい!」2007年版で第1位に輝いた短編集です、でもミステリーじゃないよ!(´∀`)「メルキオールの惨劇」を読んでいたかどうか全く定かではないですが、それはさておき。現実世界の少し外側で繰り広げられる残酷でグロテスクな物語が詰まった作品で、どいつもこいつも読後感は良くないっつーか吐き気の出そうな代物(´Д`;)
■C10H14N2(ニコチン)と少年
おいおい、それはねえよ(´Д`;)ってタイトルオチを付けてくれる物語は地方都市で暮らす少年の視点で世の中の不条理を描き出します。普通の人たちの二面性が醜悪に展開される嫌な話。
■Ωの聖餐
死体を喰らい、高度な知性を持つ醜悪な存在と化した男を世話することになった主人公が次第に感化され…。読んでる途中にディックの「ウーブ身重く横たわる」をちょっと思い出す、グロテスクな描写とウィットに富んだ会話のギャップが凄まじい話。
■無垢の祈り
家庭内暴力の犠牲になっている少女が連続殺人鬼に希望を見出す絶望的な話。逃げ場の無い閉塞感と救済と開放が同時に訪れるラストが物悲しい。
■オペラントの肖像
管理社会SFな話。相変わらずの悪趣味な描写がキツいものの、正統派な物語でこの本の中での良心,、'` ( ´∀`) ,、'`これもディックっぽい。
■卵男
何だか映像化されたらしい収監されている連続殺人鬼と囚人の実験からの考察。
■すさまじき熱帯
ドロドロでゲロゲロでデロデロした話(´Д`;)現地語の空耳解釈で場を和ませる。
■独白するユニバーサル横メルカトル
文字通り“地図”の視点で描き出されるシリアルキラーの物語。この誰も思いつかない発想がトンデモっぷりに拍車を掛けますが話自体は普通。
■怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男
拷問者の話。残虐描写と夢に救いを見出す拷問者の迷走がシンクロしていく混沌としたアイデンティティが収束していく様が見物。
てなわけで、ろくでもない話を揃えた読み手を選ぶにもほどがある短編集ですが、ひたすら続く閉塞感が時代の空気に混ざり合って、己の身の上を省みる…
…ことも無いか,、'` ( ´∀`) ,、'`

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