最近見逃しがちだったNHK大河ドラマ『龍馬伝』
「大政奉還」の回を見た
大事な回ということもあったが
それ以上に気になっていたのが
この回に対する、ネット上に書きこまれていたある感想だった
龍馬の元に、師・勝麟太郎が訪ねてくる
「お前さんがやろうとしていること(大政奉還)は
幕府の人間約2万人のほとんどが職を失うことでもある」
龍馬は答える
「そんなことは、どうでもいいことですろぉ」
この龍馬のセリフにかみついていたのだ
かいつまんで言うと
企業のリストラで苦労している人が多いこのご時世に
NHK大河ドラマの主人公が発すべきセリフとは思えない
単にこれは脚本・福田靖氏個人の思いでしかない…と
このことを踏まえてドラマを見ていたが
なるほど、確かに龍馬はそう言っていた
しかしながら
龍馬は件のセリフの後にこう続けている
「これからは武士も、百姓や商人同様、自分の力で生きてゆけばよい」
これもかみつこうと思えばかみつけないセリフでないわけではない
突き詰めて考えれば、マリー・アントワネットが言ったといわれる迷ゼリフ
「食べる物が無いなら、ケーキを食べればいいじゃない」
と、似たような発言ともとらえられかねない
しかし、ドラマを見続けてさえいれば
龍馬のこの一連のセリフの真意がわかるはずだ
これらのことに対して
個人がどのような感想を抱くかは自由だが
僕は少なくとも、ネット上の感想を鵜呑みにせず
自分のこの目で確かめてみて、本当に良かったと思った
木を見て、森を見ないと
人は物事の本質を見失う
僕は最近、年下の役者と映画談義をしていて
ある作品の細部のほころびを指摘する彼に対して、つい感情的になり
似たような発言をしてしまった
そして今、同じことを思う
「そんなことは、どうでもいいことですろぉ!」

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