「勇猛なるジャレグ―暗殺者ヴラド・タルトシュ」
スティ−ブン・ブルースト
アメリカではすっかりベテラン作家ながらも日本では無名のファンタジーシリーズの開幕篇です。最初に発表されたのは1983年と言うから凄いぜ!ちっとも色褪せない。
物語は長寿で不老の種族が支配する世界に、ただの人間ながらその社会に加わった主人公の闇家業を描いたもので、簡単に言えば超人ばっかりのところに普通の人が策略と人望で暗躍する話です。動物を象徴に持った十七家のうちのジャレグに属する主人公は組織の幹部から裏切り者の暗殺の依頼を受けることになるが、その相手は一筋縄ではいかないことに気付く…
主人公を取り巻く登場人物は一癖も二癖もある人達ばかりで、盗賊や魔術師、魔剣を持った美女に不老不死なんじゃないのか?な美女、忍者みたいな相棒、さらに元暗殺者の奥さんと盛り沢山。さらに主人公の使い魔である小粋なトークも得意な“ジャレグ”ドラゴンのような生き物も加わって、普通にやっても面白くならないわけがないわけで。何と言っても死んでも生き返るという最大の特徴が!(条件次第)この世界の規則がじょじょに分かってくるにつれてサスペンスフルな秘密の影が見え隠れして、チェスのような一手一手の指しあいが激しくなりつつ大きな陰謀が明らかになる様は一人称で描かれる文体も相まってハードボイルドな感覚を味あわせます。
すっかりこの世界にも慣れたので、続巻の順調な刊行が待たれます。

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