「FICTION ZERO/NARRATIVE ZERO」
古川日出男/豊島ミホ/小川一水/壁井ユカコ/将吉/木葉功一/三田誠
東浩紀/福井晴敏/虚淵玄/仲俣暁生/桜坂洋/桑島由一/万城目学
小島アジコ
ライトノベルじゃないライトノベルを書くぜ!と機動戦士ガンダムZZの主題歌みたいなスローガンで作られたノベルムックです。表紙自体はレトロフューチャーというか何だかオブジェクトな代物ですが、多分書店では本の2/3を占める蛍光ピンクのオビに何じゃこりゃ!?と思わされること必至。往年のWIRED日本語版を彷彿とさせる蛍光色を多用したデザインに目がクラクラしますが、右綴じ読みの小説パートは普通に二段組。左綴じ読みの対談、コラム部分は横組みと変則仕様。
とりあえず、このデザイン重視のページ構成は目がすべって仕方が無いので、気になるサンダー先生と小川一水を真面目に読んでみました。
■幻人ダンテ/三田誠
記憶を失った主人公が内なる衝動に導かれて過去を取り戻そうとする話。なんですけど、そこら辺はサンダー先生、色んな意味で変身ヒーローものサスペンスに。童顔美少女探偵とか出しちゃうあたりが、サービス精神旺盛。構想は5年前だから「魔界探偵脳噛ネウロ」とはシンクロか。
■占職術師の希望/小川一水
他人の天職を見分ける能力を持った男の話。天職という概念を含めたアイディア一発勝負のように見えて色々な思想を詰め込んでくるのが小川的で面白かったです。ラストが特に小川的で(´∀`)
とにかく、この本に収められている作品ってやたらと一人称単数のスタイルが多くて自分語りも多用されるので、SF短編集とか普通のスタイルとはかなり異なった印象がありますって言うかビジョンが定まっていないので皆実験的にやろうとして同じようなものになってると言うか。イメージに任せて狂ったような多様性を見せる「異形コレクション」の方が新しさを感じさせるのは、気のせい?選者のセンスか。
それに本の形態が200年も変わっていないのには理由があるってのをもうちょっと考えた方が良さそうなデザインとか、人間の脳はそんなに進歩してないんだから、読みやすさに徹した装丁にしてくれた方が良かった、自己満足でなく。版元はブームを作る気満々みたいですが、長続きはしない、気が、する、つーか損した気分になる。

0